春到来、桜の園から安倉山と大峰山
 平成15年 4月12日(土)
【天候】小雨のち曇り
【同行】別掲
桜が出迎える『桜の園』入口


 パラパラと雨粒が落ちてきた。駅までの道すがら。早朝には上がるとの予報が覆って、
回復が遅れているようだ。川西能勢口でJRの快速に乗換えて、8:18、集合地の西宮名
塩駅。見慣れた顔は桜オフの主催者のさとゆきさん、ヒロさん、のりかさん等。もぐさん
夫妻や初対面のMUMさん夫妻、宮本さん、呉春さんらも集まってきた。雨がやや強めに
なってきたこともあって、30分程、賑やかに駅でだべることとあいなった。他の利用客
には迷惑だったかも。(^^;)

 駅前のバスターミナル横を抜け、旧道を生瀬方向へ戻る形で歩いていく。こうして旧道
をぶらりと歩くのもなかなかいいもの。日頃、車で通っている風景とは又違った発見があ
る。今時珍しい藁葺き屋根の民家、今も使われているらしい湧き水。道端にヒメオドリコ
ソウ、ホトケノザの両方が咲いていたから、その違いに薀蓄を傾ける人、墓地にあった珍
しい墓石に興味を示す人。わいわい言いながら遠足気分だ。

 竹薮の下のしっとりした道を降りていくと、JR旧福知山線の廃線跡に飛び出す。踏切
跡がある。2年前に歩いた時を思い出した。そうそう、「ここ踏切跡やなぁ」と思った場
所だ。「ふむ、ここに出てくるのかぁ」と納得。

枕木が残る福知山線の廃線跡を行く

 雨は一旦上がったり、又降り出したりを繰り返す。しかし、小雨の廃線跡もいいもの。
武庫川対岸の岩場に咲く白い山桜、紫のミツバツツジ。緑の松に靄がかかり、山水画の世
界が展開する。

 トンネル。ヒヤっと冷気が包む。天井からの水滴が首筋に当たって驚いたり。湿度が高
いのかトンネルを出ると眼鏡が曇る。アケビ、スミレ、ギブシ、ミツバツツジ、大島桜。
萌え出したばかりの木々の枝先。まさしく山笑う1年で最も良い季節だなぁを実感する。

 幾つかのトンネルを抜け、鉄橋を渡り、後から追いついたまきたさんと合流。総勢11
人、展望広場を過ぎると桜の園の入口である。八分咲きの桜が1本。小休止。

 そこでこの先の予定を鳩首会談。雨はぱらついているが雲に切れ間も出てきたし、折角
だからという意見が大勢を占め、結局予定通り大峰山周回に出発することにした。

 いきなりの急登である。小橋を渡らず、案内板の手前から沢右手の斜面に付けられた道
は屈折しながら尾根に上がる。急に川音が高くなったと振り向けば、隠れていた武庫川の
川面が見え出したからだと判る。山腹はタムシバやミツバツツジが綺麗だ。やや小広くな
った部分で小休止。一気に噴出してきた汗を拭う。向かいの斜面遠くにパラパラと胡麻を
巻いた様にハイカーが見える。ここで呉春さんから草餅の差入れ。些かシャリバテの面々
には干天の慈雨である。

 「こんな道があったんやぁ」という感じの良く踏まれたいい道が続く。『遠見の道』と
呼ぶそうだ。尾根道の両側にミツバツツジの赤紫。前方に大きな藪ツバキの花の赤い色が
ぽぉーっと。

 アカマツ展望所は北側がざれた赤土の斜面。ベンチが置かれている。前方にガスに煙る
大峰山。ガスがなければ良い展望が得られるだろうが、少々残念ではある。まぁ雨が降る
心配が遠のいただけ良しとせねば。(^^;

 ほぼ水平の道を辿る。頭が赤く塗られた境界石標が現れる。その一つ、道標と共にある
bT0と書かれた石標付近がY字路になっていて、右が安倉山への道だとさとゆきさん。
もぐさん夫妻は100m先のツツジヶ丘展望所から先に桜の園に戻っているとのことでこ
こで別れる。

 イノシシが地面を掘り返したのと、雨が降ったのとで泥状になった踏み跡を辿る。この
辺り、のっぺりとしていてアップダウンは殆ど無い。踏み跡ははっきりしているが、少々
迷いやすい地形ではある。暫らくすると一寸した高みに『安倉山』の縦50p位の表示板が
現れるようになる。また同じく『安倉』と彫られた石標も見受けられるようになる。

 現れたT字路を左へ。安倉山の三角点との距離を現す数字を順調に減らしていた手元の
GPSだが、距離70mを限度に、今度は増えだした。その示す方向も右方向(南)と踏み
跡から外れた雑木林の中。先頭のさとゆきさんに声をかけ、暫らく待ってもらって三角点
探しへ向かう。
 
 GPSの示す方向に進むと、猪が到る所を掘り返した中に何となく薄い踏み跡がある。
何か目印はと注意していると、随所の木の枝に白い発泡スチロールの破片を突き刺してあ
るのに気づいた。こりゃ間違いないと意を強くして進むと、前方に見慣れた赤白ポール。
四等三角点『桜小場』。やったぁ。軽い達成感。今更ながらにGPSの威力だ。踏み跡か
ら外れ、前述したようにのっぺりとしていて顕著なピークがない安倉山。文明の利器なし
ではこの三角点はなかなか見つからないはずである。

GPSのお陰で見つけた安倉山の四等三角点『桜小場』
手前右には測量の赤白ポール

 が、見つけて喜ぶ程の展望は無し。南側が2,30m先で僅かに開け、木々の隙間からゴル
フ場らしき芝枯れの野が覗ける程度なので、写真を撮った後、ヒロさん、まきたさん共々
すぐに皆の待つ方へ取って返す。

 元の踏み跡に戻る。程なく十字路。右(南)へ向かって明快な踏み跡。さとゆきさん曰
く、ゴルフ場経由生瀬。古い白いテープを雑木の幹に見つける。擦れた文字にも確かにそ
れらしい記述。直進は木切れで通せんぼ。左を選択。

 安倉山と大峰山を結ぶ鞍部までは粘土質の急降下。滑ると惨め。足元注意だが、左(西)
が開けてどうしてもそちらに目が行ってしまう。この辺りは桜の園を流れる谷川の源頭に
あたるのであろうが、100m程離れた雑木林の中にタムシバが10本ほど並んで咲いて
いるのだ。枯葉色の木々の中、白が目立つ。

 そこを抜けると再び十字路。大峰山へは真北方向へ進む。直ぐに結構きつい登りになる。
顎が出だした頃、右から十万辻からのメジャーコースと合流すれば、頂上手前の鈍いコブ。
手製の道標があって、何故か歩いてきた方向が黒ベタで消されている。そこから頂上はつい
そこである。

 大峰山の頂上はこれで3回目。やや荒れた感じの疎林の中。小さい白い花をつけている
のはヒゴスミレ。エイザンスミレに似た切れ込んだ葉をしている。十万辻から上がってこ
られたご夫婦が「以前はもっとあったのに」と嘆いておられた。

 記念写真の後は桜の園方向へ降るのみ。昼食が待っているのと、もぐさん夫妻が先に降
りているのとで、自然、みんなの足は速まる。ミツバツツジの回廊を抜けて一気に下る。
ガスが晴れてきて、北方向に羽束山の姿が垣間見えた。

雨の滴を含んだ可憐なミツバツツジ

 樅の木がすっくと立つ斜面にある東屋にはもぐさん夫妻が先着、ちゃんと場所取りをし
てくれている。早速、昼食。こんな時、女性が混じるオフは最高。何といっても差し入れ
のこの多さよ。今回も、冷酒に草餅、イカナゴの釘煮、小エビの天ぷら、タケノコ、奈良
漬け等々。代わりに焼酎をお裾分け。といっても半分強奪された様なものだったが。(笑)。

 昼食後はちょっとほろ酔い加減で桜の園入口へ。スミレやヒメウズに目を留めながら、
ゆるりと下る。天気が回復してきたからか、登ってくる人が多い。水上勉の『櫻守』の主
人公の弥吉と竹部庸太郎がSLの煤煙にまみれながら通ったトンネルを二つ抜け、僧川(
ぼうさんがわ)に架かる木橋を渡る。二年程前に登った馳渡山の麓の旧武田尾駅跡は現在
は駐車場である。その旧駅前の小さな商店街を抜けて、半分武庫川の上、半分トンネルの
中のユニークな無人駅武田尾駅に到着。でも2年前は駅員がいたような....。上佐曽利行
きの阪急田園バスがゆっくりと出発していった。間もなくやって来た各停で、五月雨解散。
春爛漫の櫻オフ。本日の企画のさとゆきさん、参加の皆さん有り難うございました。


■参加者:呉春さん、さとゆきさん、ヒロさん、のりかさん、まきたさん、宮本さん、
     もぐもぐさん夫妻、mumさん夫妻、(五十音順)

【タイムチャート】
7:15自宅発
8:18〜9:10西宮名塩駅
11:15〜11:22櫻の園入口
11:40〜11:50尾根登り中間部(小休止)
12:06〜12:12アカマツ展望所
12:18No50石標(安倉山分岐)
12:32安倉山石標のあるT字路
12:40〜12:42安倉山(464.9m 四等三角点 点名『桜小場』)
12:56〜13:00
13:10十万辻コース出合
13:12〜13:25大峰山(552.3m 三等三角点)
13:56〜14:30櫻の園東屋(昼食)
14:55櫻の園入口



大峰山のデータ
お手軽ピークハント〜北摂大峰山』を参照下さい
安倉山のデータ
【所在地】兵庫県宝塚市
【標高】464.9m(四等三角点)
【備考】 宝塚市が整備し、ポピュラーなハイキングコースのある
大峰山の南に位置する山です。顕著なピークが無く、の
っぺりした山容ですが、雑木の中の歩きが楽しめます。
尚、踏み後が錯綜し、ハッキリした尾根がないので、歩
く際は地形図が必携です。
【参考】2.5万図『武田尾』



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