加西アルプスのんびりハイク
 
平成18年 2月19日(日)
【天候】晴れのち曇り
【同行】のりかさん
権現堂への尾根道から左に善防山、中央は
Ca220m峰、右に笠松山が覗く


 『雨水』。降る雪もこの時期は雨になるという二十四節気の一つ。陽の光は一頃よりも
幾分、力強くなってきたけれど、まだまだ寒いこの時期は陽だまりハイクに限ります。加
西アルプスへは今日が初めてというのりかさんと、三年ぶりにのんびりハイクに訪れてみ
ました。

 8時半に例の如く江坂のローソン前で集合する。いつもながら低山徘徊派のメンバは時
間に正確。定刻5分前には駅から降りてくる姿が見えた。

 山陽道を加古川北IC。善防の交差点を左折して県道へ。前回のように駐車場を借りよ
うと入った善防公民館の駐車場は意外や満杯。建物の玄関で立ち話の小父さん二人に聞け
ば子供会の寄り合いだそうだ。断って奥の芝生の広場に止めさせて貰う。

下里農協前からの登山口
加西市の道標が設置されている

 まずはウォーミングアップで、車道を東へテクテク。10分程も歩いた下里農協のバス
停向かいにあるカーブミラー横の林道が取付き。以前来た時にはなかった加西市のオフィ
シャル標識が立っていて分り良くなっている。左にヨシの生えた池を見ながら竹林の間を
進む。ササとシダの茂った小道になると、まもなく小学校コースとの合流点。ここからし
ばらくはネズミサシやツツジ等の低木が目立つ岩の斜面の登り。高度を稼ぐに従って、次
第に展望が良くなり、四角い金属の箱が埋まる善防山東尾根の岩稜まで登ってくると、播
磨の農村風景が眼前に展開する。低い割になかなかの高度感だ。そこへ里山らしく麓から
生活音が上がってくる。犬の吠え声に車の騒音。何か知らぬがスピーカから流れてくる演
歌のメロディ。ガタン、ゴトンと規則正しいレールの継ぎ目音を響かせるのは、北条鉄道
のレールバス。今しもそのレールバスが枯れ色の田園の中を一両編成で走っていくのが見
える。野焼きだろうか田の至る所で白い煙がたなびいている。のどかな風景だ。

 しばらくは流紋岩の岩稜歩きを楽しむ。前方に善防山。ちょっと見には、どんな高山に
登っているのかと思える荒々しさである。象の背中みたいなその岩稜を過ぎると、一転、
丈の低い雑木の林となる。左手から巻くように高度を上げれば、南の牧場コースとの合流
点で、ここには私製プレートがあって、ご丁寧に難度を★で表してある。その標識に富士
山。「?」ひょっとして、岩稜の途中にあったセメントの山だろうか?麓の小学校の卒業
記念か何かで作ったような代物で、そういえば、頂上に穴が開いていて火山のようではあ
った。(笑)
善防山への馬の背を歩く(撮影:のりかさん)

 合流点から西に折れ、登山道から少し入った所がこじんまりした第二山頂。木の間越し
に善防山の本峰が覗く。そして小さな鞍部を過ごすと、コナラらしい大木と大岩が鎮座す
る本峰の山頂に達する。兵庫県の山でよく見かける兵庫登山会の山名標識がここにもある。

 ところで善防山には城があったようだ。確かに山頂に巡らされた曲輪のような段の跡に
気づかされる。そういえば先程の第二山頂にもそれらしき自然石の石組みと段があった。
城といっても砦みたいなものであったであろうが、山頂の岩の横の立ち木にその由来が書
かれていて、これが面白い。何でも1441年、赤松満祐が将軍足利義教を暗殺した、所
謂、嘉吉の変が起こって山名氏の軍勢が、赤松氏の本拠、播磨を攻めた時、善防山城にも
軍勢が押し寄せて来た。その時、城方は油に浸した竹の皮を岩に敷き詰め、敵勢が滑って
登れぬようにしたのはいいのだが、山名勢はこれに火をつけたので忽ち燃え広がり、城は
瞬く間に焼け落ちて落城したのだという。なんとも間抜けな話ではあるが、幾ら何でも油
が燃えやすいことに気がつかない筈はないから、守勢にやる気がなく、簡単に落城したこ
との例えなのだろう。それが「善防」とは、これまた皮肉な名前ではある。

善防山からの下りから笠松山

 さて、本峰山頂を後にして丸い大岩の横を急降下していく。これから歩く古法華、笠松
山方面が一望のビューポイントだ。長石(おさいし)の採石場が屏風のように白い岩肌を
見せ、ここからの笠松山は槍のようで端正である。尾根という尾根にはみんな道がつけら
れている感じ。周回コースの分岐を過ぎると、やがて古法華への車道を跨ぐ吊橋へ出る。
その前に古法華へ向かうことにしよう。建物自体は3年前と変わらぬ佇まい。でも大河ド
ラマ宮本武蔵のロケ地になったと誇らしげな看板。綺麗なトイレが作られていて、整備が
進んでいるようだ。石仏が仲良く並んだ間を降りて、再び吊橋のたもとに戻る。

夫婦もこのようにいけば最高なのですが...

吊橋の向こうは岩盤の尾根

 古法華の駐車場に車を止めて、散策する人が多いらしく、家族連れやウォーキングシュ
ーズのハイカーがちらほら。吊橋を渡れば、ピンクがかった一枚岩の登りで、鎖も設置し
てあるが、フリクションが良く、お世話になるほどでもない。右に湾曲するように岩尾根
を歩いて、小さなアップダウンをこなしていく。古法華からの直コースと合わさって、最
後の一登りを我慢すれば、笠松山である。霞が強く、土地勘もないので一々、山の名は不
明であるけれど、それでも笠形山、七種山、明神山や千ヶ峰などは判別できる。

 さあ、どこで食事にしよう?笠松山の展望台がおりよく空いている。真ん中にテーブル
もあり、360度のパノラマをご馳走にここでなんとも贅沢な昼食とする。今日はレトル
トのてんぷらうどん。のりかさんからフキノトウや野菜をお裾分け頂いて、生卵も割り入
れて春味てんぷらうどんを食す。久しぶりに豪華な?昼食だ。

 食後のコーヒータイム。二人連れのハイカーがやってきて、しばらくして団体さんが古
法華方面から登ってきた。丁度、飲み終わって後片付けも終わった。次の行程、熊野権現
堂に向かいましょう。

 展望台直下の三角点に敬意を表してタッチして西へ向かう。ゴミ焼却場が目印になる。
先程までの道に比べれば歩く人が少ないと見え、細くなるがしっかりした道だ。途中で4
つほどピークを越える。214m標高点ピークの手前のピークまで来ると、善防山Ca22
0mピーク、笠松山と重なったいい撮影ポイントがある。真新しいタオルが一枚木に引っ
かかっていた。

 214m標高点ピークで右に折れると権現堂。まっすぐ行くと剣坂山の三角点だが、こ
ちらは獣道みたいに細い。やまあそさん達は直進したらしいが、我々は素直に笹を掻き分
けて権現堂へ向かう。

 50mも下ればその建物が現れる。建物の裏が高くなっているで覗いてみると、御幣が
かかった何だか石室らしい石組がある。古墳の跡ではあるまいか。

 権現堂の右手にも踏み跡があるが、ここも素直に権現堂の参道を降りる。最初はガラガ
ラした感じだが次第に良くなり、杉の植林が出てくると鳥居は近い。そうしてすぐに石灯
籠の立つ参道口に飛び出す。

 盆栽のようにたわめられたブドウ畑。彼岸花のよく繁った葉が畦一面に。秋はさぞかし
燃え立つことだろう。北条鉄道の長町の駅へ行くつもりだったが、オオイヌノフグリの小
さな青い花を眺めながら歩いていると、寒くもないし、このまま歩いた方がいいような気
になる。歩いてきた善防の山並みを眺めながら、麓を東へ進む。時折、抜き去っていく車
が煩い。善防池が現れたので、車道は敬遠して池の堤を巡る遊歩道を歩くことにする。そ
こへ突然、大音量でJポップのメロディ。のりかさんによれば、「せかちゅう」のテーマ
曲なのだそうだ。善防池の向こうに小山があって、幟がはためいている。大歳神社と読め
るがそこから聞こえてくるらしい。午前中の演歌もここから聞こえていたに違いない。し
かし、何をやっているのだろうか?まさかカラオケでもあるまいになあ。

 皿池の北の堤まで来ると善防山から笠松山に続く山並みが池に映って綺麗。笠松山の方
は奥まっていて、こちらからは展望台がなければどれが笠松山だかはっきりしない。一方、
善防山は山頂のコナラの大木がよく見える。
「『逆さ善防』やなぁ」
デジカメに収める。そうだ、パノラマ写真を作成するフリーソフトのテスト素材に使って
みようと思い立つ。欄干に体を預けて、ずらしながら4枚ほど写しておいた。(下の画像)

 池は昭和15年に造成したとある記念碑や水準点などを見物したりして、ぶらぶら歩い
ていけば案外早く公民館。あれだけあった車もほとんど影形もなく、芝生広場も小生の車
のみポツンとあるだけ。装備を解いて買い置いていたおやつの桜餅を頬張る。日溜りのん
びりハイク。ご苦労様でした。

皿池からのパノラマ写真。左に善防山。石切場の奥に笠松山が覗く


                                                                 
【タイムチャート】
8:30江坂駅ローソン前(集合地)
9:35〜9:40善防公民館駐車場
9:55善防山登山口(下里農協前バス停)
10:00下里小学校コース出合
10:10〜10:15善防山東稜突端(Ca140m)
10:35牧場コース分岐
10:37〜10:40善防山前山(第2ピーク)(Ca230m)
10:47〜10:52善防山(251m)
11:06吊り橋分岐
11:10〜11:30古法華
11:35吊り橋分岐
12:00古法華アトリエ館コース出合
12:05〜12:55笠松山(244.4m 三等三角点)
13:33214mピーク
13:35〜13:40熊野権現堂
13:51鳥居
14:40善防公民館駐車場


善防山、笠松山のデータ
  善防山から笠松山〜加西のミニアルプス縦走を参照ください
【参考】
2.5万図『笠原』

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