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平成11年11月28日(日)
天候: 晴れたり曇ったり
同行: 単独 |
能勢の郷の山頂広場から見る錦を
まとうCa600mピーク |
長期予報に依れば今年も暖冬傾向だそうだ。箕面なぞ12月初旬迄、紅葉が見られると
いう。藤無山オフで今年は見納めかと思っていたが、もう一度見られそうだ。
どこか近場で好い所は?脳裏に浮かんだのが、この5月に雑木のプロムナードが素晴ら
しかった剣尾山から横尾山の稜線コースである。
コンビニで飲食物を仕入れて9時過ぎのゆっくり出発。走り慣れた能勢路を北上する。
R173を汐の湯温泉を過ぎる頃、右前方に馴染みの剣尾山が姿を現す。剣尾山はここか
らの姿が一番いい。尤も小生の独断だが...。(^^;
玉泉寺の横を抜け、左折して能勢の郷へ向かう道端に車を停める。近辺には先着が3台。
林道をポクポク歩いていく。季節はずれのものはなんだかうら淋しいものだ。左に見え
るキャンプ場もその一つ。
登山口に着くと尋ね人の貼り紙がある。10月28日から行方不明とある。よく見ると、
なんと84歳のおじいさん。かなりの日数が経っている。既に無事見つかっているけれど、
この貼り紙だけ取りはずすのを忘れたんだよねと祈るばかりである。
しかし、別の意味で「う〜ん。」と思わず唸ってしまう。自分はその歳迄歩けるのだろう
か?それとも、そもそもこの世に存在している?般若波羅蜜多〜。閑話休題。
さて、丸木の階段を登った大日岩では、ボーイスカウトのグループが休憩中。話を聞く
ともなく聞いていると、毎年恒例の登山だそうだ。リーダーの出す問題は去年も同じだっ
たとメンバの小学生が笑っていたのが耳に残る。
そこからまもなく行者堂。ここは行場の中心、堂前に大きな岩がのしかからんばかり。
その行者堂の扉に犬鳴山の文字。そうかここは犬鳴山と関連があるのかと一人得心する。
点在する岩の間を辿って行者山に出る。山といっても尾根上のコブに過ぎないが、西側
の景観がよい。能勢の郷の建物と、テニスコートが眼下に小さい。そしてこれから向かう
剣尾山の前衛のCa600mピークが黄葉を纏っていい雰囲気。「これじゃ。これじゃ。
今日の目的は。」期待が膨らむ。 (^_^)
一旦小さな鞍部へ下って登り返して樹林の中へ。途端に落ち葉折り敷く道となる。が、
逆に滑って歩き難い。まぁメリット有ればデメリットもあるわいな。
それにしても今日はグループが多い。炭焼窯跡でも10名ほどの団体を追い抜いた。こ
りゃ早くしないと頂上の岩の上を占拠されそうだと、のんびり行くつもりがつい早足にな
る。
ササが出てくると六地蔵も近い。ここでも男ばかりの団体さんに遭遇する。
月峯寺跡を過ぎると、最後の一登りが待っている。エッチラオッチラ進むと、登山道途
中で、なんとおばあさんが着替えの最中。えらい物が目に入ってしまった。(※註 飽く
までも能動的ではなく受動的ですので誤解の無きように (^_-) )
「ごめん。早よせなあかんね。」
「そうですよ、後から団体きますよ。」
おばあさんの横を失礼して登っていくと、上から笑い声が降ってくる。そして頂上に出
て驚いた。ありゃ。こらまた凄い。あちらこちらにシートを敷き昼食のグループ。勿論、
岩の上は満席状態。総勢40名位はいただろうか。
なんとか蛙岩の西側の突端が空いていたので座を占める事が出来た。ヤレヤレ。
目の前にパァーと景色が広がる。曇っているものの、遠くの長老ヶ岳、三峠山と思しき
山、半国山、深山。その南のピークには、双眼鏡で見ると2,3人の人がいる。東は愛宕
山から比叡山までくっきり。西は北摂の見慣れた山々。遠く播州の山並みも霞む。いつも
ながらの良い眺めである。
汗が引いて寒くなってきた。それもそのはず気温は7℃。早速、ストーブを取りだして、
持参したレトルトのきつねうどんを暖める。寒い時はこれに限る。その他には、サンドイ
ッチとお茶。我ながら変な取り合わせ。
下山する人あらば登ってくる人有り。入れ替わり立ち替わりの賑やかさ。場を次の人に
提供して横尾山へ向かって出発。稜線沿いを北へ進む。両側はアセビ、リョウブ、ササな
どの雑木林。落葉樹は標高700mを越えると、すっかり葉を落とし裸木になっている。
これもまたいい。
最初の国界石標に出る。5月に来た時、間違った所だ。左に曲がりササの中を行く。
パラパラとササの葉を打つ音。時雨だ。風も出てきたが、それも一時。
ササが切れて、左に植林した檜の白い保護筒が現れてきた。横尾山と剣尾山の鞍部であ
る。そして再びササが現れ、そのササが次第に背丈を越える高さになっていく。しかし、
今回はササが踏み跡の幅だけ刈られており、5月の時より歩き易い。最後の急登に息を切
らすと、2番目の国界石標。その横に間近で見ると巨大な反射板。瑠璃渓が指呼の感であ
る。
そこからは裸木の中、落ち葉を踏みながらのプロムナードである。そして、頂上手前に
北側を見晴るかすポイントがある。そこに初老の男女グループが休憩中。多紀アルプス連
山、長老ヶ岳など北に見える山々を教えてあげる。
横尾山の山頂は意外に広く、のっぺりした地形の雑木林の中である。それを貫く狭い道
の真ん中に三角点がある。
灌木の細い枝を払いながら進んでいくと、例の黒い鹿除けネット。ここで道は南に折れ
て急降下である。眼下にR173と車が豆粒のように眺められる。
右側の鹿除けネットが途切れると、道はやや平坦になる。ここがまた木漏れ日を浴びな
がらの気分の良い道なのである。ここまで降りてくると、木々は未だ枝に黄色や赤の葉を
纏っている。「いいねぇ。」一人ごちる。
谷を隔てた剣尾山の姿を垣間見つつ、やがて現れる岩峰が『トンビカラ』。その上に登
って横尾山を振り返る。
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大盛況のトンビカラ |
2,3のピークを越えると山頂広場。テーブル状の岩に腰掛けて、サンドイッチを頬張
る。ここから見るCa600mピーク。赤や黄色に染め分けられて、なかなか飽きない姿
である。
前回は能勢の郷方面の『見晴らし峠』へ降ったので、今回は『さわがに広場』から林道
へ出ることにする。
急坂の為、老人・子供は利用しないようにとの注意書きがあるが、まんざら大袈裟でも
ない。登るには少々くたびれそうだ。余り利用されないのか道は細く、ザレ場があったり、
やや荒れた感じだが、降りきった所には木のテーブルが置かれている。横が沢になってお
り、渡ればすぐに林道に出る。
ぶらぶらと降っていけば、右手に砂防ダムが現れ、やがて護摩の跡がある大きな一枚岩
のエボシ岩が川原に。深紅に色づいたモミジに見とれていると、間もなく最初の登山口で
あった。
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エボシ岩横の深紅のモミジ |
車に戻り荷物を置いて、一風呂浴びて帰るベーと簡保の宿「能勢の郷」へ一直線。しか
し、午後3時、天然風呂は芋の子を洗うようだった。それでも有馬の金泉に似た程良い暖
かさの茶色い湯に浸かっていると気分良し。極楽じゃ〜。そして、ポカポカの風呂上がり
は、今日の山行を反芻しつつ恒例の缶ビールで掉尾を締めくくる。
柔らかい日差しを浴びながら、しっとりした晩秋を楽しみ、やっぱり山はいいを実感し
た奥能勢の一日でした。
【タイムチャート】
9:20 自宅発
10:25〜10:30 キャンプ場前(駐車地)(約275m)
10:40 登山口
10:48 大日岩
10:54 行者堂
10:59〜11:03 行者山(469m)
11:20 炭焼窯跡
11:32 六地蔵
11:42〜12:50 剣尾山山頂(784m)
12:56 国界石標(るり渓分岐)
13:15 国界石標(反射板横)
13:20〜13:23 横尾山山頂(784.8m 二等三角点)
13:37〜13:40 トンビカラ
13:55〜14:05 頂上広場
14:22 さわがに広場
14:25 林道出合
14:33 エボシ岩
14:34 登山口
14:40 駐車地