盛夏に歩く高見山

平成14年 7月28日(日)
【天候】 曇り時々晴れ
【同行】 単独
大峠(高見峠)の登山口。左の崖にナデシコが咲く


 真夏の低山は辛い。でも家にいてもやっぱり暑さは辛い。同じ暑いなら自然の中で。し
かし、そこはそれ、やっぱり出発点が出来るだけ高所で、更に縦走や、くるっと周回出来
たり、水辺を辿ることが出来るならそれに越したことはない。そんな条件付きの所を日帰
り圏で探すとなるとなかなか容易ではないが、ふと脳裏に浮かんだのが高見山。私めが山
を歩き出した頃、初めて遠出をした印象深い山である。その時は秋真っ盛り、所謂、文字
通りの錦秋。杉谷の登山口から小峠経由で標高差約900mを登り、大峠から延々車道を
歩いて杉谷へ下ったのだが、今回は真夏。とてもそんなまねは出来ない。(笑)
そこで思いつくのは大峠迄車で上がって小峠に降りるお手軽バージョン。でも結構きつか
った。(^^;;

 やっぱり好き者はいるようで、杉谷の登山口には数台の車が駐車していて、ジモティー
の茶店も店を開けている。それを横目に更に国道を登り、案内板に従って大峠(高見峠)
を目指す。路肩の補修もされているようで、小峠のヘアピンを抜けてまもなく東屋の建つ
大峠。やっぱり数台の車がある。

 車を降りるとやはり平地とは違う。涼風が吹き抜ける。何といってもここはもう標高9
00m。ほぼ六甲山の高さで、この前の八ヶ峰より100mも高いのだ。手元のGPSを
見ると山頂までの直線距離は600m。距離は短いのだが、その間の標高差は350mと
結構な勾配。眼前の高見山は屏風の様で、意外に山頂が遠くに感じられる。

 鳥居を潜って石段に取り付く。すぐ左手に般若心経云々と彫られた石碑と小さな四角い
祭祀用の壇がある。すぐに雑木のトンネルとなり、体慣らしを兼ねてゆっくり登って行く
とまもなく展望広場に出る。中年男女3人組が休憩中。丁度雲が切れたところで、日射し
を遮るものがなく暑い。振り返れば台高の主脈を見晴るかす事が出来るのだが、生憎白い
靄で霞んでいる。太陽を避ける様に再び雑木の中へ潜り込む。

 下草のクマザサが茂る雑木林の急斜面にジグザグに切られた登山道。おまけに風がない。
早くも額から首から顎から汗が滴る。しかし、深い緑の木々、野鳥の声、ヒグラシの涼し
げな鳴き声に気分は良い。
蝉時雨降る雑木の中、清々しい道が続く

 何度も立ち止まっては汗を拭う。雑木のトンネルを抜け出ると南方面は重畳とした山々
が広がるのだが、今日は白く霞むのみ。何という名前なのだろうかジージーと大きな鳴き
声をたてる蝉が暑苦しい。時折、吹き抜ける風が恋しい。我慢しながら進むと直下に大峠
の広場が見える場所がある。駐車した車が小さい。何時の間にやら大分上がってきたもの
だ。更にもう一度雑木のトンネルを潜って抜け出た所が八咫烏を祀る高角神社が鎮座する
山頂である。三角点は社の裏にある。高角神社にはミニ社殿があったはずだが、落雷でも
あったのか石碑に代わっていた。
高見山山頂の高角神社とその裏の二等三角点

 あに図らんや、山頂には誰もいない。代わりに夥しい数の赤とんぼ。展望台に上がって
みるが、霞は一向に晴れず。分かる山ではかろうじて雲ヶ瀬山くらい。西に平野の集落が
見えるが....。とりあえずベンチにTシャツ、タオルを干す。涼しい風が吹き抜けるので
ここで昼食とも思ったが、日射しは厳しい。日陰を捜そうと展望台を降りかけた時である。
ふと階段下の建物の際に目をやると、なんと大きなアオダイショウがとぐろを巻いている。
「!?」
小石を拾って投げると驚くふうでもなく悠々と階段と建物の隙間に身を隠した。

山頂展望台下でとぐろを巻いていたアオダイショウ

 その隙に尾根伝いに西の方向へ歩いていく。再び雑木のトンネルを50m程進むと笛吹
岩。昔、坊さんがここで笛を吹くと、山に棲む大蛇が集まってきて音色に聞き惚れたとい
う言い伝えがあるらしい。突端に立つと南側の台高主脈が一望だが、今日は直下の林道や
国道ばかりが目についた。それでも気分が良い所。小峠から登ってきたという先客のご夫
婦がおられたが、場を譲った頂き、結局ここで昼食とした。

 小峠の道も以前に比べて余程整備されている。鎖、丸木階段。冬季や秋深まる頃の大人
数の登山者を受け入れるのだから、土砂の流出を防ぐには仕様がないか。間違っても千早
本道にはして欲しくないなあ。

 揺岩、息子岩、国見岩と謂われのある岩が続く。概して尾根につけられた道で、植林帯
に入ればまもなく平野コースとの分岐の小さな峠。ここからは、桧林の中の急降下となる。
やがて地道の林道が見えてきて、朽ちた鳥居を潜って、コンクリ階段を降れば小峠に着く。

 真っ直ぐ進めば杉谷へ向かう旧伊勢街道。ここは大峠へ向かうので、林道を東へ100
m進んで車道と合流し、更に東に。

 車道歩きはいやなものだが、良い風が吹いて気持ちよい。早くもゲンノショウコがピン
クの花を咲かせている。鹿除けネットの張られた桧林の際に1本のヤマユリ。数輪の白い
大きな蕾をつけており咲けばさぞ華やかであろう。そういえば近くの波瀬はユリの群生地
で有名であった。

 水音に近寄ると小さな沢。手をつけると冷たい。火照る顔と首筋を洗って一息つく。そ
してそこからまもなくで大峠。東屋に座って着替えを済ましていると、登山路下の崖に数
輪のカワラナデシコに気づく。でも一寸写真を撮りに近づくのは難しそうだ。

 帰りは高見山の湯に寄って汗を流す。ラッシュの前に名阪を抜けて、5時半には無事帰
宅となった。盛夏の低山紀行。これもまた楽しからずや、かなっ?


【タイムチャート】
9:10自宅発
11:15〜11:25大峠(高見峠)(Ca900m)駐車地
11:40休憩広場
12:10〜13:05高見山(1248.9m 二等三角点)
13:11揺岩
13:12息子岩
13:13国見岩
13:25〜13:26平野コース分岐
13:39〜13:40小峠
14:03大峠(高見峠)(Ca900m)駐車地



高見山のデータ
高見山〜錦秋の台高』をご覧下さい
【参考】エアリアマップ『大台ヶ原・大杉谷・高見山』



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