春爛漫の夏栗山

                            平成10年 4月11日(土)                             天候: 晴れ                                     同行: 単独        
   昨年登った三尾山の南にずんぐりとわだかまる夏栗山。三尾山から見れば黒頭峰と共に   饅頭を並べたような姿をしている。春爛漫の中、今日は西多紀アルプスの静かな山を散策   することにする。                                    舞鶴道丹南篠山口ICから西紀町役場を目指し、舞鶴道の高架下に沿って坂本の集落、   そしてその奥の佐仲ダムに到着。おりしもダム湖畔はソメイヨシノが満開。散り初めし花   びらが青い水面にたゆたう。                               広くなった路肩に車を停め、はて登山口はと。アルペンガイドでは公園横にとある。と   りあえず道を戻って、トラクタで土起こしの真っ最中の地元の方に訊ねる。           あずまやを目指せとのこと。キャンプ村の横、ダム湖からの水路沿いに遡上し橋を渡る。    暫くすると古びたあずまや、その横に山道あり。朽ちた丸木の階段、横は小さな沢。     暗い植林の下の道、ササは刈り取ってあるものの、その切り株で歩きにくい。しかも途   中で全くのヤブとなる。クマザサ、藤蔓の絡む中を突き抜けると、再び丸木の階段が現れ   た。                                          小さな木橋を渡って右へ巻くように登ると、すぐに雑木の明るい道となる。狭い平地状   の部分で再び不明瞭となるが、それらしい方向へ進むと赤い布が枝に巻かれてある。一安   心。そこを過ぎれば明瞭な道となり、これから登る夏栗山が前に姿を現し、足下にはダム   湖が広がる。                                      そこここにある倒木の下を潜ったり乗り越えたりしながら、山腹を巻くつま先上がりの   ジグザグ道を進めば、谷向こうの三尾山の岩峰が徐々に姿を大きくする。東方向は三岳を   中心とする東多紀アルプスが顔を見せ始める。しかし、今は刈り取ってあるカヤトやササ   が夏は茂りそう。今が一番登り易そうです。                        再び、植林地帯。またまた道不明瞭。でも赤い布がここにもあった。またまた一安心。    また雑木の林となると、ようやく尾根に出た。前方に杉が二本ほど聳えている。尾根の   鼻のようだが道は一旦下ると消えてしまった。                       ええいと木に掴まりながら左手の高みを目がけて登ると再び尾根道が現れた。後で考え   ると、杉の所の前で左へ行く細い踏み跡を見落とした様だ。(帰りに気づきました (^_^;    低いクマザサの茂みの間の傾斜の緩くなった踏み跡を辿れば、疎らな植林の中に祠と丸   太の素朴なベンチが一つあった。近くの木には「夏栗登山」の木札。しかし、その先がま   だ少し高そうなので行ってみると、カラスが二羽、ビックリしてあわてて飛び立った。     そしてその後には低いクマザサの中に鉄製の展望台が一つ。周囲は南側が伐採されており、   素晴らしい展望。白髪岳、松尾山、西光寺山が指呼の間、西にはのったりと黒頭峰。     
山頂展望台より黒頭峰、遠くは千が峰付近の連山?
山頂展望台より南側、白髪岳方面の大パノラマ
   さっきのベンチへ戻っておにぎりを頬張る。                       ガサッという音。驚いて振り返ると黒い犬が現れた。首輪をしているので飼い犬かなと   訝っていると、眼鏡の男性が登ってきた。装備からするとかなりのベテランと見たが、今   日会った唯一の登山者であった。                              挨拶を交わす。伊丹の方だという。犬の散歩も兼ねて4,5回は登っておられるという。   なんだかんだと雑談を交わし別れる。                           さて、帰りは植物観察モードでゆっくりともと来た道を引き返す。北には木の間越しに   三尾山の岩峰が見えつ隠れつ。ヤマザクラが清楚な彩りを見せている。そして北側の斜面   には白いコブシの群落。ふと足下に目をやれば藤色のショウジョウバカマ。紫色のコバノ   ミツバツツジもそこここで満開だ。ミヤマシキミの地味な花、しかし結構芳香がある。フ   キノトウはもう旬を過ぎてしまったようだ。                    
山頂直下付近より三尾山の男性的な姿
   あちらこちらと眺めつつ下っている内、ふと見ると黄色い見覚えのある花。そうだ去年   三尾山で見たヒカゲツツジだ。これも満開。例年より早いようだ。思わず撮影モードに。    登山口に戻る手前でブッシュの中に今度はシャクナゲ発見。よく見ればホソバシャクナ   ゲまである。まさか野生では?                              その謎?が後刻、ダム湖畔の案内板で判明。シャクナゲの町、西紀町が以前整備したと   のこと。しかし今は、アズマヤと同じく顧みられなくなったようだ。             ダム湖下のキャンプ場に戻る。ダムの階段を上って駐車地へ。少し時間もあるのでダム   湖を一周してみることにした。                               歩き始めてすぐに明治7年の銘のある古い道標を発見。「左、ふくち山なりあい山。右、   中山三井庄」。                                     そういえばこの道は佐仲峠に続く。そこには江戸時代の地蔵さんがあったはずだ。もと   もと古い街道だった名残を垣間見たようだ。                        岩影にミヤマキケマンを見つけ写真に撮る。あちらこちらにスミレが咲き乱れる。その   上をモンキチョウ。30分程の散策、春爛漫、夏日の一日でした。          
   【タイムテーブル】    9:10   自宅発    10:50   佐仲ダム湖畔(約270m)    11:05   登山口    11:55   山頂(600m)    12:15   下山    13:20   佐仲ダム下キャンプ場    13:25〜50 佐仲ダム周辺       13:50   駐車地


   夏栗山のデータ

    所在地: 兵庫県多紀郡西紀町、丹南町
     標高:  600m
    備考:  西多紀アルプスに属し、佐仲峠を挟んで人気の三尾山と相対します。
         そのずんぐりした風貌の為か黒頭峰と並んでマイナーな山で、その
         分静かな山歩きが楽しめます。登山道は比較的しっかりしています
         が基本的にヤブ山である為、春が最も歩きやすいでしょう。途中に
         案内板はありませんが、赤い布、赤いプラスチックの杭が目印です。
         尚、東麓の佐仲ダムとその周辺は佐仲自然公園として整備されてい
         ます。
         交通機関はJR篠山口駅から宮田まで神姫バスがありますが、マイ
         カーが便利です。

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