秋山しっとり大野山

                           平成10年11月 1日(日)                            天候: 曇り時々晴れ                                同行: 単独        
  暖かい日が続くが、それでもだんだんと秋の気配が濃くなりつつある今日この頃..。  北摂、能勢の山々も木々が色づき始めている。奈良の山奥なぞはさぞかしと思うのだが、  なぜか近頃遠出が億劫で、ご近所の山ばかりを巡っている。 (^^;             この前は奥箕面の鉢伏山。その前は剣尾山。今回はもう少し奥に出かけてみようという  わけで、登山口の前の県道は何度となく通過しているものの、なぜか今まで取りこぼして  いた大きな山、大野山。早めの昼食を済まして正午前の遅出ででかけてみた。先週買った  ポケットの沢山ついたベストは今日が使い初め。カメラのマクロレンズ、手帳、エアリア  マップをジッパー付きのポケットに突っ込んでの出発である。               大した渋滞もなく伊丹から川西能勢口、清和台を抜けて紫合から猪名川沿いに県道川西  篠山線を北上、1時間程で目的地の西軽井沢。                      先着の車が4、5台路肩にとまっている。小生は右側の空き地を駐車地代わりに。所有  者の方すみません。 m(_ _)m                             丁度、阪急バスの停留所前が登山口。山頂まで2.4kmの標識が出ている。家の敷地  の間の舗装路を登る。                                 ここはもともと別荘地らしく、西の軽井沢ということで命名されたらしいが、較ぶべく  もない。蔓草の絡みついた門だけが当時を偲ぶばかりの廃屋も多い。何かうら寂しい感じ  がする。                                       左に岩を噛む谷川の音を聞きつつ坂道を上ると、まもなく突き当たりのT字路となり、  橋を渡った所に登山道の標識がある。標識の右に赤テープを巻かれた道があって、これを  採っても行けそうだが、標識に従い左の道を採る。                    右に折れると舗装が途切れ、荒れた林道ふうの道となる。                猪名川町消防組合の火の用心の看板の所から右へカーブした道は、徐々に狭くなってよ  うやく山道らしくなる。しかし、何となく明るい雰囲気がする。周囲が植林された針葉樹  でなく雑木の疎林であるのと、要所要所に赤テープが巻かれてある事が、気持ちの上で安  心だからだろう。                                   水の音が大きくなってきた。前方の岩から水が滝となって落ちている。滝といっても高  さ1m程のミニですが...。滝壺?の石をほじくると、サワガニが慌てて隣の石の下に  潜り込んだ。その背中の赤さが妙に艶めかしく、鮮やかに目に焼き付いた。          再び歩き出す。沢を越えた辺りから岩ゴロ道は勾配を増し、ジグザグの山腹登りとなる。  なかなかの骨あり。息を整え汗を拭く回数が増える。目を下にやると、いつの間にやら県   道が遥かかなたに細くなっているのが疎林越しに垣間見える。手元の高度計、約600m。   何度か小さな沢を横切り、大きな岩の下を巻いて湿った沢と並行に登ると前方に大きな  松の倒木。その下を潜ると丸木の標識がある。その示す方向には直線の坂。胸突き八丁の  急勾配だ。しかも粘土質の為良く滑る。トレッキングポールの有り難さよ。         50m程の急登をしのぐと又道標。今度は右に山頂まで600mとある。右を見ると腰  までのクマザサが繁っている。が、踏み跡は明瞭。先週の鉢伏山と同じ。これまた50m  程進むと左に舗装路、前に関電の無線中継所の建物が現れた。登山道は右のクマザサが綺  麗に払われた2m幅の道である。                            アカマツとクマザサの中を一旦緩く下って又登り返すがほとんど平坦路。右には能勢の  山並みが広がる。流石、ガイドブックに素晴らしいと形容されるだけのことはある。しか  し、秋だというのに今日は春の様に霞がかかっている。残念といえば残念。         前方に見えるNTTの尾の山中継所横の高みが山頂の様だ。大きな楕円の形をした山頂  にはコンクリート製の方位盤と木のベンチが置かれ、先着は1組の夫婦の方。挨拶して、  例の如く三角点にタッチし、奥のベンチにどっかりと腰を据える。          
広々した大野山山頂、方位盤の横に三角点
  水を補給した後、やおらコーヒーを湧かす。この1杯が最高。さらに煙草一服と生きた  いとこだが絶煙中の身、がまんがまん。(^^ゝ                      落ち着いたところで方位盤にエアリアマップを拡げ、コーヒの紙コップと双眼鏡片手に  山座同定と洒落る。                                  まず北には弥十郎が岳がどっしり。だが、その横の丈山の方がピラミダルで秀麗。その  奥の多紀連山は霞んで見えずじまい。東は、深山の長い稜線と剣尾山。下の集落は杉生新  田?。南は独立峰の大船山と羽束山がやっぱり特筆物だ。が、見えるといわれる瀬戸内海  はこれも霞んでいてNGでした。                            同定にも飽きて、後片付けの後は、ぶらっと大野アルプスランドといわれるキャンプ場  を散策してみる。                                   色鮮やかなモミジがあると思えば、アジサイの咲き遅れもまだ咲いているというアンバ  ランスが面白い。キャンプ場の中に、行基が開山という日光寺跡を示す猪名川町の説明板  等を見ながら再び山頂へ戻る。                             さて、下山である。本来は南麓の猪名川町柏原に降りるのがポピュラーらしい。猪村へ  の道もあるようだが、マイカー登山の常、無難な(軟弱とも云う)登路下山を採用する。   行きには気づかなかったのだが、アカマツ林の中に建物がうずくまる。ガイドにもある  大野山荘。阪急バスの所有らしいが最近使われた形跡は皆無であった。           それにしても北摂には珍しいほど植林の少ない雑木の山である。かさこそ鳴る落ち葉の  絨毯。この黄葉の季節も良いが若葉の頃も良さそうだわいと独りごちながら、久々にしっ  とりとした秋の山歩きを味わう。                         
しっとりとした秋山が満喫できる登山道
  日が大分短くなってきた。登山口に戻った頃は、まだ4時前だというのに空は早や薄い  セピア色。シロヨメナの花の白が、陽の翳った山道に浮かぶ晩秋である。       
    【タイムチャート】      11:35     自宅発      12:45     西軽井沢(駐車地)      12:50     登山口(西軽井沢バス停)(約340m)      13:00     橋横の道標      13:20     小滝のある沢      13:40     道標      13:42     道標      13:43     関電無線中継所      13:50     大野山山頂(753.5m 三等三角点)      14:50     下山      15:20 小滝のある沢      15:35     橋横の道標      15:42     登山口
   大野山のデータ     【所在地】 兵庫県川辺郡猪名川町     【標高】  753.5m(三等三角点)     【備考】  摂丹国境近くに根を張る北摂には珍しい大きな山で、山           頂直下にNTTや関電の無線中継所が並立している為、           同定し易い山の一つです。           山頂周辺には、昔、行基が創建したという日光寺や大野           城があったと云われていますが、現在は大野アルプスラ           ンドという名でキャンプ場や運動広場が整備されていま           す。           交通は、能勢電日生中央から阪急バスで西軽井沢バス停           下車が便利です。
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