西大台ヶ原散歩


    何故か、梅雨入り前に大台ヶ原へ行ってみたくなり、前日に用意を調え、5:00起床、    6時前に出発という今までにないハードスケジュール?。仕事じゃ、こうは行きません? (^_^!       阪神高速、西名阪と、流石に渋滞もなく、6:55に針インターを降り、7:58には    いつも小休止する柏木の不動穴前の喫茶「ほらっ穴」前を通過。8:53大台の駐車場に    到着。しかし、既に駐車場は満車。駐車場入り口の路肩が空いていたのでそこに車を停め    る。これで大台ヶ原は4度目だが、駐車場に停められたのは過去一度だけ。まあ、今回は    良しとしよう。     準備を整えて駐車場入り口横の標識に従い西大台へ向かう。大台ヶ原のハイライトの大    蛇グラ、牛石が原、日出ヶ岳などは東大台に固まっており、ほとんどの観光客はそちらへ    向かう為、西大台はひっそりしたもの。その分、静かな散策が楽しめる。小生もこちらは    今日が初めて。ピークハンティングの予定もなしのブラブラ歩きである。       ブナ、トウヒ、イタヤメイゲツなどの苔の生えた木々の中、大台教会の横を過ぎると、    木陰にテンナンショウ、早くも撮影モード。若い女性の2人連れ。「まむしぐさですね。」    以外や外見に似ず良く知っておられます。見直しました。     さて、最初の分岐を下に降りずにまっすぐ七つ池方面へ向かう。     原っぱに出た。ナゴヤ谷らしい。大きな望遠レンズ付のカメラと三脚がある。白い立派    な口髭を蓄えた中年の方が沢にいる。思わず声をかける。    「鳥ですか?」    「そうです。」     足下に目立つ草がある。その人についでに聞いてしまう。    「この草は何でしょうか?」    「コバイケイソウじゃないかな。」    手元の図鑑は春編、バイケイソウ類は夏編でした。家で調べよう。     綺麗な渓流を渡ると、あるわ、あるわ、コバイケイソウの大群落。それらをかき分けな    がらの路である。    註) 花が未だなので、はっきり言って断定できず。ひょっとしたらバイケイソウかも知       れません。     再び林の中へ。山腹を巻くような路が続く。時たま車の音。路がドライブウェイの下側    を通っているようだ。そして種々の鳥の鳴き声と降るような虫の声の大合唱。春ゼミでし    ょうか。そういえば抜け殻を発見しました。     水のある沢、涸れ沢を幾度と無く過ぎて、ふと左手の足下の白い物に気づく。ギンリョ    ウソウだ。図鑑の写真通りにキセル状に曲がった姿が2本。葉緑素を持たない腐生植物。    初見参で感激。思わずまたまた撮影モードに。
珍しい腐生植物のギンリョウソウ
    さて、車の音が消えて人工音が無くなったと思ったら、どこからともなく笛のような音    色。「コンドルは飛んでいく」のメロディだが誰が奏でているのか不明。後から気づいた    が、その辺りのやや開けた所が七つ池付近だったらしい。高層湿原とのことだが、惜しい    かな見落としました。     ふた抱えもあるような、苔むしたブナの大木を見ながら歩を進めていくと、盆地状の場    所に出た。開拓跡の表示板が立っている。それによると、ここら辺は高野谷と呼ばれ、明    治初期に入植したのだが、ソバ、ヒエ、大根、ジャガイモを植えても寒さで実らず、結局    廃したという。確かに自然環境の厳しそうな所です。     経ヶ峰への分岐を見送って、木々に巻かれたテープに従って進むと、またまたコバイケ    イソウの大群落。かき分けながら進む感じで開拓分岐の道標。その横にトウヒか何かの白    っぽい立ち枯れ。その上部に径50cmはあろうかという大きなサルノコシカケが5,6    個。丁度10名程のツアーのパーティが先着していて、ガイドが説明している。    ガイド「あれは大きいのでゴリラノコシカケですね。」一同爆笑。    ガイド「木に穴が空いているでしょう。あれはコゲラかアカゲラなどキツツキがあけたも    のです。木に穴をあける時の音をドラミングと言います。」一同納得。パーティの一行が    去った後も飽きずに暫し眺める。     再び歩き出すがその先辺りの沢で少々路を間違えてうろつく。と、朽ちかけた丸太の階    段を発見して「ほっ。」     上北山村有林の中、先のパーティが説明を受けているのを横目に進み、やがて左へ曲が    ると広場状の地形、東側が開けている。ここが展望台らしい。しばらくすると、先程のパ    ーティが登ってきた。ガイドの説明を漏れ聞く。     それによると、東の川渓谷を隔てて正面右の突端の切り立った所が大蛇グラ、左に見え    るのが千石グラ、その下に見える滝が中の滝だそう。木々の間に山の家の赤屋根が小さく    見えている。この険しい地形を望見するに、まるで日本のギアナ高原とは一寸言い過ぎで    しょうか?
展望台から大蛇グラを望む
展望台からの千石グラの眺め
    パーティの方々は前日、上北山温泉で一泊されたとのことで、ここで昼食らしい。お先    に失礼する。この路を更に進むと逆峠から小処へ出るのだが、今回はここで引き返すこと    にし、開拓分岐まで戻り、今度は右へ、駐車場まで4.2km。     吊り橋がある。ワサビ谷らしい。さらに吊り橋。今度はコウヤ谷。鹿のものと思しき糞    がそこここにあるイトザサ原をかき分け、河原に出る。先程のワサビ谷と思しき谷川とこ    こで合流している。逆川と云うらしい。川原のゴロゴロ石に腰掛け、おにぎりとカップラ    ーメン、漬け物で昼飯とする。     清冽な流れ。水面に時たま波紋。10cm程の魚。パーマークからみて、アマゴのよう    だ。でも獲ってはいけません。禁漁区です、念の為。     湧かしたコーヒー片手に川向こうの白い花を観察。シロヤシオ(ゴヨウツツジ)。早速    撮影。     やや黒い雲が湧きだし陽を遮る。ここは名にしおう多雨地帯。急いで、後片づけする。     路はえぐれて、ゴロゴロ石だらけ。雨が降れば谷川に一変しそうだ。アップダウンを繰    り返す内に、見事な苔の沢。朽ちた木も苔の緑の衣をまとい、スギゴケやビロードゴケの    間にはバイケイソウ類とイチリンソウの葉に似た植物が繁る。     そうこうする内に、徐々に水音が大きくなってきた。50m程下、木の間越しに岩だら    けの渓谷が見える。水が岩を噛んでいる。中の谷でしょうか。      木橋、堰堤を過ぎ、再び木橋、やがて涸れ沢。ここで又路が不明瞭になる。疎林の中を    ウロウロし、やっと白いテープを見つけジグザグに登ると、行きにあった最初の分岐へ出    くわす。これを右へ戻る。朝は開いていたテンナンショウの花も既に萎んでいた。       大台教会で記念スタンプを押して駐車場へ。大台荘で缶ビール。300円也。大台・大    杉谷の自然ガイド本を250円で購入し記念とする。
大台ドライブウェイより大峰山脈
大普賢岳と手前の鋭鋒は和佐又山
    14時過ぎ下山。途中、大峰連山の写真を撮って18時前帰宅となる。やや暑かったもの    の新緑を満喫した西大台散歩。総歩数は約12,000歩でした。     ◎西大台ヶ原をはじめとする野草の写真を翡翠色の宝石箱に掲載しています。ご覧下さい。   【タイムチャート】   05:58     自宅発   08:53     大台ヶ原駐車場(1560m)   09:00     出発   09:25     ナゴヤ谷   10:00     木橋   10:35     コウヤ谷渡渉   10:45     高野谷開拓跡   10:59     開拓分岐   11:15〜25   展望台   11:38     開拓分岐   11:45〜12:37 逆川河原(昼食)   12:37     出発   12:50     苔の沢   13:05     木橋   13:14     堰堤   13:20     木橋   13:28     七つ池、小処コース分岐   13:35     大台教会   13:40     大台ヶ原駐車場   14:18     出発   17:55     帰宅    平成9年6月 1日(日)   
  大台ヶ原のデータ    【所在地】 奈良県吉野郡上北山村    【標高】  1695m(日出ヶ岳)    【備考】  近畿の屋根大峰山脈の東、吉野熊野国立公園の地域内にあり、日出          ヶ岳を最高峰とし高原状の地形をなす。屋久島と並び日本一の降雨          地帯で年間降雨量5000ミリ。一日で1000ミリ以上降った記          録もある。その為、動植物も豊富で、現在もシカ、ツキノワグマ、          タヌキ等が生息している。          尚、新緑、紅葉シーズンは非常に混む為、大台荘等に宿泊した方が          無難かも。傘の用意も忘れずに。小生は5月に雹に降られた事あり。   

   トップページに戻る

inserted by FC2 system