吹く風に初秋の香り〜筱見四十八滝納涼山歩

筱見四十八滝の一つ シャレ滝

                          平成11年 8月29日(日)                           天候:晴れ時々曇り                                同行:単独         
 コオロギの声も聞こえだし、ようやく朝晩は少ししのぎ易くなってきたものの、日中は まだまだ厳しい暑さ。その為にしばらく低山歩きは控えていたのだが、青く晴れ上がった 空を見て、久しぶりに歩きに行くかなぁ、それも涼しい所というわけで、以前、兼ちゃん こと兼武さんも行かれ、関西ハイキングにも記載されていて気になっていた筱見四十八滝 に出掛けることにした。ところが気楽な納涼山歩の思いとは裏腹に、冷や汗のおまけまで ついた半日とあいなったのであります。                        いつもの様に遅い出発だ。途中、伊丹でネズミ獲りに引っかかりかけたが、探知機で事 なきを得る。これで助かったのは都合三回目。因みに失敗が一度。(^^);         R173を北上し、R372との交差点小野新を綾部方面へ、細工所の交差点角に出現 した道の駅のような新しい建物をすぎる頃、案内板に従って、藤阪川に架かる橋を渡る。  のどかな田園地帯、早生の稲が穂を出し、その中を赤トンボが乱れ飛んでいる。いいなぁ。  百万石酒造の工場の曲がり角に筱見観音。なんでも、応仁の乱の頃、この辺りで合戦が あり、それで周辺を「合戦場」と呼ぶこと。工場が出来た時に酒造会社が犠牲者の冥福を 祈って建立したことなどを知る。                           右折し山懐に入るとしばらくでキャンプ場の案内板が現れた。10台程の車がとまって いる。木立の中にキャンパーの姿もちらほら。広場の端に車をとめて、まずは東屋に掲示 されている案内板でコースを確認する。川沿いに進めば滝見コース。左の植林帯の中に遊 歩道が延びているのが楽な方のコース。これらをぐるっと周回できるらしい。       取りあえず滝見コースへ出発。左を小川が流れている。この上流が滝なら水量はほとん どないやろなぁ。と考えながら、最初に現れたのが手洗滝。名の通りチョロチョロと水が 苔むした岩を滑っている。それを巻いて右へ登っていくと肩ヶ滝と弁天滝。弁天様の祠が ある。更に濡れた岩をよじ登る感じで進んでいく。手摺りが朽ちた部分もあるので注意が 要る。                                       次に現れるのが高さ10m程の長滝。登山道の左下奥、10m程下るとある。滝壺の下 に木橋が架かりなかなかの風情。水量があれば豪快かも知れないなあと一人ごちながら前 進。                                        一旦、遠ざかった流れが再び近づいてくると、沢に二抱えもありそうな大きな双幹の自 然杉が佇立している。その奥にシャレ滝。これがなかなか面白い形の滝である。岩の割れ 目に沿って水が流れ下っているのだ。う〜ん。何かを想像させる眺めだ。(^^);         岩の間を右に巻いて登っていくと左側(南)が開け、岩がバルコニー状になった所に出 た。兵庫登山会の「マナーを守って楽しい山歩きを」という意味の注意書きがある。今日 初めて見る眺望が広がる。しばし休憩。涼風が頬を撫でる。下方に上筱見の集落、遠くに はっきりと深山のドーム、真南の山塊は弥十郎ヶ岳のようだ。首を巡らせてこれから登る 方向を見る。緑に隠れてはいるが、多紀アルプス独特の荒々しい岩肌が垣間見える。いい なぁ。                                       歩行再開。しかし、岩の間を縫っていく道は、テープや標識がしっかりあるからいいよ うなものの、何もないと迷ってしまいそうな踏み跡である。足をくじいては大変。浮き石 を踏まぬように注意しつつ登る。                           再び石が転がる沢へ。上から単独おじさん。険しいので一の滝の所で引き返して来たと いう。へぇ、もっと険しくなるのかと一寸不安になる。                                 木々の茂りで鬱蒼とした中に右に岩盤があり「大滝」の標示。が水はなし。その直上に は「筱見四十八滝終点標高613.2m」の標識。ここで登山道は右に曲がる。鎖が用意 されており、それをよじるとニの滝と一の滝が直下に現れた。見ると一の滝の滝壺は丁度 大きなお椀のようで、湯だったらさぞかし気持ちのいい一風呂が浴びられるのにね。      登山道へ戻り、さてと上を仰ぐ。と大きな岩がそそり立っているではないか。単独おじ さんが云っておられたのはこれかぁ?今日最大の難所?の岩登りである。こりゃ四肢を使 わぬと登れまい。トレッキングポールとカメラをザックに仕舞いこんで登り始める。    適度に凹凸があり、丈の低い雑木がまばらに生えていて掴めるので(そのせいか幹はつ るつる)、難所という程の難渋はないが、この岩登り、なかなかのスリルでミニ修験道し している気になる。でも雨の日は遠慮したいところだ。                  ところがこれを登り切るとあ〜ら不思議。傾斜のきついのはここまで。道も明瞭となり、 雑木の中を、さっきとは対照的に湿ったほとんど傾斜のない道が続くのである。でも、岩 を登ってくる人はグッと少ないのだろう、道標の整備が下より少し遅れている。      やっと距離がはかどるなぁと考えていると、足元がスーッと動く気配。ヘビだぁ!それ も褐色のだんだら模様の...。という事は「まー、むー、しー?」           遠のいてくれることを祈ってしばらく待つが、側の木の根元から動かない。恐る恐る除 けてすり抜ける。知らずに踏んづけていたら危ない所だった。背中を冷や汗がたらり。   自衛の為に再びトレッキングポールを取り出し、前方を叩きながら進むことにする。   広やかな場所に出る。枯れた花を付けたアジサイがある。そして二股。右は八ヶ尾山へ の縦走路だろうか。周回コースはここで左に折れる。                  広い稜線上のプロムナードだ。しばらくすると再び分岐。広い道が右に真っ直ぐ続いて いる。後で考えるとここで直進すべきであったのだろうが、周回コースの札に惑わされて 左のやや細い道に入る。そして葛籠おれに山腹を巻くと小ピークの肩に出た。南が開け、 ここもなかなかの景観だ。                              ところでここは四つ辻になっており、右の細い踏み跡も、左の広い道も大滝へ向かうと  手製の札にマジック書きがある。雑木の中を高みに緩やかに登っていく今一つの道がある。 それに誘われていくと誰がしたのか石がケルン状に積み重ねてある。更に進むと六畳程の 丸い頂上に出た。多紀アルプス縦走路の標識と兵庫県の保安林の標識が立っており、キツ ネ色のきのこが二つ捨ててある。匂いをかぐとマツタケみたいな...。でも色が違うし ネ。                                      
峠山と間違えたCa600mピークにあった縦走路案内標識
 さて、これが峠山?でも三角点がない。おかしいとは思いつつも、いつもの様に「まっ ええかっ。」(下山後にこれは峠山の東側のCa600mピークらしいと気づいたが後の 祭りでした。(^^);)                                 四つ辻に戻って、広い道を下ることにする。しばらく進むと右に幅1m程の広い道が見 えてきた。                                    「んっ?ありゃさっき通った道では?ということは周回にならないなぁ。」でも戻る気は さらさらなくて、ここでも「まっええかっ。」というわけで再び滝見コースに戻ってしま ったのである。                                   マムシさんもどこかへ行かれたのでしょう、再会することもなく、思いの外、岩下りも 簡単にクリアし、先程のバルコニーで遅い昼食にした。                 缶ビールといなり寿司で景色を愛でながらのいつもの時間。                ゆるりと腰を上げたのは丁度二時。滝を見物しつつ30分程で駐車場へ戻る。      滝以外のもう一つのお目当ての峠山はしくじったが、面白いハプニングもあった今日の 山歩。紅葉の頃か、ヒカゲツツジの頃、捲土重来、リベンジに来よう。          残暑は厳しいが山を吹く風は心なしか爽やか。クリの青いイガも膨らんでいる。蝉の声 はいつの間にかツクツクホウシに主役が交替、秋への移ろいのなかで、過ぎ去る夏の一抹 の寂しさをも感じさせた納涼山歩でした。                     
    【タイムチャート】      10:25     自宅発      11:52〜57   筱見四十八滝キャンプ場(駐車地)(約275m)      12:10     長滝      12:34     大滝      12:53     二股分岐      12:58     周回コース分岐      13:03     Ca600mピーク肩の四つ辻      13:06〜20   Ca600mピーク      13:46〜14:00  岩のバルコニー(昼食)      14:30     駐車地



  筱見四十八滝のデータ

   【所在地】 兵庫県篠山市
   【標高】  300m〜600m
   【備考】  下から手洗滝、弁天滝、肩ヶ滝、長滝、シャレ滝、大滝、
         ニノ滝、一の滝の八つの滝が、水が枯れることなく、い
         つも(始終)見ることが出来る事から名付けられたもの
         で、昔は修験者がまずここで体を清め、回峰したそうで
         す。キャンプ場から登山道があり、道標も整備されてい
         ますが、所々、危険な個所があるので、雨の日は足元に
         注意が必要です。■兵庫県森林浴50選
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  峠山のデータ

   【所在地】 兵庫県篠山市
   【標高】  630.6m(三等三角点)
   【備考】  東多紀アルプスの小金ヶ岳の東に位置し、縦走コースの
         途中の山です。筱見四十八滝からの登山道がありますが
         、一の滝の直上の岩から上は分岐も多く、道標の整備が
         下に較べてやや遅れていますので、家族向けにはキャン
         プ場から左の植林帯に延びる林道の方が無難でしょう。
         尚、春の桜、ヒカゲツツジが綺麗です。
   【参考】  2万5千図『村雲』


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