善防山から笠松山〜加西のミニアルプス縦走
 平成15年 1月13日(月)
【天候】薄曇り
【同行】単独、後半からhiroさん
214mピークから善防山(左)と笠松山(右奧)
中央はCa220mピーク


 先週の小野アルプスから東方向を眺めたら、あちらにもピラミッドの如き山が並んでい
るではないか。しまださんに訊くと善防山だという。そういえば低徘のMLでも話題にな
った山だ。岩歩きが楽しめるというので、紅岩に味をしめた小生、ノコノコと出かけてみ
たのでありました。

 山陽道の加古川北インター。数年前、高御位山へ登った時に利用したICである。今日
はここから北上する。三口でR372に入り、すぐに県道へ左折して古法華方面を目指す。
すると右手に善防公民館の立派な建物が見えてきて、大きな駐車場があるので、ここを利
用させてもらうことにした。

 準備を終えたが、果てさてここはどの辺りだろう。持参の地図には公民館の表示がない。
向こうに見えているのは中学校だろうか。幸い、駐車場の横に表示板が設置されていたの
で確認すると、半分干上がった大きな池は皿池。これで分かった。東へ行けば下里農協前
のバス停があるはず。というわけで県道を東へ向かう。

 山陽自動車道の緑色の案内板の下に、神姫バス下里農協前のバス停がある。信号とカー
ブミラーの横に目当ての農道が見つかった。案内は何もないが、橋本さんのHPを読むと
ここが登山口らしい。
下里農協バス停横の取付き。奧は善防山の東稜

 枯葉が折り重なった道は溜め池の縁を巡って、竹林の間をゆっくり左にカーブする。そ
れはやがて人一人が通れる幅に狭まり、笹やコシダが茂る登りになるが、それも暫く。す
ぐに善防山の東の尾根筋に出て、左から上がってくる小学校からの道と合流する。

 暫らく登っていくとコシダの繁る岩だらけの道となる。岩の質はこの間の小野アルプス
と同じ流紋岩らしい。例の赤っぽい色の岩も混じっている。振り返ると、山裾に学校らし
い白い建物が見える。少し奥まっているので県道からは気づかないはずだ。

 最初のCa140mピークに着く。ここまで来ると徐々に一枚岩というのか、岩盤自体が
尾根になっている。今は使われていない構築物が目に付いた。岩を穿って作られた四角い
用水槽の様な物と、トタンの蓋で覆われた30p角の穴である。何だろうと蓋を取ると、
なんとゴミが詰まっていた。(^^;)

用途不明の建造物がある東稜の突端から前山と善防山


 ここで登路は左に曲がり、岩盤の尾根が善防山迄続く。早くも本日のハイライト第一弾
の始まり。右も左も岩が剥き出しで、そこだけ見るとまるでアルプス。岩盤上はネズらし
い丈の低い針葉樹が生えるのみである。前方には尖った善防山前山が姿を現している。足
掛かりを探しながら露岩を越える。途中に麓の小学校の生徒が作ったのか、セメントで作
られた小山があった。
善防山東稜は全て岩の尾根

 前山への最後の登り。急登の岩を越えると、ここからは雑木が生えていて、久しぶりに
土砂が認められるようになる。右に見える山頂部を左から巻くようにして、南から上がっ
てくる牧場コースと出合って、更に右に折れるとそこが前山頂上(Ca230m)であった。
『二の峰』と表示があったが、ここには何か建造物があった雰囲気がある。野面積みの石
垣が残っているのだ。寺院いや砦の跡だろうか?『善防』という名を『善坊』と考えれば
寺かもしれないし『善く防ぐ』と考えれば砦かな?とも思う。そんな取り止めの無いこと
を考えながら、小さな鞍部を抜けた所が本峰である。兵庫登山会の大きな標識と大きな岩
が鎮座している。但し、雑木に阻まれて展望はない。時おり、獣臭いなぁと思っていたが、
下の牧場から立ち昇る匂いらしい。岩に座って小休止。ガサガサと近くで音がしたので身
構えると大きな野鳥。鋭く鳴いて飛び立っていった。

 山頂を後にし、丸い形をした大きな露岩の左を抜け出てみて驚いた。視界がぐっと開け
て、これから向かう笠松山方向が一望なのである。荒々しい風景が展開する。三角形をし
た山々を結んで、大きな木が無い尾根上に白い踏み跡がついているのがよく分かる。一際
目立つ尖峰が笠松山。案外遠くに見える。「あそこまで行くんかあ。ということは熊野神
社はもっと遠いよな」と一人ごちる。(^^;

善防山の山頂西から笠松山への縦走路を望む

 ここからは一気に急降下。立ち木を掴みながら足元に気をつけて下っていく。一旦、下
ってしまうと暫らくは小さなアップダウンはあるものの、ほぼ平坦な尾根道。ここからが
第二のハイライトだ。大袈裟だが一寸鳥になった感じ。ルンルン気分で歩を進める。(^0^)
惜しむらくは霞んで視界が延びないことと右手に荒涼とした石切場があること。

 北に延びる尾根につけられた道を右に過ごして、左に廻りこむ様に進むと古法華へ通じ
る車道に架けられた吊り橋とCa220mピークへの道の分岐。吊り橋に行くことにして右
に折れて下って行くと、今度は古法華との分岐があった。吊り橋は後廻しにして、まず古
法華に寄ることにする。
古法華への車道を跨ぐ吊り橋。歩いている人と
見比べて下さい

 古法華は日本最古の白鳳期の石仏が重要文化財に指定されている古刹である。善坊山か
ら笠松山付近の山々を蓮弁に見立て、その中心に堂宇を建てたのだというが、今は小さな
観音堂が残るのみ。

 階段道を下って車道を200m程歩いていくと、あちらこちらに石仏が立っていて、薬
師三尊、地蔵尊や七福神、中にはドラエモンまであってユニークである。高台にある新し
い建物はアトリエ館で、石を買えば石仏を彫ることが出来るのだという。その奥に小さな
堂宇。その又奥が石仏の収蔵庫であった。

古法華のお堂前にあった石彫。何かほのぼのと
しませんか?

 七福神の辺りからも笠松山へ登れるようだが、元へ取って返して吊り橋を渡ることにす
る。向こう岸は岩稜で鎖が設置されているが使うほどでもない。小さなピークを2つ3つ
こなした辺りの小さなピークで丁度正午。古法華の甍や池、善坊山から続く尾根を眺めな
がら手頃な岩のテラスで食事休憩。

 さすが人気の山である。この付近まで来ると結構、ハイカー達がいる。あちこちの稜線
を見ると、数組のハイカーが尾根上にトッピングした様に屯しているのが認められる。

 稲荷寿司を摘みながら湯を沸かしている最中である。携帯が鳴り出した。おお?しまだ
さんから。なんとhiroさんが笠松山にいるという。掲示板を確認するとその旨の書き
込みあり。慌てて双眼鏡で確かめると、山頂の展望台に黄色い防寒服のそれらしい男性が。
あれだろうか?兎に角、早めに食事を切り上げて、出発である。

 稜線道はツツジと痩せた松、ヒサカキが多い。と、異様な風景が目に付く。黒く焦げた潅
木。焼けた跡である。山火事かそれとも落雷なのだろうか。範囲が小さいのでそれほど目立
たぬが、自然現象は仕方ないがタバコの火だけは注意です。

 途中にまた大きな岩盤があり、これを登ると左にカーブしていよいよ笠松山へ。丈の低い
松林を抜けると、左から古法華からの道が合流してきて、ここには道標がある。それを過ぎ
ると再び急傾斜。しかし距離は短い。すぐに頂上で、展望台下では3名の壮年男女が食事中。
そして展望台にいるのが矢っ張りhiroさんであった。

 一週間ぶりの再会。展望台に上がって四方山話である。下山はどちらに?と尋ねると古法
華の駐車場にピストンだという。それなら熊野神社から降りて、レールバスに乗らないかと
提案したところ快諾いただく。展望台下にある三角点にタッチした後、早速、西へ向かう。

 ガイドではややヤブっぽいとあったが、どうしてどうして綺麗な踏み跡が続いている。所
々には私製のプレートもある。前半とはうって変わって、終始、低木の中。何となく昨年の
早春歩いた播但国境は黒田庄町の白山や、社町の三草山の稜線道を思い出した。途中、Ca2
20mとCa200mのかっこいい2つのピークを越え、徐々に下って214m標高点ピーク
に達する。尾根はまだ続くが、縦走路はここで北に折れる。細い踏み跡に覆い被さるシダを
掻き分けていくと、案外すぐに熊野神社である。地形図の鳥居マークの辺りだろうとふんで
いたので、少々面食らった。そういえば214mの標高点ピークに『熊野神社まで100m』
とあったのを思い出した。

 熊野神社は小さなお堂で、堂の前に拝殿が新設されている。元来、現在のお堂の上の高み
にあったようだが、そちらは完全に崩れた祠があるのみである。ここで再びしまださんから
電話。現在位置を知らせる。

 荒れた参道を下っていく。途中に石の立派なベンチ。ジグザグに折れながら、雑木から植
林、更に竹やぶとなると、前方に立派な石の鳥居が現れた。寛政6年の銘がある。昔は地元
の信仰が篤かったらしいことが分かる。

 その鳥居から50m下った麓にはしまださんの姿。風邪で熱があるというがわざわざどう
も。お陰で小生も感染しました。(笑)

 珍しいレールバスに乗りたくて、北条鉄道の長駅までしまださんに送ってもらう。長(
おさ)駅は瓦屋根に漆喰塗りの無人駅である。駅舎に入ると名残の切符の発売窓口がある。
現在のプラットフォームの向かい側にも上り駅のプラットフォームがあるが、今は使われ
ておらず花壇に転用されていて、葉牡丹が植わっていた。

鄙びた長駅の駅舎。無人駅です

 粟生行きの上り列車がやってきた。後乗ワンマン。ロングシートに整理券箱に、料金箱。
ほんにレールの上を行くバスそのものである。車窓からは西南に、歩いてきた善防山から笠
松山の稜線が望め、余韻を反芻しながら次の播磨下里駅まで長閑な150円の旅であった。

北条鉄道のレールバス

 県道から農道に入り、溜め池の堤を歩き、生コン工場横から公民館へ戻る。早くも西に傾
いた冬の淡い光の中、古法華のアトリエ館の駐車場まで松田さんを送り、帰途につく。25
0m足らずの里山にも拘わらず、岩稜歩き、痩せ尾根歩き、雑木尾根歩きと今日もバラエテ
ィ豊かな一日であった。なかなか良い山でした。まつださん、しまださん、感謝です。



【タイムチャート】
9:00自宅発
10:10〜10:20善防公民館駐車場
10:30下里農協バス停
10:36下里小学校コース出合
10:44善防山東稜突端(Ca140m)
11:02牧場コース分岐
11:03〜11:06善防山前山(第2ピーク)(Ca230m)
11:10〜11:16善防山(251m)
11:30吊り橋分岐
11:39〜11:50古法華
11:55吊り橋分岐
12:02〜12:36笠松山南東稜の無名ピーク(Ca160m)
12:48古法華コース出合
12:52〜13:06笠松山(244.4m 三等三角点)
13:30〜13:35214mピーク
13:40〜13:45熊野権現堂
13:55〜14:00鳥居
14:05〜14:46北条鉄道「長」駅(車で移動)
14:50北条鉄道「播磨下里」駅
15:00善防公民館駐車場



善防山のデータ
【所在地】兵庫県加西市
【標高】251m
【備考】 加西市街の南に蟠る山地の主峰の一つです。この辺りの
山々は岩肌が露出したものが多く、とくに善防山の東稜
は凄みさえありますが、笠松山への縦走路は少々注意さ
えすれば危険なことはなく、家族で歩くのにも適してい
ます。
笠松山のデータ
【所在地】兵庫県加西市
【標高】244.4m(三等三角点)
【備考】 古法華の北西に位置する、どこから見てもピラミダルな
山容をした山です。山頂に展望台が設置され、360度
の展望が得られます。熊野神社への道は古法華からの道
ほど歩かれていませんが、しっかりしておりお薦めです。
【参考】2.5万図『笠原』



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