北摂鉢伏山で鹿に驚く

平成13年2月25日(日)
天候: 晴れたり曇ったり時々小雪
同行: 単独
自然研究路6号の明るい雑木の林を往く
 

 春めいた陽気が一変した日曜日。朝起きると青空だが北西風が強く、北の方は雪雲と思
しき灰色の雲。遠出は諦めて午後から箕面近辺の散策。ついでに鉢伏山の経緯度も測って
くる算段である。
 
 途中のコンビニで軽い食べ物を仕入れて、箕面のドライブウェイから分かれて、箕面ダ
ム方面に向かう。トンネルを抜け、箕面自然休養林の標識横の橋が自然研究路6号の入口。
向かいの清水谷園地の駐車場に車を置き準備を整える。強い風と共に粉雪が舞いだした。
空を見上げると、いつの間にか灰色の雲が空を覆い、足早に南へ進んでいる。細かい雪で
山々も霞む。

 橋の前の路肩には2台の先着車。ダム方面から来られた単独小父さんが50mほど先を
行く。寒いのに結構好きな方はおられるものです。(^^);

 今日の目的地の鉢伏山は奥箕面の山。あまり植林されていない為、雑木が比較的多く、
北摂の山の表情を未だに良く残しているように思える。四反田谷沿いにつけられた研究路
6号も雑木の間を抜けていく道である。ケンポナシ、マタタビ、ヤブツバキ等々、落葉樹
と常緑樹が入り交じっている。右下深く四反田谷の沢音を聞きながら、炭焼き窯跡を横目
に進めば、谷が次第にせり上がってくる。左から合流する涸れ沢や四反田谷の沢を渡る頃
になると、道は次第に沢自体の中を歩くようになる。尤もここまで来ると涸れ沢だが。

寒の戻りの青空の下、春を待つ(自然研究路6号にて)

 サルナシの説明板の所で左に折れて、丈の低いササが繁茂する中を行く。それも束の間、
沢の源頭部に出た道はジグザグを切って高度を稼ぐと、EXPO記念の森と鉢伏山を結ぶ
道の出会いである。先程の単独小父さんは記念の森へ向かわれたようだ。後ろ姿がちらり。

 右(北)の鉢伏山へ向かうササの繁る道は、良く歩かれるようになったのか以前より踏み
固められている。ヤマツツジ、イヌツゲ、リョウブ、コナラ。陽射しがよみがえって明る
い雑木の林に、北から流れてきた小雪がちらつく風情もまた良し。振り返れば、植林の緑
の中に記念の森の展望台。その横、大阪市街の向こうには大阪湾が光っていて、貨物船ら
しき船影も認められる。六甲山から中山、大峰山方面は雪が舞っているのか時折姿を隠す。

 ササの丈が背丈を超えてくれば、すぐに関電巡視路にでる。まずは西側の高圧鉄塔に向
かう。吹き上げる風は冷たいが、ここからも大阪湾が見える。川西から豊能町の市街、千
丈寺山や銀山、有馬富士等、北摂西部の山々が波打っていて、遠くには笠形山と思しき山
影迄が認められる。久方ぶりに延びる視界を愛でながらの小休止である。

 人声がすると思ったら鉢伏山頂上には2人組の初老男性。今日は天上が岳から一巡され
たそうだ。北摂を舞台にした、公共の名の下に行われている無節操な開発を嘆いておられ
た。同感。
 さて、本日の目的の一つ、GPSによる経緯度の計測。北緯34°52’25”.2、東経135°
28’36”.7 とでた。

 山頂に暇乞いをして関電巡視路出会いから、北の明ヶ田尾山への道を暫く歩いてみる。
こちらはやや歩く人が少ないのか、所々ササのトンネルもあるが踏み跡は確か。

 左のCa600mピークにあるアンテナ施設を見て暫く進んだ頃である。背後からバサ
ッと大きな音がしたと思ったら、大きなヤマドリが飛び立って、長い尾を引きながら慌て
て小生の頭上を飛び越えていった。でも、もっと驚いたのはこちらの方だがなあ。(^^); 

 小さな鞍部の枝に「止小」のマークがあるのが目に入る。左側に踏み跡があって止々呂
美への矢印のあるテープが見つかった。有ることは知っていたのだが、迂闊にも今まで気
づかなかった。止々呂美へのルートはこれだったのかと得心。
 
 登り返すのがしんどいので、梅ヶ谷へ一気に下りだす手前で今日はUターン。道を外れ
て歩いたりしながら巡視路に戻って、今度は東側の高圧鉄塔。こちらはこの辺りの最高峰、
一等三角点を持つ石堂が岡から北摂霊園が見渡せ、今日は生駒の奥の奈良の山々も眺めら
れる。眼下には高山方面へ向かう府道を行き交う車。

 ゆっくりと来た道を戻る。EXPO記念の森の芝生広場に顔を出すが誰もいない。引き
返して560m尾根をぶらついてみる。ここは桧の植林が続く尾根。境界を示す頭を赤く
塗られた石標を辿っていく。
 
 と、人の声の様な音がした。耳を澄ます。何も聞こえない。すると突然、前方を5,6
頭の鹿が横切った。箕面で鹿に出会ったのは初めて、しかもこの頭数。一瞬の出来事にデ
ジカメを出す暇もなく、目に尻の毛の白さだけが残る。走り去った尾根下を見下ろすが、
勿論見つかるはずもなく、黒い糞が見つかったのみ。

 めまぐるしい変わる空だ。灰色の雲が覆いだし寒さも募る。三時半。そろそろ引き上げ。
空腹感に、存外綺麗な水が流れている箕面川の河原で、風を避けてコーヒーブレイク。コ
ンビニで買ったサンドイッチと熱い珈琲でやっと人心地をつけ、帰途に着く。

 都心からこれだけ近くに、まだこれだけの動物が棲んでいる。付近ではオオタカの営巣
地も見つかった由。これからもこの自然を大切にしていきたいものだ。そんな感想を持っ
た奥箕面散歩であった。
 
■追記: 帰宅して、GPSでの経緯度測定値を元に、マップポインタで地形図上の位置
     を確認すると、右上の穴の真ん中に鉢伏山の標高点がきており、その経緯度を
     正確に表示していた。今更ながら、GPSの精度とマップポインタの便利さに
     驚いた次第である。


【タイムチャート】
12:50自宅発
13:20〜13:25清水谷園地(駐車地)
13:30
13:57EXPO記念の森・鉢伏山道出合
14:10関電巡視路
14:12〜15:00鉢伏山山頂(604m)
15:15EXPO記念の森 芝生広場
15:30EXPO記念の森・鉢伏山道出合
16:00清水谷園地(駐車地)



鉢伏山のデータ

       雑木の中の山歩き北摂鉢伏山をご覧下さい



  トップページに戻る

inserted by FC2 system