海を眺めて日溜まりハイク〜雄岡山・雌岡山
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平成11年12月12日(日)
天候: 晴れ
同行: 単独 |
雌岡山の神出神社境内の展望台から
雄岡山。奥は丹生山系 |
昨日とはうって変わって穏やかな日和となった日曜日。どこかへブラっと出掛けられる
所はないかいな?とガイドをめくっていたら面白い名前が目に着く。雄岡山(おっこさん
)、雌岡山(めっこさん)。地図を見ると神戸のワイン城の近くで、阪神高速、第二神明
を使えば今からでも間に合いそうだ。そそくさと準備、かみさんに「ほな出掛けてくるわ
」と置きゼリフ。YDSで昼食を仕入れていさんで出発!
ところが阪神高速の京橋付近で工事規制。4Kmの渋滞で大きく時間を浪費してしまっ
た。次の第二神明は快調、玉津ICで降りてR175を北上する。
神戸市平野付近まで来ると前方に大和三山を彷彿とさせる丘が見えてくる。目指す雄岡
山、雌岡山の様だ。
老の口で右折し車を走らせること10分足らず。突き当たりのT字路が西盛北交差点。
戻って適当な駐車地を探そうとしたら、折良くGS横に空き地があったので駐車させてい
ただく。目の前が神鉄緑が丘駅である。
準備を整えてゴルフ場のフェンス沿いに進む。すぐに先程の車道に合流し、車道が西へ
カーブする頃、目の前に雄岡山の全容が見えてくる。ここで車道と別れて、大東住宅地の
看板がある雄岡山方向に直進する道に入る。道はすぐに民家の中の生活道路になり、犬に
吠えられたりしながら尚も進むと、雑木林が現れ、細い道がその中へ吸い込まれている。
横に「山を汚すな」の古い注意書き。どうもここが登山口らしい。横の民家の庭に主婦ら
しい女性が現れたので念の為確認。
「雄岡山へはこの道を行けばいいですかぁ?」
おばさん、微笑んで二回こっくりと...。有り難うございました。
良く踏まれた1m幅の道は落ち葉がうずたかく積もっている。雑木林はやっぱりいいね
ぇと独り言。暫く進むと道が二股に。山頂は右のはずなのでそちらへ向かう。
所々に倒木があるが、苦にするほどでもない。ツバキのような常緑樹と、黄色く色づい
て、ハラハラと少々の風でも舞い落ちる枯葉を枝に担った落葉樹。そして茶色い枯葉を真
冬まで落とさぬクヌギ等が混じり合った林は明るい。うねうねと延びる踏み跡を忠実に辿
って行くと、すぐに頂上へ出た。端の茂みに角の欠けた一等三角点。頂上の真ん中に祠。
ガイドには帝釈天とあるが、確かに腰掛けた姿の石像があるのだが、ミニの狛犬と稲荷の
狐も鎮座しており、何でもありの祠だ。
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雄岡山山頂の石の祠 |
周りに目を移す。結構ここを目指して登ってくる人も多いのか、山名板も幾つかぶら下
がっている。その中に『私の百名山 近郊低山』という面白いのもあった。
眺望の方はといえば南が開けている。何と云っても瀬戸内海。初冬の柔らかい日差しに
きらめいている。淡路島と明石海峡大橋。行き交う貨物船。南東方面には須磨アルプスか
ら丹生山系が続く。ポカポカと気持ちいい山頂だ。
暫く景色を楽しんだら次の目的地へ下山にかかる。踏み跡が西と西南に2つ。雌岡山に
近そうな西の踏み跡を行く。ご丁寧にこんな低山にも要所の木の枝にテープが巻いてある。
足元には何の印か『大』と彫られた石標が落ち葉に埋もれて所々に。昔の村の境なのだろ
うか。そんなことを考えながら緑地保存区域の標識を見ていたら、近所の中学校の野球部
員が数人下ってきて挨拶しながら追い抜いて行った。
アッという間に降り立った麓。先程の車道に出て西へ進む。
右手に大きな釣り池が見えてきた。大皿池である。風もなく絶好の釣り日和、沢山の釣
り人で賑わっている中、大きなサギが悠々と滑空している。
左に老人ホームを見て15分ほど歩いていくと、宮本歯科医院の建物。大きなヨットが
置かれている。振り返ると金棒池のバス停がひっそりとあった。
ここは十字路になっていて、右に折れて池沿いに進むと、左手に旧国鉄時代の車掌車が
倉庫代わりに使われているのを発見。思わず覗きに。
もとの道に戻ると前方にゲート。青い古い道標と案内板があり、この道は森林浴コース
なのだという。道標の字もかすれて神戸市にしては珍しく?整備が行き届いていないよう
だ。(^^)ゝ
ゲートを抜けて広い車道を登る。間もなく右手に痩せた雌岡山梅林。しかしここからの
景観が圧卷。ほぼ南側180度が開けて、近くの西神ニュータウンやワイン城は勿論、瀬
戸内海、淡路島が一望である。
やがて広い駐車場が現れる。公衆トイレも設置されている。そこを過ぎれば神出神社の
境内となる。なかなか立派な社。説明板によると、祭神はスサノオノミコト、クシイナダ
ヒメノミコト、大己貴命。スサノオとクシイナダヒメが雌岡山に降臨し、大己貴命をこの
地で産んだので一帯を神出(かんで)と呼ぶのだそうだ。
本殿の前が展望台になっており、ベンチも置かれている。目の前に良い景色が広がり、
ここで昼食にしたかったのだが、火の気を使うのも憚られるし、道標によれば西にも展望
台があるとのことなのでそちらへ降りてみる。
雑木の中を下っていく。古い鳥居があってここが本来の参道らしい。すぐに広い車道が
現れ、左手の広場に御旅所との木札が掲げてある。その広場の真ん中はこんもりとした小
山で「にい塚」と案内があり、周りを柵で囲んである。どうも雰囲気的に円墳のようだ。
(後で調べるとやはり古墳で、神出の集落が危急存亡の時ここを掘れば、黄金の鶏が現れ
るという伝承があるそうだ。)
余り展望が良くはないが一部開けている所があったので良しとし、ここで食事とする。
今日のメニューは蒲鉾と白菜入りのレトルト天ぷらうどんと、定番の助六、ビールと食後
のコーヒー。満腹じゃ〜。(^^)/
昼食後、再び車道へ戻る。字のかすれた道標が左、姫石神社・裸石神社と示しているの
で辿ってみることにした。
車道を200m程行くと左に下る道がある。落ち葉が分厚く積もった痩せた杉木立の道
だ。右に説明板があったので読むと、なんとこんな所で雪割草が群生しているのだという。
しかし、盗掘にあって今は風前の灯火。いつもながら日本人の公徳心の無さには呆れるば
かり。
やがて右に三つに割れた大きな岩を柵で囲んだ姫石神社。前方には真新しい社殿の裸石
神社が見えてきた。これらの神社名と神出神社のいわれから、そうではないかというある
予想がつくが、裸石神社の社殿の裏に奥殿があり、たまたま明かり取りがあったので覗い
てみると、やはり予想通りのご神体が置かれている。が、そのリアルさはどうであろう。
男性2座、女性1座。周りにはおびただしいアワビの貝殻である。豊年満作祈願の象徴で
もあろう、縄文時代の土偶にも合い通ずる素朴な民衆信仰を垣間見ることが出来た思いだ。
さて、社横の階段を登ると先程の車道に出、すぐに駐車場に戻った。
古神(こがみ)へ下る道があったので降りていく。落ち葉折り敷く急坂、滑らぬように
注意していくと、産廃の置き場の如き場所に出た。TVや冷蔵庫の廃品が転がっている。
見たくない光景。
続いて市民農園を左に高圧鉄塔を過ぎた辺りが広場になっていて、朽ちかけた祠が建っ
ている。小さな灯籠には文政4年の銘。額に愛宕神社とあるので、ここがガイドにある愛
宕山らしいが山という感じは皆無である。でも、北方が開けているので景色はよい。一際
高くみえているのが笠形山なのだろうか、よくわからん。そして民家の横に飛び出して、
古びた火の見櫓のある古神(こがみ)の公民館はすぐであった。
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古神の集落となだらかな雌岡山の姿 |
そこからは面白くない車道歩きなので省略。三木東高校横から三木街道を東進し、神鉄
志染(しじみ)駅迄は1時間弱の道のりでした。
面白かったのは帰りに乗車した神戸電鉄粟生線という単線狭軌のローカル線。神戸新開
地方面行きの電車が来たので乗ろうと思ったら、乗客が全員降りる。なんと当駅止まり。
すると今度は三木方面行きの電車がやってくる。これも当駅で折り返すのだという。中間
の駅でそれぞれ折り返すという、いつも乗る電車とは違うシステムに一寸面食らってしま
った小生である。 (^^);
2駅戻って緑が丘駅。駅前のGS横の空き地の愛車へ戻ったのは15時過ぎであった。
いつもと違って車道歩きが多く少々辟易したが、望外の眺めも楽しめた西神戸の里山雄
岡山、雌岡山巡り。たまにはこういう歩きも良かろう。民俗学的にも勉強になった日溜ま
りハイクの1日でした。
【タイムチャート】
9:45 自宅発
11:20〜11:27 西盛北交差点横(駐車地)(約165m)
11:35 雄岡山登山口
11:45〜50 雄岡山山頂(241.3m 一等三角点)
10:58 県道出合
12:12 金棒池バス停
12:16 雌岡山登山口
12:28 駐車場
12:33〜12:40 雌岡山山頂(250m)
12:45〜13:35 神出神社御旅所
13:41〜13:46 姫石神社、裸石神社
13:50 駐車場
14:00 愛宕山(163m)
14:05 古神公民館
14:50 神鉄志染駅(15:04発乗車)
15:08 神鉄緑が丘駅
15:10 駐車地
雄岡山と雌岡山のデータ
【所在地】 兵庫県神戸市西区
【標高】 雄岡山(241.3m 一等三角点)
雌岡山(250m)
【備考】 神戸市の西北部の丘陵地帯に並ぶ、丘といった趣きの低
山ですが、周囲に高い山が無く、特に雌岡山からは瀬戸
内海、淡路島、明石海峡大橋、須磨アルプスと素晴らし
い展望が得られます。優美な姿から古代の神奈備山であ
った事が偲ばれ、またその珍しい名前は文字通り男女の
和合を表しており、神出神社、姫石神社、裸石神社が雌
岡山に鎮座し、参拝者が絶えません。
最寄は神戸電鉄緑が丘駅です。
【参考】 分県登山ガイド『兵庫県の山』
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