歌垣山〜平成9年初山行


    平成9年丑年を迎えました。今年の元旦は暖かく、午前五時半に起床して、勝尾寺に初    日の出を拝みに行きましたが、風もなくそんなに寒くもありませんでした。しかし、出店    もあり、こんなに人出があるとは驚きでした。       ところで、初日の出ですが東の地平近くに雲があり、日の出の瞬間は見られませんでし    たが、10分後にノッソリと雲間から真っ赤な太陽が顔を出し拝むことが出来ました。人    間が勝手に作った暦、元旦ですが、なぜかあらたまった気になるから不思議です。       さて、今年の初山行は歌垣で有名な歌垣山です。雑煮を食べて12:33出発。いつも    のように新御堂筋からR171、箕面池田線を経てR423を北上、犬甘野で西へ、倉垣    で右折し歌垣農協の駐車場に車を置く。最寄りの自動販売機でホット缶コーヒーを購入。    横に標識、標高242mとある。道路を隔てて歌垣山登山口の石標、山頂迄1395mと    ある。能勢路の民家の間を標識に従って登り始める。谷川を遡行するルートである。       民家が途切れると杉の植林地帯のなかの道となり、いつの間にか舗装も無くなり、山道    らしい雰囲気があたりを満たす。風の音と風に応える木々の擦れ合う音、野鳥の囀りと自    分の靴が踏みしめる落ち葉の音の他何も聞こえない静寂が辺りを包む。途中小さな滝を左    下に見て丸木橋を渡る。落ち葉でふかふかの道で足に心地良いが、だんだん道が狭くなり    倒木も前を遮り、これでいいのか少し不安が心をかすめる。       おっと、前の杉の木に赤いテープ。間違って無かったのだと一人得心する。しかし、い    ざという時の為に後を振り返りつつの登りである。20分程で尾根にとりついた。道も栗、    クヌギなどの雑木林となり明るくなる。踏み跡もしっかりしてきて一安心。テープを頼り    にしばらくだらだら道を登ると、林道。ここがガイドにあるT字路らしい。左に道をとり    歌碑のある山頂へ向かう。前方に人影。3人連れ。聞くと車で杉原から林道を登ってきた    とのこと。そう言えば道がいつの間にか舗装道路となっている。男の人としばし閑談。な    んでもおばあさんの趣味が短歌とのことで、歌碑を目当てに登ってきたという。       歌碑のある山頂で缶コーヒーで一服。山頂は赤松の疎林で木の間越しに西北から西南方    向が開けている。北方に懐かしい剣尾山と深山が認められる。又、西南には遠くに六甲の    山並み、近くには妙見山。記帳用のノートが置いて有る。登頂記念に記す。       しばらくの休憩後、3人連れとも別れて南に向かい堀越峠を目指す。頂上付近はささゆ    りの群落があるらしい。ところどころに盗掘禁止の立て札がある。花時も良さそうだ。       さて、途中左手に二等三角点。554mとある。三角点を認めるとなぜか「ヤッタ。」    との気分になるから不思議だ。       さらに整備された道を南に向かって下る。鴻応山(679m)がその秀麗な全容を見せ    ている。いつか登ってみたい山だ。下ること20分程で堀越峠。来るときに通った車道が    通っている。30分程テクテク歩いて、歌垣。車を置いたところへ戻ってきたことになる。       倉垣天満宮の大銀杏を見物、交差点横の酒屋で地酒「秋鹿」を買い求めて帰路に着く。    時に16:00であった。冬の能勢路もなかなか捨て難い味がある。柔らかい日差しを浴    びた、葉の散った後の柿の赤い実。わらぶき屋根の民家。しかし、ここも開発の波はじわ    じわと迫っているようだ。ところどころに廃棄してある大型ゴミ、空き缶、又、地形の破    壊には幻滅させられる。私有地だからと言ってここまで地形を変えて良いものか。つくづ    く日本人の公徳心の無さに滅入ってしまう。   【タイムチャート】    12:33 自宅出発    13:50 登山口(歌垣)(242m)    14:20 T字路    14:35 歌碑前    14:50 出発    14:55 二等三角点(554m)    15:15 堀越峠    15:40 登山口                                 平成9年1月3日(金)   

  ササユリ求めて歌垣山


    梅雨の中休みもそろそろ終わりを告げそうな雲行きだけれど、ササユリの咲く季節だそ    うだ。今年の正月に初めて訪れた時に、「ササユリを大事に」との注意書きがあったのを    思い出し、愛犬のヨークシャーのチェリーと近場の歌垣山に向かう。       能勢路はクリの花が真っ盛り。マタタビの木も若葉が半白になってよく目立つ。それら    を愛でながら、犬甘野でR423から府道に入り、西進、堀越峠の路肩に車を停める。先    着のイプサムが1台。    さて、今日の目的はゆっくり山路散策。トレッキングポールも車において10時半出発。    空は今にも泣き出しそう。傘の用意をする。       大阪府環状自然歩道の立派な標識、「頂上まで0.9km。急坂、がんばって」のエー    ル?が書かれている。コンクリートの階段に早速取り付く。       若い檜の植林帯の中、登山路の周囲は雑木が生えている。季節遅れのツツジがちらほら。    野生のサンショウ(イヌザンショウかも)。葉のみのショウジョウバカマが萎れている。    タチツボスミレも花がないと、間が抜けた只の雑草。檜の実生が足下に。       ゆっくりと登って行くにつれ、振り返ると南側に鴻応山が顔を出す。霞んでいて視界は    良くない。もっとも今日は期待もしていなかったが...。       ところどころにある丸木の階段を進み、路が緩やかになると、建物が見えてきた。ふれ    あい広場。       と、道端を見ると美しい花。目指すササユリがひっそりと咲いているではないか。ほん    のりピンクがかった白色の直径10cmほどの花弁が、暗い山路の林の蔭に、他の植物に囲    まれてポッと浮いている。茎や葉は名の如く笹の様だ。早速一枚。でも匂いはあんまり良    くない。漢方薬のようでした。
 
能勢町の町花ササユリ
    写真を撮り終えると同時にチェリーが吠えだした。東屋に先着の一組のカップル。バー    ナーで食事の準備中らしく、当方は遠慮して離れた展望台横のベンチで一休みとする。       ちっちゃな展望台に登る。確か以前(97/1/3)は無かった様だが...。倉垣と思し    き山里が眼下に。向こうの高い山は剣尾山かなあ。二等三角点の石板は以前のまま。色    あせた登頂記念の標識が所々にぶらさがる。       尾根に付けられた立派な林道をブラブラと歌碑へ向かう。気がつくと所々にササユリ    がぽつんぽつんと咲いている。一面の群落よりもこちらの方が風情があります。       歌碑前の説明板。それによると、和同3年(713)に編まれた摂津風土記には次の    ように書かれているそうな。       「歌垣山あり。昔、男も女も此の上に集まり登りて、常に歌垣を為しき、因りて名を    為す。」       奥に新しいロッジ風の建物がある。森林学習館とある。これも以前は無かったものだ。    周囲は赤土が露出し、ブルドーザのキャタピラ跡も...。あんまり人の手が入りすぎ    るのも考え物です。       歌碑前の記帳簿にサイン。チラと読むと山名に惹かれて登る人が多いようだ。       さて、少々昼食には早いが、東屋で持参のおにぎりをほおばることとする。旨い。山    では豪華なごちそうは要りません。       そうこうするうちに、周囲がなんだか騒がしくなってきた。雨だ。とうとう降りだし    たか。だんだん本降りに...。もっとゆっくりしたかったのに、残念。戻ることとす    る。       ゆっくりと左右を見回しながら降っていくと、赤い可憐な花がさいている。ママコナ。    赤紫の花の中になるほど名の由来となった白い飯粒の様な突起が二つ。図鑑には半寄生    植物とあるが、何に寄生するのかな?これも一枚。
 
ママコナ 花の中の飯粒わかるかな?
    白い花もある。ツクバネウツギだ。白い花筒の中に黄色いまだら模様が面白い。ノイ    バラも満開。これも一枚。あれやこれや、ちょこちょこ撮影しながらの下山である。       さて、足下に注意しつつ堀越峠の登山口に戻ってくると、丁度、母親と思しき女性と    男の子2名のパーティが雨具を着けて妙見奥の院に向かって行くところ。雨でなければ    当方も行きたいところだが...。犬も泥だらけ。今回はお目当てのササユリも見られ    たし、ふらっと来ただけだし、昼から用事もあることだし、ということで、これでお開    きとしました。又、来年も楽しみです。    註)ササユリは能勢町の町花です。くれぐれも盗掘は無きよう...。尚、町の木は天      然記念物の野間の大ケヤキに因んで、ケヤキだそうです。                               平成9年6月15日(日)   【タイムチャート】    09:20     自宅発    10:20     堀越峠     10:30     出発    10:55〜11:15  ふれあい広場(二等三角点 554m)    11:20     歌碑    11:40     下山    12:00     堀越峠    13:00     帰宅   

   歌垣山のデータ

   【所在地】 大阪府豊能郡能勢町
   【標高】  554m
   【備考】  大阪府能勢町倉垣の東に位置する里山。万葉の昔、和歌で男女がお互いの気
         持ちを確かめあうロマンチックな「うたかい」が行われた所と云われていま
         す。近くに地酒「秋鹿」の藏元があるので、酒好きの方は土産にどうぞ。
     

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