岩湧寺からヒグラシ降る岩湧山へ
平成15年 7月21日(月)
【天候】曇り一時雨
【同行】単独
三角点の東あたりから眺めるガスに煙る岩湧山西峰


 海の日を含む久々の三連休だが、空模様もテンションもいまいちで遠出する気にもなら
ず、ずるずると最後の休日。「もったいなや!今日こそは行くぞ」と気合を入れるも、す
ぐに萎れてしまう。ほんに単独行とは辛いもの。(^^; それもこれも行先をさっさと決め
ないからだとは判っているのだけれど....。「そやけど、ほんまに何処にすんねん?」
すると、ふと浮かんだのが岩湧山。岩湧寺からはまだ登った事が無かったなぁ。

 大阪の南の端を区切る和泉山脈。豊中からだと一見遠そうだがこれが意外に近いのだ。
例の如く阪神高速三宅RからR309。外環経由でR371を橋本に向かう。すぐに加賀
田の表示。それに従って府道を南下する。車作、神納と由緒ありそうな集落を過ぎるとい
よいよ加賀田川沿いに山深くなる。夜来の雨にじっとり濡れた府道とは名ばかりの狭い道
がうねうねと続く。

 第5、第4と上に行くほど番号小さくなる無料駐車場。頃加減も良いので第2駐車場に
車をとめる。

 さて、まずは岩湧寺に向かわねばならない。すぐ横の道端にあった案内板に見入ると色
んなコースが整備されている様子だ。前もって粗々考えていたのは兎に角ダイトレに上が
って、根古峰の三角点をピストンした後、岩湧山にというコース。先の案内図によれば『
いわわきの道』で登ってダイトレというのが最適そうだ。それを頭に入れて登山口のある
岩湧寺へ向かうことにする。

 第二駐車場からほんのすぐ。府道から林道岩湧線に名称を変えた車道が右に大きくカー
ブする辺りの左手から『いにしえの道』が始まる。谷川沿いに石畳が続く道である。右手
に『落ち葉の道』を見過ごすと直ぐに、水量豊富な水場がある。長寿水だか長命水だか正
式な名前は忘れたが、一口飲んでみたところなかなか上手い水であった。

 再び歩き出すと左手に木橋に導かれた一筋の道が現れた。「ぎょうじゃの道は最近通行
可能となりましたが、所々危ない場所もあるので注意して通行して下さい云々」大略この
様な注意書きが掲げてある。付属の案内図を見ると先で『いわわきの道』に合流するらし
い。こっちの方が面白そう。寺には帰りに寄ることにしてすぐさま予定変更。

 道は橋を渡ると谷川の右岸沿いになる。左岸は先程の『いにしえの道』。川を隔てて単
独兄さんが歩いているのが見える。水音が一段と高くなったと思えば滝。行者の滝という
らしいが、もう一つ上にあった滝の方が立派な様な気がする。

 初めは広かった道も徐々に狭くなる。注意書きがある為か、他の道に比べて利用者が少
ないらしく少々生え込んでいる所もある。じっとり濡れた地面に時折吃驚して跳ねるのは
蛙。ということはそれを狙う「長い物」が現れるのでは?しかも毒を持つのが出たら....。
一寸、不安げな面持ちで、ストックを前を突付きつつ歩いていく。

「うわあっ、出たぁ!」
一瞬、ギョッとする。が、良く見ればヤマミミズ。それにしてもでかい。30p位はあり
そうだ。ピョンピョン跳ねて草叢へ隠れた。

 『ぎょうじゃの道』はかなりの急登である。咲き終わったホタルブクロ。ハリブキの埃
のような花が目立つ。それにしても木の梢さえも、葉さえも揺れない無風状態。その上、
凄い湿気。まるでサウナ。拭けど溢れ出る汗。周りが靄っているのは汗に曇った眼鏡の所
為ばかりではないようだ。何時の間にか辺りを白いベールが流れ出した。

 沢とも分かれて右に折れる。更に左に折れると、ガスの切れ間から眼下に市街が霞んで
いるのが目に入る。ここで一休みして喉を癒す。

 植林帯に入る。下草も無くなって歩きよくなった。相変わらず風が無いのには閉口だが
変なものが出てくるよりはましだ。(^^; 山腹を巻きながら高度を上げて行くと前方に現
れた展望デッキ。『いわわきの道』との合流点である。パイプに導かれた水が流れている。
手にとるとかなり冷たい。しかも非常に旨い水である。甘露甘露。(^0^)

 サワグルミの木の下のデッキで持参の扇子片手に涼を取っていると、『いわわきの道』
から男女二名のハイカーが汗だくで上がってきた。駐車場で同じ頃合に準備していたご夫
婦らしい。聞けば阪南市から来られたとか。暫し四方山話をしてお先に出発する。

 ここからはほぼ平坦な道。と、何時の間にか雨が降り出した。直ぐ近くでホトトギスの
声。良く手入れされた植林帯を抜け、最後のジグザグをこなすと、ようやくダイトレとの
合流点の峠。十字路になっていて、直進すると下方に見える林道に合流する。あれが悪名
高い?林道かなぁ?

 左に折れて数分で金明水。細いパイプで水が導かれた小さな水場である。

 やや強くなった雨の中、杉林の中の峠「五つ辻」を抜け、阿弥陀山を巻いて、南葛城山
方面への分岐がある地点を過ぎる。この辺り、ダイトレは暫らく林道で50m程歩くと更
に左に折れる。高野口町へ降りる林道を分けて間もなく見えてくるのが根古峰の案内板。
植林主体の変哲も無い山だが、自称ピークハンターとしては三角点を踏んでおきたい。案
内板の横から真っ直ぐ踏み跡が登っているのでそれに従う。山頂付近に来ると鉄塔が現れ
た。南海電鉄の電波反射板の鉄塔らしい。その横をすり抜けてGPSの指す方向に進むが、
肝腎の三角点が現れない。低い藪の間を行きつ戻りつしたが要領を得ず。その内、
「痛っ!」 倒木の角で太腿を傷つけてしまった。一瞬諦めかけたのだが、鉄塔横で枝に
赤テープがあったのを思い出し、そこまで戻ってみることにする。すると何の事は無い。
次のテープが見つかった。そしてあっけなく綺麗な三等三角点。さっきは90度違う方向
に進んでいたのだった。「なんでだろー、なんでだろー」(笑)

ダイトレから根古峰を見る
案内板の左に踏み跡がある

 展望は何も無い。登頂プレートが1枚だけの山頂の三角点の証拠写真を撮って、鉄塔の
フェンス沿いの踏み跡を下ると直ぐにダイトレに合流。西へ少し歩いて案内板へ戻る。

 何時の間にか雨が止んで薄い陽射しも落ちてきた。それを待っていたかの如くヒグラシ
が鳴きだした。まだ7月なのに何となく早過ぎる様な...。

 『いわわきの道』の合流点に戻り岩湧山方面に向かう。暫らくすると右側に展望デッキ。
昔は知らず、今は植林に埋もれてなんでこんなとこに?と不思議な感じがする。そして、
この後から恐怖の丸太階段。段差が足の運びに合わず、これはしんどい。2百段位あった
だろうか。やっとのことで上がった辺りも植林帯だが、降りしきるヒグラシに、木々の間
に霧が流れてなかなか幻想的な雰囲気であった。

 やがて見覚えのある東峰は兼松新道との出会い。一旦下って、オカトラノオ、ホタルブ
クロの目立つ草原の間を登って岩湧山の三角点。その先が大展望の西峰。なのだが...。

 残念ながら山頂付近はガスで覆われて展望皆無。仕様がない。遅い食事を始める事にす
るか。するとなんとガスが切れ始めたではないか。眼下に滝畑のダム湖と一徳防山に編笠
山。西に三国山。東にPLの塔や金剛山の山腹も姿を現わした。それにしても雲が低い。
上昇気流に乗ってむくむくと積乱雲が成長して行く様が望める。まるで飛行機に乗ってい
る錯覚を感じるほどである。と見る間に再び下から猛烈なガス。それからは二度と姿を現
すことは無かった。

 数人居たハイカーも姿を消し、残っているのは小生のみ。ガスの晴れ間をと粘ってはみ
たものの、諦めざるをえない。じっとしていると少し寒いくらいの西峰を後にして、東峰
に戻って兼松新道から岩湧寺へ戻る。

 急坂だとガイドにあったが、丸太の階段が設置されていて歩き易くなっている。地面の
所々に小さなプレートがあるのに気づく。シクラメンの葉に似たのはミヤコアオイ。イチ
ヤクソウもあったが、惜しいかな花は終わり。

 途中、北方向が開けて編笠山が望める展望地がある。流石にここから眺めると浪人が被
る深編笠のようである。
林道岩湧線との合流点。左が「いわわきの道」で
階段が「きゅうさかの道(兼松新道)」

 林道が見えてくる。それとの合流点は『いわわきの道』との合流点でもあった。丁度、
岩湧寺の裏手で重要文化財の多宝塔とこじんまりとした本堂を巡る。岩湧寺は役小角が開
いた寺だが今は融通念仏宗の末寺。この付近は融通念仏宗の信者が多いそうだ。

 四季彩館に向かう。岩湧の森の中心となる建物で、デッキのテーブルで休憩ができる。
そこで貰ったガイドに樹齢200年の大ケヤキがあると知り、係の方に尋ねると野草園の
横だという。渓谷沿いの野草園に向かうと大きな岩を根で覆うように大きなケヤキがあっ
た。

 谷川沿いの道は『いにしえの道』で往路に少し歩いた石畳の道であった。行者の滝を見
物して、すぐに駐車場のある車道に出た。

 地元の人達が草刈り。酸っぱいようなドクダミの匂いが辺りに充満している。車に戻り、
Tシャツ半パンを着替える。展望デッキで話をしたご夫婦も同じタイミングで降りてきた
らしい。挨拶してお先に引き上げる。

 梅雨の合間のお手軽山歩き。尚、『みはらしの道』は7/21現在、崩れている部分が
あるとの事で通行止めのようです。



【タイムチャート】
8:50自宅発
10:00〜10:10岩湧の森第2駐車場
10:15『ぎょうじゃの道』分岐
10:48〜11:00『いわわきの道』合流点の展望デッキ
11:16ダイトレ・いわわき道出合
11:25五つ辻
11:30金明水
11:35南葛城山分岐
11:50根古峰標識(根古峰西の取付)
11:55〜11:56根古峰(749.6m 三等三角点)
11:58ダイトレ出合(根古峰南の取付)
12:10南葛城山分岐
12:20五つ辻
12:25ダイトレ・いわわき道出合
12:32展望台
12:40岩湧山東峰(兼松新道(きゅうざかの道)分岐)
12:48岩湧山三角点(897.2m 三等三角点)
12:50〜13:30岩湧山西峰(昼食)
13:40岩湧山東峰(兼松新道『きゅうざかの道』分岐)
14:12林道「岩湧線」出合
14:15岩湧寺
14:20〜14:40四季彩館
15:00岩湧の森第2駐車場


岩湧山のデータ
新緑輝く岩湧山』を参照下さい
 根古峰のデータ
【所在地】大阪府河内長野市
【標高】749.6m(三等三角点)
【備考】 岩湧山の東に位置する和泉山脈の一峰です。植林の中、
三角点の横に南海電鉄の大きな電波反射鉄塔があるだけ
で、展望は皆無です。好事家のピークハンタが訪れる位
なものでしょう。(笑)
【参考】金剛葛城自然歩道ダイヤモンドトレール地図



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