新緑の剣尾山、横尾山周遊


                           平成11年 5月 5日(水)                            天候:晴れ時々曇り                                 同行:単独         
  今日は子供の日。久しぶりに西紀町の草山温泉にでもと計画していたのだが、かみさん  の都合が悪くなって中止。だが天気も回復したことだし連休も今日まで。このまま家に居   るのももったいないと急遽山行きを決める。しかし、もう11時。遠くへは行けないし..。      そんな時、ふと思いついたのが剣尾山の奥の三角点の山、横尾山。静かな山歩きを楽し  めるとHPにも紹介されていたっけ。そうと決まればラーメンをかきこんで早速出発であ  る。                                          混むかと思っていたが、意外に順調に1時間程で目的地に到着。キャンプ場手前の路肩  に駐車。5台程の先行の車が並ぶ。                           半年ぶりの剣尾山である。やはり春は山自体が明るく弾んでいるようだ。新緑が眩しく  感じられる。ミツバツツジはやや盛りを過ぎ、代わってヤマツツジの朱色が目立つように  なっている。                                     さわやかな昼下がり、やはりこの時間、下山してくる人が多い。大日岩で一休みの夫婦  連れ、行者堂でも初老の単独ハイカーが降りてきた。                      勝手知ったる道、行者山では季節はずれの桜吹雪にも恵まれ、途中、ヤマドリの突然の  羽ばたきに驚かされながらも順調に月峯寺跡に到達。                    下草が刈られ以前より明るくなっている。去年の台風による松の倒木も切断されている。  そして、従前、禁止の札のあった府営野外活動センターへも、事務所に申告すれば通行可  とのことだ。センターもハイキングコースの整備にかなり力を入れているようだ。願わく  ば整備し過ぎぬ様に。                                 頂上に着く。賑やかな話し声がする。20名ほどの団体さんである。蛙岩には他の組が  三々五々たむろ。人気の山、この前の小和田山なんぞとは大違い。             雨上がりのせいか、視界はこの時期にしてはすこぶる良し。北の長老ヶ岳や東の比叡山  や京都市街がはっきり見渡せる。双眼鏡で景色を見ておられた地元の方と言葉を交わす。  「横尾山へは行かれましたか?」                           「いつもそっちの方から登って来るんですよ」                     てな調子で情報を教えてもらう。受け答えから相当この近辺の野山を跋渉されているとお  見受けした。色々お話有り難うございました。                      「お先に」と挨拶して北に向かう。成る程、雑木の中の静かな道だ。すぐに野外活動セ  ンターへの分岐道を分ける。                           
明治10年の国界石標。ここは直進せずに西へが正解
  しばらく快適な道を行くと、背丈ほどの国界石標にでくわした。裏に明治10年3月の  銘が有る。ここで道は二手に分かれており、何となく明瞭と思えた方を選択したのだが、  これが大きな間違い。結果的にそのうっかりミスに気づくのに少々時間と体力をロスして  しまったのである。                                  松の疎林の下に膝ほどのササが茂る中を、踏み跡はジグザグにどんどん下っていく。   「こんなに降っては登り返すのが大変やなぁ」と初めは暢気に考えていたのだが、剣尾山  8合目、7合目の標識にやっとおかしいなと思い始めた。と、眼下に崩れた小屋と標識が  ある。とりあえずそこまで降ってみると「るり渓 大阪府野外活動センター」の文字。む  む?間違えたかな?慌てて地図を出すと、土が畑(どんがはた)へ抜ける道に出たしまっ  たようだ。先程の石標で左のササの中の踏み跡を進むべきだったらしい。又登り返さねば  ならん。少しの焦りに加うるに、どっと疲れたのは云うまでもない。                                 石標まで戻り左の道へ。クマザサの丈が次第に高くなってくる。踏み跡自体は明瞭なの  で安心なのだが、ニョロニョロが出ないことを祈ってトレッキングポールで前方を叩きな  がら進む。                                      突然、白い棒が墓標のように林立する場所が現れた。下草が刈られ歩き易い。良く見る  と白い棒とは、桧の苗を鹿なんぞに食われぬ様にと被せられたプラスチックであった。そ  れが踏み跡を境界にずっと続く。右は雑木林。左はプラスチックの林立で見通し良し。三  草山方面が一望。                                   横尾山と剣尾山との鞍部に出る。後方の剣尾山が秀麗。                              
鞍部からの剣尾山
手前が食害よけのプラ製の保護管
  幼木帯が終わると再び背丈ほどのクマザサに覆われる登山道。前方にはこれから登る横  尾山がデンと控えている。傾斜が増す中をクマザサに囲まれながら喘ぐと、いきなり傾斜  が緩んで大きな反射板が現れた。ここにも国界石標が建つ。ここから、踏み跡は西南に向  きを変える。所々にミツバツツジが咲き残る。そして北摂の典型的な雑木林の中に二等三  角点が現れた。                                 
笹のブッシュに覆われた横尾山山頂の三角点
  結構、山名板がぶら下がる。好き者はそれなりにピークハントしているようだ。しかし  視界は良くない。僅かに北の深山方面が良好であるのみ。                 小休止の後、下山にかかる。道なりに進むと伐採地に出、黒い鹿避けネットが前方を阻  む。雑木に能勢の郷方面と書かれたテープが巻いてある。それに従って左に折れ、急傾斜  を一気に降る。西南方面が開け、R173が遥か下をくねっている。            岩が出てきて踏み跡を阻むが、乗り越えてみると再び踏み跡が現れる。これがトンビカ  ラの岩峰?にしては規模が小さいようだ。                        何時の間にか鹿避けネットが途切れて浅緑の中を縫う素晴らしいコースである。やや盛  りを過ぎたミツバツツジの花柄が落ちる中を稜線沿いに降っていく。            正真正銘の岩峰が現れた。成る程、岩が寄り重なっている。これを右から巻いて進んだ  のだが、地図にある一里松キャンプ場への踏み跡は見落としてしまった様だ。        そこからしばらく進むと今度は赤松が疎らに生えた日本庭園の趣きのあるCa600m  ピーク。これも巻いて進むと前方の小高い尾根の鼻に立て札。「頂上広場」。というわけ  でようやく能勢の郷の園内に到着である。ここで大休止。持参したサンドイッチと紅茶で  グリコーゲンの補給をする。                              振り返れば、今越えてきたCa600mピークが案外三角錐のきれいな形をしているで  はないか。しかし一寸いかめしく「是より先危険立入禁止」の立て札があり、下からは上  がれなくなっている。                               さて、ここを起点に東側に見える林道方向は「サワガニの云々」への急坂、南側は「見  晴らし峠」に続くという。どっちにしようかと考えるうちに、能勢の郷から登って来たと  という軽装の男性と一緒に南の尾根沿いに下っていく事にした。              見覚えのあるあずまや風の展望台まで来ると、麓から風に乗って子供の歓声が聞こえて  くる。と思うまもなく能勢の郷の喫茶店横の芝生に降り立った。               子供の日、家族連れで賑わう能勢の郷から車までは、ぶらぶら歩きで10分程であった。      人気の剣尾山の横にありながら、マニア以外踏みこまない横尾山。手軽なのにそれでい  て一寸ハードで静かな歩きを楽しめるそんな山である。剣尾山へ登るに新たなバリエーシ  ョンが生まれた、拾い物の半日でした。                      
    【タイムチャート】      12:00     自宅発      13:05〜13:08  キャンプ場横(駐車地)(約275m)      13:11     登山口      13:20     大日岩      13:25     行者堂      13:29     行者山(469m)      13:57     炭焼窯跡      14:08     六地蔵      14:10     月峯寺跡      14:16〜14:40  剣尾山(784m)      14:45     国界石標      14:51     剣尾山8合目      14:57      るり渓道出合      15:15     国界石標      15:31     反射板と国界石標      15:36〜15:39  横尾山(784.9m 二等三角点)      15:50     トンビカラの岩峰(Ca670m)      15:58     頂上広場(Ca570m)      16:30     見晴らし峠      16:42     能勢の郷野外活動センター      16:52     キャンプ場横(駐車地)(約275m)
  横尾山のデータ    【所在地】 大阪府豊能郡能勢町、京都府亀岡市    【標高】  784.9m(二等三角点)    【備考】  剣尾山の北西の尾根続きの山で三角点を持っていますが、          ヤブ山で北側以外の眺望に恵まれない為か、剣尾山ほど          人気がありませんが、その分静かな山歩きが可能です。          能勢電日生中央駅又は阪急池田駅から能勢の郷行き阪急          バスがあります。    【参考】  二万五千図 『妙見山』、『埴生』
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