新緑輝く岩湧山

                           平成12年 5月6日(土)
                           天候: 晴れ
                           同行: 単独

 今までにあちらこちらを歩いたが、和泉山脈方面にはなぜか足跡を残していない。しか し、一度は歩いてみたい山域ではある。そして和泉山脈と云えば岩湧山。  阪神高速からR309。新家から外環状を南進する。しばらく走らぬ間に河内長野以西 の外環状は高速並に整備されている。快調に走ってサイクルスポーツセンターを過ぎ、滝 畑トンネルを抜けると、これが大阪府内かと思える山里の雰囲気となる。ダム湖を左手に、 前方には目指す岩湧山の大きな姿が近づいてくる。その奥まった新関屋橋の横の駐車場に 車を置く。  番人のおばあさんがいて料金千円だという。鱒釣り場や川原で遊ぶ家族連れが多いので 一寸高めの設定にしているのだろう。車上ドロに会わぬだけ善しとしようか。  駐車場の南側、綺麗なトイレの建物の裏が登山口になっていて、ダイトレの案内がある。 準備を整えいざ出発である。  のっけから急登。しかし両脇のシャガやモミジイチゴの白い花が和ませてくれる。ガレ た部分を抜けると地道の林道。千石谷林道で、岩湧山と南葛城山を隔てる谷沿いに延びる 林道である。そこに1台の軽四輪が止っていて、上からチェーンソーの唸り声が落ちてく る。  林道を横切り、檜林の中をジグザグに登っていくと、二人の男性が間伐の最中であった。 直径10cm程の檜が手際良く切られていき、木の香がほのかに薫っていた。  やがて道は等高線と平行し出し、徐々に登りつつ南へ向かう。水場を過ぎると、光滝寺 のキャンプ場が遥か斜め下に見え隠れする。早くも青いタ―プを張っているグループがい る。
カキザコ付近から東方向、上山方面を望む
 道はカキザコでヘアピン状に曲がり東に向きを変える。トラロープが張ってあって、出 合橋方面は通行禁止のようである。  再び勾配が増すが、周囲は雑木の上に南が千石谷で開けている加減か明るい。モチツツ ジのピンク、ヤマツツジの朱色が木々の若緑に映えて見事だ。ウグイスがそこここで鳴き 交わしている。しかし暑くなってきた。思わず眼鏡を取り顔を拭く。  腐った木橋から右に曲がり、斜めに尾根に上がる。南側の展望が所々開けて、南葛城山 がどっしり。  植林帯を抜けると明るい伐採地に出る。あとに植えられた杉か檜だかが、未だ幼木の為、 南側が大きく開ける。南葛城山、西には山頂に白い何かの観測ドームを頂く三国山。小休 止して水を補給する。  ここからはまた植林帯。丸太の階段の急登が待っている。風がなく暑い。ゆっくりと歩 を進めて行く。  木のテーブルが置かれている。休憩していると、上からマウンテンバイクのお兄さんが 降りてきた。岸和田の方で林道を五つ辻から廻ってきたという。「この頃、体力が落ちて ねぇ」と苦笑いしておられた。お互いさまです。 (^_-)  この植林帯を抜け出した所が関電の高圧鉄塔bV5。ここには横谷に降りる薄い踏み跡 がある。そしてここからが、後で考えると今日のハイライトの一つであった。広い尾根を トレースする道は、淡い緑の萌え出した雑木のトンネル。足元にはタチツボスミレやスミ レサイシン、チゴユリ。ササユリもある。目の高さにはヤマツツジ。コブシも白い花びら を散らしている。小鳥の囀り。淡い木漏れ日。至福の時が過ぎてゆく。  また現れた檜林を抜けたところが「平野」。滝畑の区有地「キトラ」の説明版が立つ。 大きな木がなくなり、目の前一面に枯れたカヤ。その中を丸太の急階段が登っている。  フウフウ言いながら登りきると、ようやく稜線歩きとなって北側には遮るものがない。 しかし、靄があって視界は芳しくからず。残念。  岩湧寺から上がってくるのか、三々五々ハイカーが増えてきた。行きにすれ違ったのは 例の自転車兄さんと、あとは夫婦1組のみだったのだが・・・。そして、意外に強い陽射 しの下、環境庁が設置した山名板のある山頂が視界に入ってきた。ベンチが置かれ、その 真中に方位盤が設置されている。が、何か変だ。良く見るとなんと左右が逆転しているの だ。葛城山の向こうに金剛山はないでしょう。  ところで赤白ポールがあるのに、お目当ての三角点がない。 「?」。おかしいなあと訝っていると、50mほど東側にやや小高い所が目に付いた。早 速向かうとそれが二等三角点の場所であった。安堵。その頭を撫でる。
岩湧山山頂、このすぐ横の西峰の方が広いです
 東峰へ行ってみる。三角点のある西峰から10分程下って行くと、植林の中の東峰に到 着。ここは兼松新道との合流点で、40分ほど下れば岩湧寺である。さて、どうしよう。 ここから岩湧寺へ出て、ダム湖にかかる夕月橋付近へ戻っても良いのだが、林道歩きが長 そうなのでやめ、元へ戻ることにした。  再び西峰へ戻り、昼食とする。湯が沸く間に汗だくのシャツを脱いで木に懸けて乾かす。 食後のコーヒー片手に眺めを楽しむ。が、相変わらずの靄の為、余り良くない。それでも 河内、和泉が一望できる。関空や海も見えるはずなのだが、乳色のべールの彼方であった。  帰路。カヤトの中を下っているとスーパーのレジ袋に何かを摘んでいる人がいる。聞け ばワラビだという。早速、小生も山の幸を少しお裾分けしてもらおうとしたが、しかし、 存外見つけ難い。目を凝らしてあちこち捜す内に酒の肴分位にはなったので、満足満足。 (おふくろに調理法を聞き、湯掻いてあく抜きしたのち、油揚げとの煮物にして酒の肴と しました)  身近すぎるのか案外と紹介記事の少ない岩湧山。滝畑からのコースは雑木林も残ってお り、手軽な穴場という感じがする。下山した2時過ぎ。駐車場は満杯になっており、川原 には色とりどりのシート。早くも水着で泳いでいる子がいる。晩春というより初夏の装い の新緑輝く岩湧山の5月である。

   【タイムチャート】
    7:50自宅発
    9:00〜9:10新関谷橋横の駐車場(約250m)
    9:20千石谷林道出合
    9:35カキザコ
   10:15〜10:23植林内のベンチ
   10:26高圧鉄塔bV5
   10:55〜11:05 岩湧山山頂(897.2m 二等三角点)
   11:15〜11:20兼松新道出合(東峰)
   11:35〜12:25岩湧山山頂
   13:05高圧鉄塔bV5
   13:45カキザコ
   14:06新関谷橋横の駐車場
 

  岩湧山のデータ
 
    【所在地】大阪府河内長野市
    【標高】897.3m(二等三角点)
    【備考】 大阪府南部を東西に延びる和泉山脈の主峰です。山頂北
部はカヤの群生地で、このカヤは重要な文化財の萱葺き
屋根の材料となっています。中腹に葛城修験の地、岩湧
寺があり、境内の岩から岩湧の名がついたといわれます。
登山コースは滝畑、紀見峠、加賀田等からがありますが、
ダイトレが通っている為、道標も完備されています。最
寄は南海高野線紀見峠駅。または河内長野駅からコミュ
ニティバスで滝畑ダムです。
■近畿百名山■関西百名山
    【参考】ダイヤモンドトレール 金剛葛城自然歩道ガイドマップ



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