中山最高峰は蒸し風呂状態

                           平成10年 6月 27日(土)                            天候: 曇り                                     同行: 単独         
   ほぼ一ヶ月ぶり、久々の山行きはまたまた近場、でも立派に三角点を持ちながら小生に   は未踏だった中山最高峰。                                日曜よりも土曜の方が雨の確率が低い、それも昼前の方が...。と言うわけで、近場   にも関わらず8時半の出発。                               阪急中山駅前の駐車場に車を置き、駅前のコンビニで定番の助六寿司と1Lのお茶のペ   ットボトルを買い込む。                                 梅雨前線が日本海とかで、南からの湿気が近畿を包んでいる。しかも高温。想像以上の   蒸し暑さだ。早くも汗が滲み出る。                            中山寺は子供の七五三や梅見に何度も訪れた所。が、震災後の復興状況にはびっくり。   塔頭は新築、以前有った風情のある茶店は白亜に生まれ変わり、参道の階段にはエスカレ    ータまで。その変貌に驚きつつ信徒会館の左の墓地から観音公園への分岐を過ぎ、谷川へ。   ここから奥の院までは18丁。                              小橋を渡って江戸時代の儒学者占部左近の墓を左に見て、民家横の石段を登っていく。   享保時代の一丁毎の丁石横には石仏が微笑んでいる。今まで一体何人の善男善女を見てき   たのだろうか。                                 
 奥の院参道の柔和なお地蔵さん
   賽の河原を思わせるガレ場が現れる。左に六甲方面、甲山がクッキリ。           だが暑い。雑木の間を通る道は風が通らない。今年初めて聞くニイニイゼミの声もその    暑さを倍加するだけ。天然のサウナ状態。ちょこちょこ咲いているハギの花も目に入らず、   シンボル広場でようやく開け風を感じるまでは、それどころではないといった感じ。陽が   照らないだけましか?                                   広場で一休みした後、梅干飴を口に入れて歩行を再開する。夫婦岩を見て進むこと暫し、    突然、新道が現れた。舗装はされていないまでも街路樹も植わっているという豪華版。   しかし、幻滅。こうして山は荒れていくのでしょう。                    奥の院・中山最高峰分岐から奥の院までは600m。まず、左、奥の院へ向かう。      鬱蒼とした中、ザーッという音が下から高まってくる。にわか雨?と一瞬疑うが、ミニ   滝が連続する沢の水音であった。                             その沢が次第に近づいてくると道は左に湾曲、その右奥に岩盤を滑る水のほとばしりが   現れた。厄神明王聖徳太子修行地の石碑。確かに伝説を思わせる雰囲気の幽粋な場所では   ある。                                         今度は右にカーブして一登り。まもなく前方に建物、中山寺奥の院である。         意外に広い境内と建物だ。神仏習合のなごりか狛犬が一対、その左奥には白鳥石から流   れ出る大悲水。ハイカーが三々五々水の補給中である。                   境内を一巡りしてみる。大きなシャクナゲが一本。石碑が建っていて読んでみると、電   気が引かれたのがなんと平成4年とのこと。それまではランプと蝋燭生活だったのでしょ   うか。ガラス戸の向こうにおられた眼鏡の坊さんに聞いてみたいものでした。          分岐まで戻って(本当は戻らなくて良かったのですが...(^^;; )、最高峰へ向かう。    やっと山道らしくなる。岩ゴロだがジメッとしている。そのせいか羊歯がそこいらじゅ   うで繁茂。マムシが出ないことを祈りつつ先を急ぐ。結局この辺りが最もきつい登りだっ   た。                                          中央展望所から次の山頂展望所までは700m。傾斜はほとんどなくなり、快適なプロ   ムナード。山頂展望所入口と思しき所には木札がぶら下がる。ここからは西側の展望がよ   い。大峰山が指呼の感。                                 再び一服、もう我慢できない。茶をゴクリゴクリ。                    右にフェンスが現れてきた。何のフェンスかこれが結局ズーッと山頂付近まで続くので   ある。??                                       山陽自然歩道の道標があらわれた。ここから道は降っているようだ。振り返れば、阪神   方面の市街地が広がっている。猪名川、武庫川がくねっている。飛行機が一気に上昇して   いく。ここが大阪空港の滑走路の真北に当たっているのには驚いた。             が、とりあえず目指すは最高点である。高みは何処だろうと左の小高いところへ向かう   とすぐに標石の埋まっているのが見えた。中山最高峰に到着。            
 中山頂上の二等三角点
   山頂は雑木の中にポツンと二等三角点があるのみ。十万辻へ抜ける山陽自然歩道の途中    のコブの様な感じ。三角点がなければ通り過ぎてしまいそうだ。だが、5m程北に出ると、   崖になっており結構素晴らしい見晴らし。北北東には広がる市街の奥にあるのは、NTT   の通信施設が建つところからみて高代寺山だろう。その右奥は特徴の有る杉林を被ってい   るから妙見山だなと類推できる。それから芋づる式に剣尾山、深山、大野山、大舟山、羽    束山と同定できてくる。西は以前登った大峰山がどっしりと控えている。          ひとしきり同定を楽しんだ後は、一寸早いが食事モードに切り替える。          一人静かな山頂での景色を愛でながらの昼食である。                    食べ終わって一息ついた頃、突然、ザワザワと喧噪が飛び込んできた。団体さんのお着   き。それほど広くもない山頂。それと交代する事にして、さて、どちらに向かおうか?中   山縦走もいいが一寸しんどいかな?十万辻方面は駐車位置を考えれば論外。あれこれ考え   るが暑さで消耗したのか気力が無くなってきた。生来の軟弱癖が頭をもたげる。しかし同   じ道も芸がない。そうだ27、28は縁日だ。それではと清荒神方向へ降ることに決定。    とりあえずもと来た道を引き返し、今度は奥の院・中央展望所分岐から再び奥の院へ向   かう。二つ三つのコブを越えて行くこの道も所々に分岐があって、網の目のようだ。      赤鳥居の横に出てきた。再び奥の院。今度はトイレの横から、米谷高原から清荒神方面   との道標に従う。                                    この道は兵庫自然歩道に指定されているようだが、こちらはメインから外れるのか静か   な雰囲気。アカマツに混じって黄色い木肌の木が多い。何だろう?              再びさっきの新道が現れた。登山道が寸断されている。と、10m程左に清荒神を示す   板。それに従い沢伝いの暗い道に入る。その沢を右に左に渡りつつ進んで行くとえらく沢   が荒れている。その先に砂防ダムが有るではないか。ダムで却って川を荒らしている。役   人言葉で言う遺憾の極み。さっきの新道と云い、必要以上の工事は国土を荒廃させるのみ   なのに...。                                     ガレ場にでくわす。六甲連山が前面に広がるここが米谷高原だろうか?ロープに掴まり   ながらの下降である。                                   飛び出したのは浄土宗大林寺の境内。そこから清荒神の駐車場はすぐ。再び喧噪の巷へ。    占い、骨董、漢方の店、石切神社参道と似た一時代前にタイムスリップしたような参道   風景。炭酸煎餅を土産にブラブラと阪急清荒神駅へ。午後1時半、お開きとなった次第。   蒸し風呂の山行きの顛末でした。                         
  【タイムテーブル】     8:30     自宅発     9:00     阪急中山駅前駐車場(約60m)     9:10     出発     9:40     夫婦岩広場     9:53     奥の院・中山最高峰分岐   10:03〜15   中山寺奥の院(約350m)    10:24     奥の院・中山最高峰分岐    10:36     中央展望所    10:46〜55   山頂展望所    11:03〜40   中山最高峰(478.2m 二等三角点)    12:00     奥の院・中央展望所分岐   12:10〜15   中山寺奥の院   12:18     清荒神分岐   12:50     大林寺   12:55     清荒神駐車場    13:15     阪急清荒神駅   
   中山最高峰のデータ   【所在地】 兵庫県宝塚市    【標高】  478.2m(二等三角点)    【備考】  宝塚市北方にたたなづく低い山並の中で大峰山に次ぐ高          さを持ちますが500mにも足らない低山です。          南麓に西国三十三ヶ所札所の古刹中山寺と奥の院があり          ます。          しっかりしたハイキング道が縦横に走り、道標も整備さ          れており、ファミリーハイクにはうってつけでしょう。          交通は、阪急中山寺からが基本ですが、山本、清荒神、          北摂大峰山登山口の十万辻の南からも登山道があります。
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