秋はすぐそこ〜歌垣山から妙見奥の院

                           平成10年 8月30日(日)                            天候: 曇り時々晴れ                                同行: 単独        



  この盆休みは体調を崩してさんざん。山へ向かう気力も失せていたのだが、久しぶりに  お手軽山行、足慣らしも兼ねて、かすかな秋色を求めて昼から歌垣山へ向かいました。    近畿はここところ曇りつつも太陽も顔を出す空模様、東日本は前線と台風4号の影響で  大水害とのニュースは想像もできません。                        いつものようにR423から堀越峠に向かい、少し路肩の広くなった所に駐車、靴を履  き替える。                                      駐車地から少し戻ると妙見奥の院への林道分岐。その向かいに「おおさか環状遊歩道」  の道標が立ち、山壁にへばりついて登山道がある。やっぱり夏、下草などが道を覆ってい  る。でもヤブっぽいのはここだけ、後は若干シダが繁っているものの概ね良好である。    この路、短いもののずーっと坂道が続く。大した傾斜でもないのだが病み上がりには結  構こたえる。すぐに一気に汗が噴き出してきた。やや平坦になったところで一休み、汗を  拭う。                                        やや落ち着いたところで周囲を見渡してみた。視界が思った以上に良いのに驚く。南に  鴻応山が意外にくっきり。吹き渡る風も意外に涼しい。手元の温度計は25℃を示してい  る。蝉の声はツクツクボウシのみにかわり、ササの葉先にツーッととまったのは真っ赤な  アカトンボ。ワレモコウのえんじ色が緑に映えている。所々にはススキの穂がおいでおい   で。不順とは云いながらも、いつの間にやら季節は夏から秋へ確実に移ろっているようだ。   再び歩き出し、丸木の階段を我慢して登り切ってやや平坦になれば前方にあずまやと小  さな展望台。ふれあい広場だ。                             ここには方位盤と三角点もあるのだが、今日は誰もいない。ベンチにザックをおろして  暫し休憩、給水とスナック菓子でエネルギー補給?を行う。             
歌垣山(男体山)の二等三角点と方位盤
  双眼鏡片手に展望台に登ってみた。成長した木々に遮られ、西と北方面以外は概して展  望は良くない。しかし、意外に空気は澄み、深山のレーダー雨量観測所もよく見える。三  草山、羽束山、大船山、懐かしい山々が見渡せ、近くはひなびた能勢の山里風景。でも気  分を殺ぐのが例の話題になった能勢の焼却場の建物。なんとなく能勢の山河が汚される様  な感じを持つのは小生だけだろうか。                          さて、尾根づたいの道で「かがいの広場」に向かう。途中、倉垣からの登山道と合流す  るがヤブが払われ綺麗に整備されていた。                        かがいの広場には森林学習館の建物、歌碑が立つ。ふと見ると新しい石碑、かがいサミ  ット記念平成10年8月とある。「かがい」とは期日を決めて男女が山へ登り、歌を交換  して伴侶を決める古代の集団見合いの如きもの。それで有名なつくば市、白石町、能勢町  の1市2町が集まってサミットを毎年開いているという。それもあって、山頂を公園化し  たのでしょう。妙に納得。そしてもう一つ。歌垣山は三角点のある男体山とかがい広場の  ある女体山と二峰で成り立つとのことであります。これも勉強になりました。        周囲をグルッと一巡りした後、下山前に歌碑横の記念ノートに記帳。今日の記帳者は午  前中に訪れたグループ1組のみのようでした。                      堀越峠へ戻ったのが四時前。未だ時間がある。妙見奥の院へピストンしてみる。      谷川沿いに杉の植林帯の中をダートの林道が南に延びている。タイヤの跡があるところ  を見るとモトクロスのバイクが通るようだ、と思いきや後ろからエンジン音、バイクが二  台、砂を巻き上げ通り過ぎていった。                          能勢町の水道施設を過ぎて暫くで道は分岐、奥の院へは右を採る。(右の道の袂に朽ち  かけの道標あり)                                   しばらくは植林の中、沢沿いに登る平坦道、そして鎖の手すりが続く急斜面のつづらお  れとなる。ここを我慢すればあっけなく本滝寺からの登山道との合流点。参道であること  を示す標石も立つ。そこから道なりに進み、ダンボールに手書きの道標に従うと、すぐに  奥の院門前に飛び出した。                               最後の数十段の石段を登れば妙見奥の院である。振り返れば木の間がくれに野間の山里  方面がほの見える。                                  左に寺務所、右は庫裏。その奥正面の小さな本堂の前には神仏混淆の名残か左右に狛犬  が鎮座している。その本堂の紫の幕には見覚えある十字の妙見宮の紋。一説によれば、こ  の十字は妙見宮の庇護者であった能勢氏がキリシタンであった為、クルスを象徴化したも  のともいうが真偽の程は定かでない。                       
妙見宮奥の院、幔幕にクルスに似た妙見宮の紋
  本堂裏には神馬像を納めたお堂と数多くの石碑。その表にはいずれも南無妙法蓮華経の  お題目が彫られてあった。寺務所前に戻ると、初老の一組のグループが帰る道をお坊さん  に尋ねているところでした。                              奥の院を後にする。戻る道すがら、沢にツリフネソウの小群落を発見。撮影に少々時間  を費やして、いつの間にか傾いた黄色い陽の光を浴びて、再び堀越峠に戻ったのは四時半  過ぎ。                                        ススキの穂、芝栗の実、青いドングリ...etc。                  まだまだ日差しは強いけれど、山にはもうすぐそこに秋が近づいていることを実感した  午後でありました。                               
    【タイムチャート】     12:50     自宅発     14:10     堀越峠     14:15     登山口     14:37     ふれあい広場(553.5m 二等三角点)     15:00     かがい広場     15:15     下山    15:40     堀越峠     16:00〜16:10  妙見奥の院     16:35     堀越峠


   歌垣山のデータ

   【所在地】 大阪府豊能郡能勢町
   【標高】  553.5m(二等三角点)
   【備考】  能勢山地、妙見山の北に位置します。常陸筑波山、肥前杵
         島岳と並び、古代、「かがい」が行われたことで有名です。
         その為、つくば市、白石町、能勢町が集まり、近年、かが
         いサミットが開催されています。
         「歌垣山〜平成9年初山行」、「ササユリ求めて歌垣山」
         の項も御参照下さい。                                    
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