高岳〜芸石国境で黄葉三昧 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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今年の初夏に第一回があった広島オフ。「秋もやろうぜ」の掛け声が現実になって中国 山地の紅葉、黄葉を愛でる第二回目のオフが実現した。生憎予想外に冬型気圧配置が強ま って、二日目は矛先を南に変えざるを得なかったけれども、却ってそれが幸いするのだか ら面白い。高岳の紅葉・黄葉+黒滝山・白滝山のプチ岩登りと海の見えるコースと、バラ エティに富んだお手軽ハイクのなったのだった。それもこれもお世話になったOさん夫妻 のお蔭。それではその顛末をば第1日目からどうぞ...。 土曜は出発が早いので前夜、”よいこ”は超早めに9時には就寝。おかげで目覚めたの は0時過ぎでそれからはうとうと。気がつくといつのまにか3時50分。外はまだ真っ暗。 ここで二度寝をすると危ないのでゴソゴソと寝床を這い出る。 5時少し前に家を出てMさんをピックアップ、東の空が少し明るんだ中国道を西下する。 集合は広島の七塚原SA。定刻の8時30分の10分前きっかりにSAに滑り込んだ。少 しするとオフオーナーのOさん夫妻、OさんのMLのメンバであるPさん夫妻と、今日の メンバ全員が集合する。Pさん夫妻とは初対面だ。挨拶を交わした後、粗々のスケジュー ルを決めて再び車中の人となり、前回と同じ戸河内ICでR183へと流出する。 前回と同じくICを出た直ぐの所にある道の駅の真ん前のコンビニで食料を買い込む。 その道の駅付近、人出がなんだかやたらと多い。次々と車が出入りする。小春日和。三段 峡などへ向かう紅葉狩りの行楽客らしい。その三段峡方面へと車を進めると、すぐに鄙び た田園、山村風景になり、山々も北に行くに従って色付きを増してくる。そうして北広島 町辺りまで来ると黄葉はピークを迎え、日の光に黄金色に輝いている。その黄色い葉が舞 い散る中を恐羅漢山方面に左折すると、前方に笹原の形の良い山が現れてきた。深入山だ とかで裾野に「いこいの村」もありハイキングにいい山なのだという。見るからに展望の 良さそうな山だ。ところでこの辺りの山はどれも山頂部が笹に覆われたりなどして樹林と 呼べるものがない山が多い。聞けば鉄が採れた為に「たたら」用に薪にされたり、或いは 牛馬の放牧が盛んだったからだともいう。それが廻り回って登山人口に比して、歩きやす い山道が多い由縁でもあるのだろう。 さて、R183は島根県益田市に向う道。高原状の起伏の緩いアップダウンを繰り返す ワインディングロードだ。そろそろ目的地は近いらしく、キャンプ場など、ちょくちょく 聖湖畔の案内が現れてくるが、それらは無視して大和ハウスの別荘地の案内のある交差点 で左折する。二車線の真新しい舗装路だ。そして驚いたのは別荘地内の木々の黄葉の鮮や かなことだ。ナラ系統だと思われるのだが、レモンイエローやライトブラウンの明るい落 ち葉が辺り一面を覆っている。これほど綺麗な黄葉は見たことがないというほどの代物。 こんな別荘地なら一棟欲しいのだが。といっても何せ先立つものが...。(^^; 立派な舗装路は別荘地の取り付け道路だったらしく、別荘地内を抜けると途端に狭くな る。その聖湖の周回道路を半周位したところに橋があり、路肩が湖側へ少し広まった部分 がある。ここが登山口で既に数台の車が駐車しており、それらに並んでこちらも駐車する。 支度をする間にも落ち葉がハラハラ舞い落ちて、ワイパーとガラスの間に挟まる。
さっきの橋の袂に目立たないが登山口を示す私製の道標が立つ。川の右岸沿いに広い道 を200mも行くと狭い畑と物置のような建物があって、ここにも登山口を示す道標が立 つ。道はここで曲って左の谷に沿い、杉桧の林の下を進んでいく。植林下は暗いが左の斜 面は日を浴びて黄色に染まる雑木林だ。右の沢も緩やかでほとんど水の騒ぐ音もせず、聞 こえるものは我々の話し声と時折、カサッ、木の実の落下する音ぐらいだ。
らか。息を切らさなくても登れるやさしい山である。それでいて周囲はコナラ、クヌギ、 コシアブラ、ホオノキ、ハウチワカエデ、ウリハダカエデ、ブナなどからなる明るい雑木 林で、朝の日を受けて黄金の海といっても過言ではないほどのいろどりで埋め尽くされて いる。黄金色のトンネルを潜っているようだ。
登るに連れて周囲も開けてきて、聖山らしい姿も木々を透かして望めるようになる。下 草はクマザサがいつの間にか主役になり地表を覆うようになる。 人声が降ってくる。きっと弁当を開いている人達だろう。となると山頂は近い、と思う まもなくサッと大きく開けた視界は自然と湖を見下ろすようになる。それをご馳走に食事 をしている先行グループの横を抜けると、クマザサを刈り込んだ結構広い高岳山頂広場だ。 山名標と三等三角点。その標石の上にはなぜか信楽焼のたぬきが一体置かれている。そし て近くの一本の木にJAC日本山岳会の中央分水嶺のプレートを見つける。そうだ、ここ は南は瀬戸内海に流れる太田川、北は日本海に注ぐ高津川を分ける中央分水嶺なのだ。わ たしも丹波の日本一低い中央分水嶺近くを歩き、JACから証明書を戴いている身、何だ か懐かしい感じがした。 ところでOさんから予め聞いていたけれど、あらためて目の間に広がる大パノラマを眺 めれば素晴らしいものがある。大した汗もかかずに大展望が得られるのだから尚更だ。東 に聖湖と樽床ダムが一望。その向こうの三角錐は臥龍山で、さっき横を通ってきた深入山 はその南だ。南には聖山と思しき山と奥に青く霞んでいるのは広島県の最高峰、恐羅漢山 のようだ。反対側の山頂から北はもう島根県。本来ならば三瓶山も望めるロケーションな のだが残念ながら霞がかかっていて見えない。
っぱり贅沢なものだ。その食事中にも、聖山方面の尾根からやってきた人、そちらへ向か う人と高岳の山頂は忙しい。と、山頂から唱歌が聞こえてきた。歌声喫茶が山頂で店開き なのかと見れば、楽しげに唄うは熟年女性の3名グループなのだった。中国山地の山々は そんな唱歌を口ずさみたくなる山でもある。 「秋の夕日に照る山もみじ 濃いも薄いも数ある中に 松を彩る 楓や蔦は 山の麓の すそ模様...♪」 気がつけば1時間強も山頂に。日が翳ると流石に寒くなってくる。記念の集合写真を撮 ってそろそろ下山にしよう。その前に聖山方面にも少し歩いてみる。笹が切り開かれよく 整備された道である。思わず行ってみたい誘惑に駆られる尾根道だ。 ゆるゆると下った積りが、あっという間に黄葉のトンネルの出口である登山口に着いて しまう。止めた車には沢山の落ち葉模様がついていた。 温泉に入って福山方面へ戻るというPさん夫妻とはここでお別れ。又オフにお会いしま しょう。そうそう、わたしの名刺を渡しておきましょう。 聖湖を形作った樽床ダムは中国電力の発電用のダムだ。下流が三段峡でダムの堰堤を通 過する車窓から眺めると、ここも素晴らしい黄葉、紅葉の世界である。狭い堰堤上を抜け、 風に舞う落ち葉の中を湖畔に沿って走ればR183は間もなくである。 今日はOさん邸で一泊の予定。そのOさん邸へと再び戸河内ICで高速道路を中国道か ら広島道を南下する。気がつけば山々の木々はまだまだ青い。それだけの温度差が県北と 県南にはあるということだ。紅葉全線がここまでやってくるにはどれほどかかるだろうか? 1時間と少しでOさん邸着。お風呂を戴き、鍋料理に舌鼓を打ち、満腹、満腹。至れり 尽くせりお世話を戴く。ところで気になるのは明日の天気。冬型気圧配置が強まって県北 の三次方面は時雨なのだとか。これは矛先を変えねばと、あれでもないこれでもないと物 色する内に容赦なく夜は更ける。まあ明日の朝の天気予報で決めるか。それがいい、それ がいいでお開き。30分後には酔いも手伝ってか白川夜船だったのである。第二回広島遠 征第一日目、安芸高岳。いいお山でした。 ■同行: 大加茂さん夫妻、ピッチさん夫妻、もぐさん(五十音順)
第2日目 『黒滝山、白滝山〜海を見ながら陽だまりハイク』はこちら
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