静けき秋の奧箕面〜北摂鉢伏山

 平成14年10月 6日(日)
【天候】曇り
【同行】単独
堂屋敷から眺める鉢伏山(鉄塔のある山)と
その奥の明ヶ田尾山(鉢伏山稜線左の台形)


 今日は久しぶりに丹波のへでも出かけるか。白髪岳はどうだろうと考えていたら、身内
に不幸の知らせ。遠出は断念せざるを得ず。でも2週間山歩きしないのは一寸辛い。そこ
で車で30分で行ける箕面を歩くことにした。
 箕面公園や政の茶屋から最勝尾根、勝尾寺の辺りは、東海自然歩道のコースでもあって、
ハイキングを楽しむ人たちは多いが、それもせいぜいEXPO記念の森付近まで。その奥
となると途端に人影は疎らとなって、雑木の中の静かな歩きが満喫できる。清水谷園地の
駐車場に車を置いて府道を少し北上する。箕面川の上流に当たる左の谷川の草むらは、こ
んなにもあったのかと思える程のピンクのツリフネソウである。まもなく小さな橋を渡っ
て自然研究路6号線を登り始める。直ぐに右手に四反田谷が寄り添ってくる。炭焼窯跡で
中年ご夫婦が休憩中。挨拶を交わし先に出る。風が吹く度に枯葉が舞い落ち、カサコソと
音を立てる。ほんの1ヶ月前はあんなに暑かったのに、何時の間にやら本格的な秋が近づ
いてきている。

 左からの涸れ沢を抜け、四反田谷の上流部を横切ると、雑木林の小さな沢沿いの道に変
わる。ここはなかなか雰囲気の良い所で、とくに冬枯れの時期がよい。幾つかの炭焼窯の
痕跡が見られ、マムシグサの赤い実がアクセントだ。やがて、沢の源頭にぶつかると道は
左に折れて、更に山腹をつづら折れに登れば、EXPO記念の森と鉢伏山を結ぶ道とのT
字路。ここは右に折れて鉢伏山へ向かう。

 年々歩く人が増えていると見えて、ササが茂っているがその勢いは弱まっているみたい。
小さな鞍部を過ぎて身の丈程もあるササを掻き分ければ関電巡視路との出会いである。

 相変わらず良く手入れされた道である。折角なので鉢伏山頂に挨拶しに行く。大きなイ
ヌツゲの木の向かいが山頂への道だが、ここもササがよく繁茂していて踏み跡を覆ってい
る。10m程掻き分けて進めば直ぐに山頂だが、展望も何もない、なんの変哲もない場所
だ。露出した石柱にタッチしてすぐに巡視路へ戻る。

 今回は久しぶりに山頂東の鉄塔からの踏み跡を辿ることにする。こちらは豊能自然歩道
に指定されているが、関電巡視路との出会いからの道の方がよく利用されているようで、
ちらは道幅が狭い。鉢伏山の山腹を巻くように進んだ後の梅ヶ谷への下りがかなり急な為
に敬遠されているのであろう。

 丁度、鉄塔から山腹への道に入った時である。体長50p位の真っ黒い蛇が前を横切っ
て動きを止めた。尻尾の先は未だ道の上。トレッキングポールで追いやるとようやく茂み
の中へ消えていった。シマヘビなどの色変わりらしく、カラスヘビと呼ばれている蛇だそ
うだ。それにしても気持ちの悪い奴だった。

 やがて道は鉢伏山の東の急斜面をつづら折れに一気に下って行く。梅ヶ谷の両側は植林
帯で鬱蒼として薄暗い。そのあたりで踏み跡はやや不明瞭だが、自然歩道の道標が目印。
谷を南に下れば府道亀岡豊中線。北上すると明ヶ田尾山である。小休止して北に向かう。

薄暗い梅ヶ谷出合にある豊能自然歩道の道標

 けたたましい鳥の声と薄暗さに何か出てきそうな雰囲気がある。所々に鹿のものであろ
う円形の薄い窪みがある。谷を遡っていくと二股に分岐するが、道標もなくここがやや迷
いやすい所だろうか。が、地形図を見れば左が正解と分かる。20m程行くと支柱の朽ち
た道標が木に立てかけてあり、更に進めば今度はしっかりした道標が現れる。鉢伏山の尾
根伝いの道とはここで出会う。
梅ヶ谷の奧の出合にある道標

 急に薄暗さが増してきたようだ。時間もないので今日はここから再び鉢伏山の北尾根に
上がることにする。西への小さな谷から南に折れて、尾根の突端付近へ取り付き、つづら
折れで登っていく。すぐに雑木の中のよく踏まれた道になる。止々呂美へ道が分岐する小
さな鞍部を抜ける。身の丈を越すササがトンネルを作る所もあるが、総じて畦道様の綺麗
な道で、最後にササを分けると意外に早く関電巡視路に飛び出た。

 自然研究路との出会いへ戻った時、久しぶりに「堂屋敷」へ行ってみるかとふと思う。
EXPO記念の森を抜けて、五月山と繋がる車道を西へ向かうと、記念の森入口横の鉢伏
山の登山口に立入禁止の立て札。箕面山岳トンネル工事の為とある。しかも登山道はアス
ファルト舗装され、ダンプの出入り口と化していた。おまけに外灯付き。あ〜あ。

 「堂屋敷」の取付きは関電山下線の巡視路道。巡視路を示す赤い火の用心標識に三角点
マークがマジックで書かれてあった。こんな変哲もないコブみたいな山にも、小生の様な
物好きが来るようになったのかな?高圧鉄塔までは急斜面にプラ階段が刻んであり、40
m程つま先上がりに登って高圧鉄塔横に出る。手入れの行き届いた巡視路だがこれから先
はクモの巣が鬱陶しい。と、左手が明るくなったと見ると、雑木ヤブが伐採されている。
伐採地の端の木に赤テープが巻いてあるので、そこから伐採跡とヤブの境目を辿ると踏み
跡が現れ、直ぐに三等三角点であった。以前来た時はもっと右から回り込んだように記憶
するが。少しコースが変えられたようだ。

 この伐採地からの展望は素晴らしい。鉢伏山から明ヶ田尾山、妙見山。高代寺山、青貝
山。遠く大野山方面も眺められる。暫く憩って景色を愛でる。雨が降りそうに曇ってきた
のが残念。

 来た道を戻って再びEXPO記念の森を抜け、自然研究路との出会いから清水谷園地へ
下る。その道すがら。小鳥の声が聞こえると思ったら、カセットレコーダーが道の脇に置
かれているのに気がついた。側には数人の男がたむろ。メジロが入った竹籠も木にぶら下
がっている。メジロを盗獲している現場だったのだった。目を合わすとばつの悪そうな顔
をしていたので、罪の意識はあるようだ。鳥獣保護区ですぞ。

 園地の駐車場。空腹を覚えたので清水谷の林道に入って、サンドイッチ。ここからは谷
を遡って最勝尾根に出られるのだが、ありゃ、ありゃ、キツリフネが沢山咲いているでは
ないか。案内板にキツリフネが咲くと書かれてあるのは知っていたが、以前、探してもな
かったので今はもう絶滅しているのではと諦めていたのだが。早速撮影モード。その1枚
が下の写真。3pから4pはありそうな大きな花であった。

清水谷に咲いていたキツリフネ

 市街地に近い宿命であろう、暫く行かぬ間の様変わり。でも最後にキツリフネのお土産。
またまたいろんなものに出会った奥箕面散策でした。



【タイムチャート】
12:15自宅発
12:50〜13:00清水谷園地(駐車地)
13:03自然研究路6号入口
13:26EXPO記念の森分岐
13:37鉢伏山関電道出合
13:41鉢伏山(604m)
14:00梅ヶ谷出合
14:10梅ヶ谷奧側の出合
14:26鉢伏山関電道出合
14:34EXPO記念の森分岐
14:58堂屋敷(553.2m 三等三角点)
15:25EXPO記念の森分岐
15:42清水谷園地(駐車地)



鉢伏山のデータ
 「雑木の中の山歩き北摂鉢伏山をご覧下さい
 
堂屋敷のデータ
 箕面ぶらり散歩Part5〜点名『堂屋敷』探索
  をご覧下さい
【参考】エアリアマップ『北摂の山々』



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