木枯らし一号が吹いたという。そんな肌寒い日だが、よく訪れる勝尾寺への旧参道を一度歩いてみ
ようと、昼食を済ませた後、箕面へ向かう。
R423から府道箕面池田線に入る。為那都比古神社に駐車させてもらい、府道に戻って東進、帝
釈寺北交差点を左折、山側へ向かう。
左に池を見ると道は直ぐに畦道にかわり、最初の町石が立つ。付近は市民農園のようで、色々な作
物が植わっている。やはり風がやや冷たい。
次の池で道は右に折れ、ようやく木々のトンネルの中へ。ジグザグの石ころの道を登る。
道は所々例外はあるものの、外院尾根沿いにほぼ山腹を巻いている。しかし、総体的に眺望には恵
まれない。唯、2カ所だけ東から南方向が見渡せる箇所がある。東には竜王山から阿武山の京大地震
観測所の建物、遠くには生駒山脈、南側にはエクスポランド、その向こうに大阪市街が広がっている
のが望める。しばし景色を愛でる。
丸木橋を渡り、さらに沢を越えると、前方に青いプレートが吊られていた。
なんと「スズメバチの巣があります。静かに通り抜けて下さい」との注意書きである。六個山で追い
かけられた経験が頭をかすめる。「くわばら、くわばら」
歩きつつ、花を探す。ここも典型的な北摂山系の植生が見られるようだ。アカマツ、リョウブ、ク
ヌギ等の間に、ヤマツツジなどの低木。日当たりの良い斜面にはコウヤボウキの花、木陰では
キオン
の黄色い花も可憐に咲いている。早くもツタが真っ赤に色づき地面を染めている。まもなく、楓
も色づき、艶やかな衣を纏うことだろう。どんぐりがカサッと音をたてて地面を転がる。
そうこうしながら、豊能自然歩道との分岐と案内板を過ぎると、石の地蔵さんが左におわす。幾多
の西国札所巡りの巡礼を見てきたに違いない、摩滅してはいるがその柔和な笑顔が印象的である。
ここから大きな石ころの突き出たえぐれた道を一登り、杉の植林帯に入るとようやく道が平坦にな
る。その先に石標が埋まっていた。よく見ると明治33年、勝尾寺山国有林とある。これにも歴史を
感じさせられる。
道は420m尾根を越すと下りの階段となり、勝尾寺の鐘の音も大きく響く。一丁の町石間近にな
ると勝尾寺のバス停に近いからか、参拝客やハイカー、車の喧噪も急に戻ってくるようだ。
ここまで来れば、勝尾寺の甍も垣間見えるのだが、今回はその勝尾寺には詣でず、一町石で引き返
して豊能自然歩道で外院に戻る予定、再び尾根を乗っ越し、年八天丑未方傍示石蔵(1230年)の
遺跡の説明文を読みながら下る。
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勝尾寺旧参道の一町石 |
道標に従って、豊能自然歩道に入る。
クマザサをかき分けていくと、西大台の七つ池の超ミニ版のようなくぼ地に出くわす。その真ん中
にある、政の茶屋への出合いを左へ進む。
道はしばらく谷山尾根と外院尾根の間を縫うが、ハイカーには余り利用されていないようだ。それ
だけに静かな山歩きが楽しめる道である。
右、なかやま、左、おおさかと記された古い石の道標を過ぎれば、ようやく坂は急となり、杉の植
林帯の中を土嚢で作った階段で急降下する。左に沢が現れ、澄んだ流れの石の下にはサワガニの姿。
さて、鬱蒼とした中を進んでいくと植林した杉の根本にソファが置いてある。板きれには「森のレ
ストラン」。なかなか洒落たレストランではないか。
やがて、右前方下に池。先程の沢はここに流れ込んでいる。そして直ぐに林道出合い。
この林道は左へ向かうとうつぎ池まで続いており、右は新家まで続く豊能自然歩道を兼ねた道であ
る。杉木立の中、ウツギ谷をひたすら下る道だが、沢には小さな滝などもあるものの面白味に欠ける
のは否めない。前半が良かっただけに残念だ。
30分程で外院3丁目と表示のある下界?へ降り立ち、外院バス停は直ぐそこである。
16時半前、駐車地へ帰り着く。
【タイムチャート】
13:25 自宅発
13:55 為那都比古神社(駐車地)
14:05 帝釈寺北交差点
14:28 丸木橋
14:52 豊能自然歩道分岐
15:02 5号自然研究路(至 政の茶屋)分岐
15:06〜10 一丁町石
15:20〜25 豊能自然歩道分岐
15:26 政の茶屋への分岐
15:30 石標分岐
15:45 林道出合
16:00 外院3丁目
16:12 府道出合(外院バス停)
16:20 駐車地