渓谷の森公園から秋風そよぐ大野山

平成13年 9月29日(土)
天候: 晴れ
同行: 水谷さん
気持ちよい大野山北尾根を行く。秋の収穫は?


 大野山は摂丹国境に位置する、北摂では大きな山容の山である。南側の猪名川町柏原か
ら車で登れる山でもあるが、低徘派の仲間の兼武さんから、その北麓に篠山市が公園を整
備し、そこを起点とした登路が整備されたとお聞きした。「雑木が良いですよ。」の言葉
にまた訪ねてみたいものだと思っていたのだが、幸運にも同じく低徘の仲間、水谷さんの
同行が得られ、北から山頂を経て、東側の西軽井沢へという変化のある山歩きが実現した。

 秋晴れの土曜日12時半、集合場所の阪急バスの西軽井沢バス停近くの広くなった路肩
に停車し、PCで掲示板を確認しようとしていると、まもなく水谷さんの車がやってきた。
ここに1台をデポして、もう1台で渓谷の森公園へ向かう。

 猪名川町から篠山市に入ってすぐ、左手に真新しい建物が見えた。渓谷の森公園である。
ログハウス、オートキャンプ、レストラン、栗園、入浴施設が完備されている。施設利用
料は500円。車を置いて奧へ向かう。炭焼き施設が盛んに煙を上げている。コミュニテ
ィハウス「杉木立」の横に大野山への道標。右手の細流に沿う、よく手入れされた杉の植
林帯の中の登山道は、所々に倒木があるが明瞭。ミカエリソウの群落と流れの音が涼しい。
沢を一旦渡って又渡り返す。この辺りは大雨の際の出水の加減であろう、道はやや荒れて
いる。

 徐々に右側の沢が下方に離れてゆく。山腹を巻いていた道は、左に大きく曲がるとジグ
ザグを切って急斜面を上がっていく。このコース一番の急斜面だが、それも一時。まもな
く高さ500m程の北西尾根の突端に登り着く。

 雑木に囲まれた尾根の先端に立てば、下方に先程通ってきた県道が眼下に。南には谷を
隔てて、山頂のNTTの通信施設が見える。

 ここからは快適な尾根道である(冒頭の写真)。沢山のアカマツが生えている。昔は有
数のマツタケ山だったと思われる。

 突然、水谷さんが声を上げる。「いいにおいがする...。」
すわっ。赤松の根元に生えてる秋の味覚の王者が?しかし、まもなく世の中そんな甘いも
のじゃないって事を思い知る羽目に。(^^;) 残念ながら、見つかるのは名前も分からぬ
黄色や白いキノコばかり。中には結構大物もあって、食べられそうなものもあったが、矢
張り一寸躊躇。

 ネジキやリョウブ、ソヨゴなどの気持ちの良い疎林が続く。木の間隠れに東側の稜線も
見え出し、下草にササが現れてきた。北摂でササが出てくると山頂は近い。膝くらいのサ
サが被ってやや歩きづらいが、それもほんの少し。何の工事をしているのか重機の音が聞
こえてきて、左に何時の間にか巨大なNTTのアンテナ施設が姿を現した。飛び出した所
はそのNTTの施設の西側、ゲンノショウコが群れ咲く広場であった。渓谷の森公園方向
を示す手製の道しるべがあるが、なければこの取りつきは草に隠れて見逃しそう。

 が、今日初めての展望は素晴らしい。手前の山稜からちょこっと顔を出した八上山。篠
山盆地を隔てて多紀アルプスが累々と横たわっているのが眺められる。奥には粟鹿山。か
すかに大江山と思しき青い影。西に笠形山。さわやかな風を受けながら眺める。

NTTの無線塔の西の広場から望む多紀アルプス
左から西ヶ岳、三岳、小金ヶ岳

 しかし気になるのは重機の音。車道の整備中とかで、西のCa720mピークは赤裸で、
痛々しいことこの上なし。これ以上の整備は必要ないと思うが...。その音を避けるよ
うにして、東側の山頂部へ向かう。アジサイ園の中の踏み跡を登って三等三角点のある山
頂はすぐである。

 以前に比べてササが刈られたりして整備が進んでいる。今度は東と南の見晴らし良し。
深山、剣尾山、横尾山は指呼。弥十郎ヶ岳、丈山。遠くには長老ヶ岳、大岩山とそれに続
く京都丹波の山々。南は大船山に羽束山。六甲に丹生。遠く雄岡山、雌岡山。野焼きの薄
煙。

 昼食が未だであったので、いささかシャリバテ。水谷さんには失礼してベンチで食べ物
と水分補給する。

 さて、下山は西軽井沢を目指し、南へ向かう。グミの実があったが渋いそうなのでパス。
だが、踏み跡周辺には秋の草花があちこちに妍を競っている。アキノキリンソウ、ゲンノ
ショウコ。ツリガネニンジン、そして極めつけは秋の味覚ムカゴ。ジネンジョの蔓が木に
巻き付いていて、触るとホロホロと落ちて来る。水谷さんにはムカゴ飯を推奨した。

 左手に新しい造成地。また通信施設が出来るらしい。取付道路が出来ていて、笹藪が切
り開かれていた。閉鎖中の阪急バス山の家の西側は好展望地。岩の上に登って眺めれば、
丁度、西日に照らされて瀬戸内海が見えた。日生らしい島影と播磨平野から加古川近辺の
コンビナートの煙突群も認められた。
 
 以前は少しヤブだった部分も綺麗に刈られ、山頂部への最後の登りだったザレ場も、丸
太の階段がつけられている。篠山市が毎年、ふれあい登山を行っているのでその為に整備
されているのであろうが、ますます面白みが無くなると思うのは小生だけだろうか。

 こちらは本道だけあって、遊歩道並のいい道が続く。赤松も多いので秋の味覚を探して
歩くが、収穫は勿論なし。あるなら当然、立入禁止のナイロンテープが張られているでし
ょう。代わりに傘の直径15cmはあろうかという大キノコを発見。ついでに古い薬莢も
先程のザレ場で見つける。帯文字からウインチェスターの文字が読みとれた。

 間近で三声。甲高い鹿の鳴き声がする。探すが姿はなし。沢沿いにはミカエリソウが咲
いていた。やがて、西軽井沢の別荘地域に入る。廃屋も多い。しかしガレージに車もあり、
少数ながら住んでいる方もおられるようだ。健猟会と表札のあるバラックを右に、朽ちた
登山口標識のある橋付近でムカゴを採っていると、先週、金剛山で見かけた花に出会う。
ツルニンジン。今回はデジカメがある。早速撮影しておく。 (^^)/

 別荘地内は谷川が流れているので湿っているのであろう、ツリフネソウがこれでもかと
いうほど咲いている。オタカラコウやミカエリソウも。

 花を眺めたり、写真に収めたりしているのに時間を取られながら、ようやく県道の西軽
井沢バス停に到着。デポした車で渓谷の森公園へ戻る。丁度4時。手頃な山歩が出来る山
が又一つ増えた心地で、公園を後にした。



【タイムチャート】
12:25〜12:30西軽井沢バス停(集合地)
12:35丹波篠山渓谷の森公園(Ca400m)
13:10〜13:15大野山北尾根
13:42大野山NTT鉄塔横駐車場
14:00〜14:15大野山山頂(753.5m 三等三角点)
15:45西軽井沢バス停
15:52丹波篠山渓谷の森公園



大野山のデータ
秋山しっとり大野山』をご覧下さい
【参考】2.5万図『福住』



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