木枯らし一号が吹いた翌日の日曜はピーカンとの事。またまた退屈虫が蠢きだし、先週 行きそびれた高見山を目指すことにした。低山ハイク初心者としては、一寸アプローチが 長いんではと、不安がよぎるが、例によってデイリーストアでおにぎりと水を買い、8: 58出発する。 大した渋滞もなく、10:05針インターを降りる。R369を南下、鷲家を過ぎ、木 津トンネルを出た所で高見山の写真を一枚。「あの上に行くんだなぁ。本当に行けるんか いな?」またもや一抹の不安。 10:51杉谷の登山口の路肩に車を駐める。向かいには新しいトイレもあり、周囲は 綺麗に整備されている様だ。靴を履き替え、ザックに荷物を積め、バス停から30m下っ た民家横より11:00丁度出発する。(タイムチャートは後述) バス停側の売店の横に「高見の霊水」なる湧水がある。帰りに汲むことを約して歩を進 める。登山口からいきなりの急坂である。江戸時代は伊勢南街道として紀州藩などが参勤 交代の道として使ったと案内板にあるが、こんな狭い道を果たして「下に。下に。」と篭 を担いで進んだのであろうか?杉木立と笹の幅1m程も無い道が....。 いきなりの坂道で早くも息が切れる。先が思いやられる。道は丸太の階段、自然石を敷 いた部分と良く整備されているが、笹、植林の杉が繁り、やや暗い感じで、周囲が見渡せ ない。時折射す木漏れ陽のみが心強い。10分程で道左手に撞木松がそびえている。旅人 が撞木にたとえたとのこと。 さて道は川底のように周囲より低い部分を通って葛籠おれで続いている。しばらくする と、やっと平坦な部分となる。古市と案内にある。昔、塩、野菜などの市が立ったそうな。 今は只の松の疎林だが..。 11:25一等水準点。11:30雲母曲(きららひじ)。休憩が増える。息が切れる。 もう引き返そうとの気持ちがよぎる。その時前方に白い物が見えた。軽四輪が2台である。 そう言えば先ほどから、チェーンソーの様な音がしていたが。と間もなく小峠の表示。ほ っと一息つく。しかし...。 登山口方向とある矢印の方向を見て唖然。鳥居から前にも増した胸突き八丁が続いてい る。ここでまたまた引き返したくなるが、煙草を一服、水を飲んで気を取り直し、再び歩 を進めることとする。 鳥居を潜って石段を登る。難所だ。立木を掴んで、あえぎつつ重い体を持ち上げていく こと10分。振り向けば、いつしか背後の山が低くなっている。平野道分岐を過ぎて乳岩 の表示。路からは見えない。二つの岩が乳房の様に並んでいるとのこと。やや平坦な松と 雑木の尾根路から再び急坂へ。野鳥が多い。10cmほどの小鳥、名は分からない。 人声がする。思わず勇気づけられる。国見岩である。養護施設の一行が休憩中だった。 岩の上は占拠されているので、パスして進む。すぐに揺ぎ岩。藤原鎌足の伝説あり。しか し、どっかりと根を張っていて揺るぎそうにもなさそうだが...。 平野からの登山道と合流後は、尾根筋道はやや平坦となり、リョウブ、ブナ、アセビな どの雑木林に何時しか変わっており、紅葉、黄葉の折り敷かれた道となり、木の間隠れに 西方の山並みが見え隠れする。 鞍部を過ぎると間もなく笛吹岩である。先程すれ違った老年カップルから聞いた所だ。 頂上は近い。力が再び湧いてくる。表示板によると、高見山を開いた高僧の笛に近隣に住 む大蛇が聞きに来たとのことで、流石に眺望は絶佳である。先客が一人、写真の撮り合い をする。ここからは南の方角の眺望が良く、国見山、薊岳をはじめとする重畳たる台高の 山並み、南西には大普賢岳の特徴のある姿もはっきり見える。ここで食事とも思ったが、 例の養護施設のパーティがやって来たので、取りやめる。
山頂より台高、大峰の山並みを望む。 中央のドーム状のピークは薊岳 |
高角神社。御祭神はやたのからす |
大峠への下りからの高見山 |
高見山のデータ 【所在地】 奈良県吉野郡東吉野村 【標高】 1249m 【備考】 奈良県と三重県の県境、台高山脈の主峰で、R369木津峠からの姿は、 近畿のマッターホルンの名に恥じない秀麗さです。隣の三峰山(みうね やま)と共に霧氷で有名。その季節には近鉄榛原駅から奈良交通の霧氷 バスが出ます。
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