不思議な邂逅に驚いた胎金寺山
バス停付近から胎金寺山遠景、左奥の建物は摩気神社

                          平成11年 1月23日(土)                           天候: 曇り時々晴れ                               同行: 単独        
   予報では日曜は天気が悪いそうだ。そこで急遽予定を変えて今日出掛けることにする。  行先は内田嘉弘さんの「京都丹波の山」の中で、前から何となく名前に惹かれていた胎  金寺山。まさかそこで「かねちゃんのホームページ」の主人、兼武さんにバッタリ出合  うとは...。                                   昨日は飲み過ごし、家に帰ったのは午前2時半過ぎ。用意をして家を出た時には11時  を回っていた。遅い出発になってしまった。                      R477を北上、どっしりとした半国山を左に見て亀岡から園部町に入り、JRバス   摩気神社前近くの空家の前に駐車。その隣の家には表札が出ていて空家じゃないようだ。  呼び鈴を押すとお爺さんが出てこられたので駐車の許可を頂く。                園部川にかかるのが摩気橋。その横に立派な燈篭が立っている。やがて石の鳥居が現  れ、その奥には鄙には珍しいほど立派な神門と重厚な式内社の摩気神社が眼前に迫る。   本殿は三つの建物が並び、桧皮葺でその上にまた桧皮葺の屋根が被せてある。老杉に  囲まれた境内は清澄そのものであった。                     
老杉に囲まれた摩気神社本殿
  境内の横の谷川を渡り、湿った林道が延びている。その横の神社の駐車場に1台の車  が止まっており、着替えをしている方がおられたので声をかける。            山口の天狗杉はすぐ分かるが奥の天狗杉は一寸分かりづらいこと。今一人の人が登っ  ていることなどを教えて頂いた。それが兼武さんであることがやがて判明することにな  る。                                        神社の儀式にでも使われるものなのだろうか、かやとを束ねたものが道脇に立てかけ  られている。やがて道が狭まり、木橋を渡る頃にはようやく山道らしくなる。最近、作  業されたのであろう、杉の若木の枝打ちがされており歩きやすくなっている。       左に堰堤を見てしばらく行くと、園部町が設置した山口の天狗杉の案内標識が目に入  った。見廻すと左の沢に巨杉。高さは38mあるそうだ。                その巨杉を巻くように道は薄暗い植林帯を左へカーブしていく。そしてナメ滝を経て  深まった谷が一気に足元に近づいてくる。                       再び木橋を渡る。踏み跡が二手に分かれているが、左へ進むとすぐに奥の天狗杉の標  識。左の荒れた沢を分けていくと、山口の天狗杉以上の巨杉が前方に現れた。高さは4  0m、樹齢300年以上とか。地上近くで大きく二股に分かれている。今にも葉団扇を  持った天狗が現れてきそうである。                       
奥の天狗杉(高さ40m、幹廻り約7m)
   とって返して再び登山道。沢の源頭を詰めると道は大きく右にくねり、尾根筋に乗る。   いつにまにか周囲は雑木の林に変わり、周囲がにわかに明るくなってきた。いい雰囲  気だ。                                       と、前方に下ってくる人影を認める。挨拶を交わす。なんとなく記憶にある容貌に小   生「どちらから?」。「川西です」と相手。「ひょっとして兼武さんでは?」再び小生。  「なんで名前を?」と相手は怪訝な顔。そこで小生も名を名乗る。お互い奇遇にびっく   り。こんなこともあるんですねえ。よもやま話を交わし、またの再会を期待して別れる。   杉の倒木を越えた所がコル。右の高み、420mピークに登ってみる。あまり人が通  った形跡は無いが、透明なテープが雑木の枝に巻かれてあり、導かれていくと赤い杭。  「界」と書かれてある。町界でないとすれば私有地の境の表示なのであろうか。      元へ戻り、稜線上をコルからややきつい登りを進むと、赤白ポールが見え、四等三角  点が埋まる山頂である。トタン葺きの祠があり、覗くと役行者が座っておられました。   さて、肝腎の展望である。だが、この前の金山とは対照的に全くの期待はずれ。わず  かにコル付近から、南の半国山、深山など攝丹山塊が覗けるのみ。それよりも胎金寺山  と尾根続きの431mピークの錐形がきれいである。その為か、山頂には山名板も無く  どこかの山の会の登頂記念のビニールテープがあるのみの寂しさであった。        展望が駄目と決まると俄かに腹が減っているのに気づく。が、食事に適した所も無い  ので先程の420mピークに戻り食事の支度をする。                  静かである。時折聞こえる松籟の音。湯の沸く音。アカゲラのような鳥が幹にとまっ  ている。時折射す柔らかい陽射し。この時間が至福の時。                  レトルトの天婦羅うどんとおにぎりで落ち着いたが、展望も恵まれぬ。となれば下山  にかかるしかない。                                 帰りは東の麓の宍人(ししうど)に降るつもりで、2.5万図を眺めつつ踏み跡を探  すが見つからず。相変わらずの読図能力の無さを棚に上げて、そちらへ降りると遅くな  るしと言い訳して、来た道を降ることにした。                     鶏冠に似た胎金寺山の頂上を振り返りつつ、沢沿いをあっという間に戻り着いた摩気  神社。観音堂跡、神門などを見学して、JRバス停前の自販機の缶コーヒーで一服。昨  日の飲み屋での5年ぶりの知人との出会いの偶然。そして今日。二日続いた不思議な邂  逅に、驚いたと同時に面白さをも感じた、風も無く暖かい冬の一日でした。     
    【タイムチャート】      11:25     自宅発      13:25〜13:35  竹井(駐車地)      13:42     摩気神社      14:00     山口の天狗杉      14:06〜14:10  奥の天狗杉      14:25     420mピーク      14:30     胎金寺山山頂(423.5m、四等三角点)      14:35〜15:00  420mピーク(昼食)      15:30     摩気神社      15:50     竹井(駐車地)
   胎金寺山のデータ     【所在地】 京都府船井郡園部町     【標高】  423.5m(四等三角点)     【備考】  R372を隔てて、半国山の北にある里山です。           北麓にある式内社摩気神社の別当寺であった胎金寺から           命名されたようです。摩気神社は園部藩主小出氏の信仰           が厚く、小出英持によって江戸時代に再建された本殿は、           京都府の文化財です。           最寄はJRバス篠園線摩気神社前ですが、本数が少なく           車が便利です。     【参考】  二万五千図『埴生』
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