明ヶ田尾山は萌葱の衣

平成13年 4月22日(日)
天候: 晴れ
同行: 単独
陽光にキラキラ輝き、萌葱色に染まった雑木林


 結石が体内を移動し始めたのか、先週の火曜から体調が頗る低調。それで日頃の不摂生
を反省して暫く様子を見ていると、いつの間にか体内から出ていったようで、快復の兆し。
天候も土曜は生憎だったのが日曜は回復、その青空を見ていると家に居るのもあほらしく、
ついぶらっと出かけたくなる。

 が、行き先は前述の様な体たらくだから未定でしかももう昼。今から出かけるとなると
近くて、それでいて春の息吹が感じられる所といえば、矢張り奥箕面近辺。久方ぶりに明
ヶ田尾山から鉢伏山をくるっと巡る事に決める。

 慌てて出てきたから何か忘れ物でもしたような。途中のコンビニでサンドイッチとお茶
を買い、いつものように勝尾寺の前を通って箕面ダム方面に向かう。トンネルを過ぎて右
手の清水谷園地の駐車場に車を入れる。

 用意をして車道を暫く箕面川沿いに北へ歩く。やや強い冷たい風に、山吹の明るい黄色
い花が揺れている。路肩にはムラサキケマン、タンポポ、キランソウ。茶色っぽかった山
肌もいつの間にか若葉に盛り上がり、ひとしきり大きくなった感じだ。

箕面川の土手に咲き乱れていた山吹

 15分ほどの行程で梅ヶ谷出合。箕面川に橋が架かっていて、植林帯の中へ道が吸い込
まれている。以前は不法投棄のゴミが散乱していたが取り片付けられ綺麗。大きな石がゴ
ロゴロと転がっているが、道はしっかりと付けられている。下枝打ちがされているからか、
杉林なのにそれ程暗くない。赤い花を付けたヤブツバキや、名も知らぬ雑木が芽を吹いて
いる。水の涸れた沢を右に左に渡り返すと、道は暫く沢の左岸を高く行くようになる。以
前通った時もこんなだったろうか?記憶が定かでない。

 前方にポツンと豊能自然歩道の道標が見えた。西・鉢伏山、南・茨木能勢線を示す。明
ヶ田尾山方向の印はないが前進。風が強いのか木々が擦れて唸る音が、少々不気味。雪の
ように杉の枯れ葉が舞い落ちてくる。目の前にバサッと枯れ枝が降ってきた時は、流石に
ドキッとした。

 再び道標。古いが少しカラフル。今度は明ヶ田尾山方向を示す。

植林の中の鉢伏山と明ヶ田尾山の分岐の道標

 ここからは空間がやや開けて左手は雑木林、下草に痩せたササが現れる。植林帯の境目
を良く踏まれた道が続くが、いつしか沢は消え、道は徐々に傾斜を増して葛籠折れにジグ
ザグを繰り返した後、緩い稜線に出る。ここからが本日のハイライト、雑木の中の歩き。
フカフカの落ち葉の上に山桜の花びら。ネジキの白い壺型の花。ミツバツツジの赤紫が、
下界よりやや遅れた木々の芽だしの萌葱色に映える。しかし今年はツツジの花が少ない様
子だ。見上げるとシジュウカラが梢で餌を探していた。

 緩やかなコブを過ぎてまもなくが小さな鞍部で、右に高山からの登路と出会う。朽ちた
道標あり。

 この辺りはほとんど高低差無し。広い尾根が緩やかに波打つ感じである。途中にあった
止々呂美への私製の道しるべの札にも、斜度30〜35度とあった様に、西側の余野川へ
落ち込む急傾斜からは考えられないほどだ。右手にゴルフ場のある石堂ヶ岡を望みながら、
ネジキやリョウブが雑然と茂る中を行く。テープも到るところにある。右手斜め前方の小
高くなった植林との境が、誰もいない明ヶ田尾山の山頂である。

明ヶ田尾山山頂の三等三角点と雑木林

 四つの保護石と共に三等三角点。展望はほとんど無し。それでも北側からは、葉の出る
前の木々の間から妙見山、天台山、鴻応山などが垣間見える。西側には整地がほぼ終わっ
た第二名神の工事現場が見渡せるが、赤茶けた山肌は痛々しい限り。願わくばこれ以上、
開発の手が伸びんことを。

 三角点横の杉の木の下でコーヒーを沸かして一服することにする。矢張り下界より寒い
のか、木々はようやく芽吹いて葉を広げ終わったばかり。そのうちのある物は陽光にキラ
キラ輝き、ある物は陽射しに透けたそのウグイス色が美しい。時ならぬ部外者に驚いたの
か、カラスがカァーカァー五月蠅いので、手を鳴らすと慌てて逃げていった。

 30分ほども山頂にいたろうか?日曜なのにこの行き帰り誰にも会わない。鉢伏山への
分岐まで戻る。日が陰った植林の中は早くも薄暗い。道標を見て西側の支谷へ少し入って
すぐに、左の山腹に取り付く道がある。ジグザグに折り返して尾根に登りつく感じの道で、
今日一番のアルバイトだ。途中「火の用心」のプレートがある。

 一気に登り切ってしまうと、あとはまた雑木林のプロムナード。時折現れる背丈ほどの
ササも踏み跡がしっかり。止々呂美への分岐のある鞍部を越え、意外と早く関電切り開き
に着く。ここにも誰もいない。鉢伏山頂に寄り、いつものように西の関電鉄塔下で、お茶
で小休止、食べ残したサンドイッチを平らげる。

 EXPO記念の森近くの自然研究6号分岐から四反田谷へ降りていく。タチツボスミレ
やミヤマハコベやキランソウの小さな花が顔を出している。谷が深くなり、車の音が聞こ
え出せば、清水谷園地は近い。

快晴の空をバックに萌え出した緑(自然研究路6号にて)

 昼下がりの雑木山歩。手軽に歩ける場所が近くにあるということは嬉しい限り。今後と
も必要以上の開発は差し控えてもらいたいものだが、これはエゴかなぁ。



【タイムチャート】
12:30自宅発
13:10清水谷園地駐車場
13:25梅ヶ谷出合
13:40豊能自然歩道分岐
13:50鉢伏山分岐
14:05高山コース分岐
14:12〜14:48明ヶ田尾山(619.9m 三等三角点)
15:02鉢伏山分岐
15:20〜15:30鉢伏山(604m)
15:39自然研究路6号分岐
16:10清水谷園地駐車場



明ヶ田尾山のデータ
    『明ヶ田尾山』を参照して下さい   
【参考】  2.5万図『広野』



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