秋拾いつつ竜王山(茨木)

                          
竜王山麓の忍頂寺でみつけたヒガンバナ

                          平成12年10月 1日(日)
                          天候:晴れ
                          同行:三女朋加
 
 夜半はかなりの雨足だったが、一夜明けてみると一転、運動会日和。窓を開けると遠く から入場行進の音楽が流れてくる。だが今日も前日に何処へ行くか決めていないものだか ら出遅れ。いかんなぁ。おまけにオリンピックのバスケット決勝も見てしまい...。(^^ゞ  そこで、以前から気になっていた三角点探しに、茨木の竜王山へ三女を連れて行ってみ るかと思い立った。ここなら昼からゆっくりと出かけられるしねぇ。  例によって、途中のコンビニでお茶と三女のお菓子を買って、府道豊中亀岡線を北上す る。丘の斜面に作られた棚田は黄金に色づき、畦や土手は赤いヒガンバナが群れて、良い コントラスト。休耕田にはコスモスが風にそよぐ。ようやく秋も本格化の兆しである。  泉原まで来ると、ここが大阪府かと思う昔ながらの農村風景が展開する。千提寺はキリ シタン資料館も建てられている隠れキリシタンの里。以前、付近の下音羽の高雲寺で隠れ キリシタンの墓を見学したことがあるが、墓石に目立たぬように十字架を象徴化してあっ たように思う。近いうちにその資料館も訪ねてみたいものだ。  忍頂寺の交差点の向かいが竜王山への参道。石の鳥居が立つ。車はここを右折してすぐ 左折し、竜王山の麓を巡って車作へ通ずる道の入り口付近の空き地に駐車させてもらう。  車を降りると、農家の庭先へ入る道の端に実が黄色く色づいた柿の木。道ばたには沢山 のヒガンバナ。アゲハがその赤い花弁の周囲をウラウラと風に身を任せつつたゆたってい る。その風に乗って、ここでも運動会の音楽が遠くなり近くなりしながら流れてくる。  大日如来の祠横で、ふと車道の側溝を覗くと夥しい栗のイガ。石垣の上の草むらには茶 色い物が転がっている。 「オーッ。栗だ。枝から無理から落とすんじゃなし、拾っても良かんべー」と独り合点、 早速、三女と栗拾い。結局、綺麗な栗が20個程も拾えた。(持ち主の方すみません)  竜王山と書かれた額が懸かった鳥居をくぐる。ここにも「クマ注意」の張り紙。現在は またポンポン山付近に出没しているらしいが、この辺は大丈夫かなぁといささか不安がよ ぎる。  参道の石段を登っていく。すぐに雑然と生えた灌木の中に吸い込まれる。そんな中、シ イの実が落ちているのを目敏く見つけた三女は、拾いながら登っていく。しめしめ、これ で暫く機嫌良く登ってくれるぞ。  昨夜来の雨でやや湿った道の周囲はやがて桧林となり、寿命院からの車道と出会い、道 標と東海自然歩道の大きな案内板が現れる。  忍頂寺は平安時代に僧三澄が創建し、860年(貞観2年)に清和天皇により命名され たとのこと。かの高山右近に焼かれたそうな。  所々にある町石、イヌコウジュのピンクの花やカタバミの黄色い花などを眺めては、ネ コジャラシで遊んだりして登っていくと、左の石垣上に蛙岩。しかし余り蛙の形には思え ず、説明板がなければ見過ごしてしまう代物である。ここで麓から0.9km、山頂迄0. 6kmとの案内がある。  古いトイレの建物が見えてきた。右手前の小さな岩が張り出した所に長床几が置かれて あり、少々眺望が楽しめる。ワゴンが止まっていて先客が休憩中なので、こちらはトイレ の向かいに埋もれた岩が丁度平たく顔を出している部分に座って小休止とした。  ここからは寺の境内といった感じで、杉・桧が鬱蒼としてほの暗い。左には○○竜王と 刻まれた岩が林立している。なんとなく異次元に飛び込んだようで、おどろおどろした感 じがする中、急坂を一登りすると、突然明るくなって宝池寺の建物が現れた。朋加がそろ そろブツブツを連発しだしたので、あずまやで再び休憩することにする。  オヤッ?もうキンモクセイの花がほころんでいる。下界より冷え込みが早いんだろうな ぁ等と他愛無く考えながら持参のお茶を飲んでいると、目の前の柱にくすんだ色のハラビ ロカマキリが掴まっている。朋加が手を出すと、ぎこちなく羽を広げて逃げていった。  さて、再び、杉林の中を山頂に向かう。毒々しいキノコがにょっきり生えている。  左の木立の中に愛宕社。しかし地蔵さんの石仏が立っている。説明板によればどちらも 路傍に多いことから、愛宕信仰と地蔵信仰が混交したものといい、戦前までは山頂にあっ たそうだ。  そこを過ぎると湿った道は右にカーブし、まもなく山頂のコンクリートの展望台が見え てきた。と、左の雑木に赤いテープが巻かれている。「んっ?」 その方向を透かしてみると、古びた例の赤白ポールが目に入った。今まで分からなかった 三角点なのに、なんとあっけなく見つかったことか。一寸拍子抜け。
竜王山山頂の三角点で記念撮影
 緑の木製山名板の他に、数枚のプレートが木にぶら下げられた三等三角点は、字形から 判断すると戦前の物らしい。因みに展望は全くなし。  のっぺりとした広い山頂は誰も居ず静か。そして何故か滑り台などの遊具が置かれてい る。でも雰囲気が少し陰気な感じなので、ちょっとそぐわないなぁ。  展望台に行ってみる。説明板によれば、阪神一円が一望とのことだが、木々が繁って南 方向が一部覗けるのみ。それでも名神高速から大阪市街東部、生駒の山並みが分かる。  台上のベンチに座って一休みし、持参のせんべいを囓る。遅れてきた?ツクツクボウシ が未だ鳴いている。野鳥の声がかまびすしいが、種類が分からない。どこからかアサギマ ダラが現れ、松の葉陰に消えていった。  朋加が「帰ろう」と言い出した。言い出したら聞かない。元来た道をとって返すことに する。  車道から分かれた参道でシマヘビに遭遇したりしながら、40分程で忍頂寺の鳥居の下 に出た。  車へ戻る最中、運動会が終わったのか赤帽を被った子供達が親達とすれ違う。西日を浴 びた畑のケイトウが一際鮮やかだった。栗を土産に秋を拾いつつ歩いた里山。帰りの車で 朋加は犬と一緒に高鼾でした。

   【タイムチャート】
   12:40自宅発
   13:20駐車地
   13:30忍頂寺参道口
   13:45車道出合
   13:50蛙岩
   13:55〜14:00展望地
   14:05〜14:10宝池寺
   14:20竜王山山頂(510.0m、三等三角点)
   14:25〜14:40展望台
   14:50宝池寺
   15:20忍頂寺参道口
  
    
  竜王山のデータ
   『竜神にだまされた茨木竜王山』をご覧下さい。

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