朝夕は若干凌ぎやすくなった今日この頃。とはいえ、低山歩きにはまだまだつらい。で
もやっぱり行きたい低山徘徊。暫く行かぬとムズムズしてくるなぁ。で今回は岩尾根歩き
が面白そうな播磨アルプス遠征?。詳しくは以下を読んで頂くとして、蒸し暑さと引き替
えに、ひょんな事から同行者を得て面白い半日でした。
山陽道を使えば短時間で行けるじゃないかと、ご多分に漏れず9時過ぎの少々遅い出発。
吉川のジャンクションから初めて山陽道に入る。車も少なくなり快適なドライブで加古川
北IC。ここから今度は県道を南下、R2に入って阿弥陀の交差点を右折、標識通り進む
と大きな竿池の向こうに、これまた大きな鳥居が見えてきた。鹿嶋神社である。
ここの駐車場に車を置かせてもらって準備を整える。ツクツクホウシの鳴き声とは裏腹
に猛烈に蒸し暑い。今日もこれが大敵になりそうだ。
大鳥居をくぐって参道を行く。両側に土産物店が並ぶ。一願成就の神として結構地元で
は有名な神社らしい。本殿も立派だ。その裏に『なずりだるま』と呼ぶ達磨さん。なでる
といいらしいので取りあえず撫でておく。
本殿向かって左の、鹿嶋自然公園への入口でもある稲荷社の朱塗りの鳥居から、石段が
奥へと延びている。すぐにT字路となり、登り基調で右へと曲がる。
緩勾配の一間幅程の道の左の山肌にはシダが茂り、右は大きく開けて、かなたに目的地
の高御位山と突兀とした播磨アルプスの姿が望まれる。が、この道、足元の大きな石の間
のやや湿り気を帯びた粘土質の土がこれまた良く滑る。歩き難し。早くも汗が吹き出し眼
鏡を濡らす。
スイッチバック式に山肌を登り詰めて行くと、前方が開けて大きな岩盤が現れた。これ
が百間岩か。道標がある。左、鹿嶋神社、右、高御位山。
「ん?」ガイドには百間岩に至る前に展望台に出るとあるが..。どこかで見過ごしてし
てしまったか。それよりこの暑さもう我慢できん。早くも小休止。水補給。
百間岩は大きな一枚岩というよりも岩盤。それほどの傾斜でもなく、足懸りもあるので
そう苦労はしないが、それでも結構スリルがあって楽しめる。
岩を登り終わると左右が切れ落ちた狭い尾根となり、高圧鉄塔のピークから反射板のピ
ークと岩稜が連なる。視界は360度、素晴らしいの一語。高砂、加古川、姫路の市街の
向こうには瀬戸内海が広がり、浮かぶは家島群島、ポツンと離れた小島は上島。500系
のぞみが快速で通過するのも見える。直下に鹿嶋神社の大鳥居。駐車場には小さく愛車も
見える。頭を返せば、これから進む鷹ノ巣山から高御位山の稜線と、取り付いているハイ
カーの小さな姿。オ−ッあそこまで登るんかぁ。暑くなけりゃ最高なのになぁと独り愚痴
る。
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百間岩付近から馬の背越しに見る高御位山 |
岩だらけの稜線道が続く。左手の潅木が焦げたような色で立ち枯れている。山火事でも
有ったのだろうか。
登山道はここから一旦大きく降って再び登り返す。十歩登っては小休止、五歩進んでは
立ち止まりの連続になってきた。何せ木蔭がない。登り返したCa240mピークで再び
水補給。もうバテバテ。
ようやく眼前に鷹ノ巣山が迫ってきた。ところが道の真中にスズメバチが舞い降りてき
て何やら作業を開始した。飛び去る様子も無いので迂回する羽目に。お蔭でイバラに足を
引っ掛けてしまい血が滲む始末。まっ、刺されるよりはいいか。 (^_-)
鷹ノ巣山への最後の登りは再び岩。南の眺望絶佳。そこに坐って単独おじさんが休憩中、
挨拶を交わす。
山頂の平坦地にでる。縦走路の真中にポツンと角の欠けた四等三角点。いつものように
軽くタッチする。
暑さに疲労困憊なので、ここで昼食大休止と思案したが適所が無い。雑木で眺望も今一、
風も無いしで先程の岩稜にしくはないと戻ると、先程のおじさん。
「どちらへ行かれますか?」と小生。
「いやぁ。暑いし、今日は先へ進むか戻るか迷っている所で...。」とおじさん。
昼食もこれからとの事で一緒に食事、成り行きでこの先も御一緒させてもらうことにした。
食事のついでに伺うと、姫路にお住いでお生まれは社町とか。場所柄、播磨、岡山をテリ
トリにしておられるそうで、当地も何回か歩いておられるとのこと。那岐山、笠形山、と
くにこれからの季節、雪彦山が面白いですよと御推奨でした。
腹ごしらえで一寸元気も回復したし、それではいざ、高御位山へ。
「でもまだ結構ありそうですね」と話すと、それほど大きな起伏はもう無いですよと嬉し
い返事。勇気百倍アンパンマン!状態 ← でもすぐ萎えるんですけど...。
さて、ここからは雑木が増え、道も狭まりようやく山道といった風情。ハギが紫の蕾を
ほころばせている。ツツジ類も多く春の縦走や初冬の日溜まりハイクは良さそうだ。
次の鷹ノ巣山東峰との鞍部に道標。ここから馬の背経由で鹿嶋神社へのエスケープルー
トがある。そして釣り尾根を越えた東峰には、桶居山への分岐となるいい山道がついてい
る。遠くに見えている三角錐の山が桶居山だと教えてもらう。高御位山まで1.6km。
雑木のトンネルを抜け、再び炎天下に出たりを繰り返し、アップダウンを重ねていく内
に、次第に高御位山の反射板が近づいてくる。それと比例して休む間隔も短くなってくる。
振り返って見る鷹ノ巣山が三角錐状でなかなか秀麗。
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高御位山西稜付近から望む鷹ノ巣山 |
高御位山への最後の登り手前の岩稜で最後の小休止とする。足元に石を積み上げた祠状
のものがある。おじさんも何だろうと首をひねっていました。
再び潅木帯に入り、一登りすると前が開けて東西に長い高御位山の頂上。右手に反射板
が現れる。そして「天乃御柱」の碑。更に奥に高御位神社奥宮。その横に半ば埋まって三
等三角点。南側には磐座と思しき階段状の大きな岩。
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高御位山山頂に鎮座する高御位神社奥宮。左に『磐座』 |
奥宮前のベンチにザックを下ろし、涼を採る。あっという間に残りの水を消費してしま
った。
一息ついたところで、おじさんに北にたたなづくの山を教えていただく。遠くに霞む一
際高い独立峰が笠形山、さらに七種山、ピラミダルな七種槍、書写山等々。
今度は『磐座』に登ってみる。南側はスパッ切れ落ちた断崖に展望は申し分なし。直下
下に長尾、北山の集落。左に小高御位山の小尾根が延びる。こんもりとした石の宝殿。加
古川のうねり。中世はきっと山城があったに相違ない。
そんな眺めを堪能しながら、ここからハンググライダーで飛ぶ人間が居るんじゃないか
と冗談めかすと、昔飛んだ人が居て、記念碑まで建っているとおじさんが云うから驚いた。
その人の名は渡辺信二、志方町の人。大正10年、滑空機つまりグライダーで飛んだのだ
そうだ。その距離300m。山頂の東端に記念碑は建っていました。
ガイドには小高御位山から北山鹿島神社へのコースが紹介されているのだが、おじさん
が直下の長尾への直降コースがあるという。直ちにコース変更とする。(^^ゞ
そのコース、反射板の所から下るのだが、そのフェンス横に道標と字の消えた鳥瞰図が
ある。石の間を急降下する感じで浮き石に注意しながらどんどん降る。振り返ると頂上の
『磐座』が天然の石垣か石舞台のように張り出しているのが良く分かる。昔の人ならさぞ
神々が積み上げたと思うに違いない見事さだ。
またまた大きな岩盤が出てきた。雨でも降って濡れていると少々恐いところだ。岩に塗
られた白ペンキの方向とは逆に降っていくと、岩の下から道標が現れた。高御位神社参道
からの巻き道がここで合流しているのだとおじさんに教えてもらう。
更に降ると関電の高圧鉄塔bR6。鉄塔の西にも巡視道がついているようだが、今回は
正攻法で降る。その内に雑木と丈の低い植林が現れて、日差しを遮り始めると里も近い。
畑が出てきて畦道風になり、最後は民家の横のアスファルト道に出くわした。長尾の集落
である。だが、こっちからの取っつきは、手前に鹿嶋・長尾ハイキングコースの案内地図
が有るものの、初めての者には少々分かりづらい感じである。
頭を垂れた稲穂が実る中、池の横の車道に出るとすぐに神姫バスの長尾バス停。夫婦連
れのハイカーがバス待ちで休んでおられた。
これを見過ごし、バス道をテクテクと霊園前から鹿嶋神社前へと、のんびり四方山話を
交わしながら歩く。20分程で駐車地に戻る事が出来た。
車の前で、何とか当初の目的達成だわいとホッとしながら靴を脱ぎ、絞ると滴るほどの
汗を吸ったTシャツを着替えていると、背後でクラクション。振り返ると、くだんのおじ
さんが四輪トラックでお先にと帰宅されるところ。おかげで助かりました。それに名ガイ
ド有難うございました。
このおじさんとの同行が無かったら鷹ノ巣山で途中敗退したかもしれないほどの酷残暑
の中ではあったが、面白い岩稜歩きや眺望が楽しめたことで今は満足感。秋や春はさぞや
と思わせる播磨アルプス縦走でした。
【タイムチャート】
9:15 自宅発
10:50〜11:00 鹿嶋神社駐車場(約40m)
11:10 鹿嶋自然公園入口
11:28〜11:33 百間岩
11:40 高圧鉄塔
11:45 反射板のピーク
12:00〜12:05 Ca240mピーク
12:11〜12:40 鷹ノ巣山西峰(四等三角点 264.2m)
12:49 鷹ノ巣山東峰(鹿嶋山)
13:20〜13:25 高御位山西の岩稜
13:35〜14:08 高御位山山頂(三等三角点 304.2m)
14:28 bR6高圧鉄塔
14:40 長尾集落
15:00 鹿嶋神社駐車場