湖南アルプスのんびり散歩〜太神山

                          平成9年10月10日(金)                            天候:晴れ時々くもり                               同行:単独         



 例年天気に恵まれるという体育の日、今回は未踏の地(一寸大袈裟? (^_^!)、東海自 然歩道で湖南アルプスを体験することにする。                       R1から京滋バイパスを抜ける。石山ランプから数年前訪れた西国札所岩間寺への道を 右に見て、南郷洗堰を渡る。南郷水産センターの古めかしい観覧車が見える。       大戸川沿いの道に出ると、右手に荒々しい山肌が見えてきた。目指す湖南アルプスだ。 右に折れ、田上の集落を抜けるとまもなく田上公園。20台程の広さの駐車場に車を停め る。                                        最寄りの帝産バスの停留所に湖南アルプスの案内図があった。目指す太神山まで5.7 Kmとある。ガイドブックに依ればまだ先まで行けるようだが、のんびりと散策すること にして早速支度をし、天神川沿いの「自然の道、歴史の道」と命名された道を往く。    川の周辺は親水公園として良く整備されており、そこかしこでバーベキューパーティの 真最中である。                                   右手に田上鉱物博物館の建物。壁にはクズが絡みつき、何となくうらぶれた感じが否め ない。予約すれば見学可と聞いていたが、長い間閉鎖されているようだ。         民家がまばらになってくると、左に太神山不動寺と彫られた常夜塔。元は参道だったの だろう。                                      橋を渡っていよいよ木々の茂る林道歩きとなる。といっても1.5車線程の舗装道。風  情無し。道の両側には白いナイロンテープ。札がつけられている。マツタケシーズンの為、 入山を禁止する札である。でも、あんまり収穫は無さそうに見えるが...。       八筈ヶ岳方面への分岐を過ぎると間もなくで迎不動のお堂。智証大師の字も見える。こ の周辺も川縁でパーティがたけなわ。澄んだ流れと砂地。鎧ダム方面からは水量は少ない  が急流が岩の間を流れ落ちている。絶好のキャンプ地である。近場にこんな所があるとは、 大津の人が羨ましい限り。                              六甲の蓬莱峡を思わせる山肌が近づいてきた。いつしか林道は地道に変わり、谷筋から  山腹を巻くように傾斜を増す。車両通行禁止の標識が見えたと思うと右に不動道の案内標。 やっと山径になった。岩だらけの清流を眼下に橋を渡ると、風化した花崗岩のガレ場に出 た。北側が開け大津市街と比叡の山並みが見渡せる。景色を愛でながら食事をするハイカ ーがそこここに。足場に気をつけながら高度を稼ぐ。続いて丸木の階段が続く。    
登山道途中のガレ場から比叡山方向の眺め
 お堂が見えてきた。泣不動と思ったらバケツに中不動の文字があった。ここで一服お茶 を口に含む。                                    径に瑠璃色に輝く甲虫を見つける。触るとキューキューと音を出す。センチコガネらし い。しかしなんとも美しい色である。これがフンを餌にするとは...。         やおら立ち上がって再び進むことにする。右にカーブする道際の岩壁にある泣不動を見  て、痩せ尾根から再び丸木の階段を越え、息を切らせながら、やや平坦になったと思う頃、 二尊門が見えてくる。門と云っても勧請掛けと両脇に優しい素朴な石像があるのみ。阿形 ・吽形でないところがなかなか良いではないか。                  
不動寺二尊門の石像
 流石に寺の境内、杉の木の茂りの中、三筋の滝から信楽へ抜ける東海自然歩道と分かれ て間もなく本坊。その前には茶店風の休憩所の建物が立つ。               本坊の中から話し声がする。覗くと薬缶と湯飲みが置かれている。喉はからからだし、 ふらふらと吸い込まれるように近づく。                       「お茶です。どうぞ。」の声に遠慮なく。甘露とはこのことでしょう。立て続けに2杯頂 く。                                        鼓動が収まったところで手元の高度計を見てみると、まだ標高が不足だ。頂上は?奥の 石段を登ると、懸崖造りの本堂が頭上高くに見えるではないか。播州の一乗寺に似た造り の重要文化財の建物だ。しかし、200段はあろうか、そこまでの石段はきつかった。   本堂は巨岩に寄り添うように建っており、建物の中へ入って障子を開けると怖いぐらい の眺めであった。                                  さて、三角点を探してうろつく。左の高みで先着の方が輪になって食事中。小生に気づ いて「三角点はここですよ。」と輪の中を示す。                   「どうぞ撫でて下さい。」ということでいつものように二等三角点の石標を撫でさせても らう。                                       輪の中を出て、三角点横の岩に座り、これもいつものようにおにぎりで昼食とする。   食べ終わった頃からだろうか、スズメバチが部外者に闖入を警戒するのか、周囲を飛び 回りだした。しかも山頂は木々の成長のため、眺望もなしということで、早めに下山する 事にした。                                     先程の岩で胎内くぐり。西の八筈ヶ岳の姿を垣間見ながらの下山。またセンチコガネの 姿を見かける。飛んでいるのもいた。やけに多いが何のフンを餌にしているのだろうか?
山頂で見つけたセンチコガネ
 六甲山に似た花崗岩質のためか全体的に明るい感じののんびり散歩。15時半過ぎ、店 終いとする。                                         
   【タイムチャート】     9:15    自宅発    11:20    田上公園駐車場(駐車地)(約100m)    11:25    出発    11:30    田上鉱物博物館    11:55    八筈ヶ岳分岐      12:07〜12  迎不動        12:19    不動道分岐    12:35〜38  中不動    12:55    泣不動    13:05    二尊門    13:12    三筋滝方面分岐    13:15    不動寺本坊    13:30    太神山山頂(600m 二等三角点)    14:00    下山    14:20    泣不動    14:57    迎不動    15:40    田上公園駐車場  
   太神山のデータ    【所在地】 滋賀県大津市   【標高】  559.7m(二等三角点)    【備考】  大津市の南東部に位置するこの山地一帯は三上田上信楽県立自然公園に指          定されており、風化した花崗岩の岩が林立しているところから湖南アルプ          スと呼ばれています。昔、東大寺や平安京などの造営の為に木々が乱伐さ          れ、緑豊かな姿から一変してしまったと云われます。          頂上の不動寺は天台宗の智証大師円珍の開創と伝えられ、本堂は巨岩の上          に懸崖造り(舞台造り)で建てられており、重要文化財に指定されていま          す。          尚、不動寺までの旧参道は東海自然歩道に指定されており、JR石山駅か          ら「枝」または「湖南アルプス前」まで帝産バスが出ています。



   トップページに戻る
inserted by FC2 system