早春の宝探し?千早峠から中葛城山

ロープウェイ千早駅下から中葛城山遠望

                           平成11年 3月 6日(土)                            天候:晴れ                                     同行:単独         
  峠越えの道をまた歩いてみたいもんだと考えていたら、タイミング良く毎日新聞に中庄  谷直さんの千早越のツアーが掲載されていた。                      文久2年8月、吉村虎太郎らに率いられた天誅組が、河内長野の観心寺から進発し、五  条代官所を襲撃した際に利用した歴史に彩られた道である。                最近は、能勢近辺をうろうろすることが多いので、久々に南に足を向けるのも好いだろ  うと、これを歩いてダイトレに出、中葛城山のピークを踏んで帰って来ようというお手軽  計画を組んだ。                                    流石に人気の金剛山。登山口バス停付近には多くの車と準備中のハイカー、停まったバ  スからも沢山のハイカーが降りてくる。しかし、バス停を過ぎると意外と空いている。ほ  とんどのハイカーが千早本道に流れるようだ。                      ロープウェイ前の府営駐車場もガラガラ。600円也を払って早速準備。一寸寒いが先  週ほどでもない。                                   府道を10分ほど戻り、左手、千早川を渡ると五条林道のゲート。鎖で通行止めされて  いる。それを避けて鬱蒼とした杉の植林の中の地道を池ノ谷川の清流沿いに登る。      真新しいログハウスが建つ横を過ぎると、初めは深かった谷が浅くなってくる。二三度  橋を渡っている内に道は沢から離れ、傾斜も緩まってやや平坦になり左に傾いでいく。そ  ろそろ峠なのかなと思いきや、道は細まって今度は山腹を巻くようになり、倒木も増えて  やや荒れ気味になってきた。が、聞き覚えの有るシジュウカラの声が心地よい。       崖がザレて崩れた部分を過ぎると再び植林の中、T字路に出合う。ふと左を見ると木立  を透かして標識が見える。千早峠である。千早越の道とダイトレが交差する峠だが、歴史  に名を残す割には、杉、桧の植林の中の何の変哲もない所であった。         
植林の中の千早峠。虎太郎らも休憩したのだろうか?
  標識の前のベンチで小休止。ついでに千早越の五条側を見てみたが、ガイド通り荒れて  いる様だった。                                    歩行再開、杉桧の若木の間のダイトレ道は深くえぐれ、そして恐怖の?丸太の階段が現  れる。これがどうも歩調に合った験しが無い。今回も例外ではなかった。遠慮して横を歩  く。                                         アップダウンを繰り返している内に、漸く時折、五条方面が眺められるようになってく  る。そして、たまに植林が途切れ雑木に辺りが囲まれる部分も現れる。するとホッとする  から不思議だ。春を待つ芽も心なしか膨らんでいるようだ。                前方から男女の中年ハイカー。高谷山は?と聞くとすぐそこだという。一旦鞍部に下っ  て登り返すとそこが高谷山であった。大きな標識がある。独標でも有るかと探すが境界を  示す赤いプラ杭のみ。ここも特徴の無い、植林の中のコブである。小休止するほどのこと  もない、先に進む。                                  稜線を進んでいた時の、ある小ピークの手前。踏み跡がその山腹を巻くようについてい  る。思わずそちらに引きこまれて進んでいくと再び元の道に合流したのだが、この踏み跡  はピークを避けて後からハイカーによって付けられた道のようである。道の付き方の例と  して実地勉強になりました。 (~~)!                        
北摂の深山を彷彿とさせる中葛城山南面の笹原
  突然、パァーと視界が広がった。深山に似た一面の笹原。今までがズーっと植林の中だ  っただけに新鮮この上なし。中葛城山である。大阪側は見事な桧の美林だが、奈良側は笹  原。その笹原の向こう、眼下に五条市街と吉野川の蛇行する姿、遠くには霞んではいるが  雪を戴いた大峰山系がたたなづむ。八経ガ岳、行者還岳、大普賢岳、稲村ガ岳と続く姿は  壮観だ。そして東に小さく見える尖峰は高見山だろうか。標識前のベンチに坐り、ポカポ  カ陽気に浸りながらの山座同定である。                         ベンチで食事の用意をしている間にも数人のハイカーが通りすぎる。その中におられた  半パンの男性。二上神社口から来たそうで、これから紀見峠へ向かうという。そうとすれ  ば、千日回峰行者か加藤文太郎みたいなタフな男性。びっくりしゃっくりウイックリーで  した。                                        いつもの食後のコーヒーの後、ザックはそのままにして、腹ごなしに宝探し?に向かう  ことにする。関西ハイキング(山と渓谷社)の98年春夏号に紹介されている中葛城山の  宝(実は三角点)探し。                                そのヒント通り、ダイトレが左にカーブする地点付近の、植林帯とクマザサ原の境の微  かな踏み跡、といっても一寸ササが寝ているだけなのだが、それを強引にトレッキングポ  ールで払って進む。幸い、ササの丈が腰辺り迄なので方向を誤ることも無い。ササに隠れ  た枯れ木に躓くわ、雑木の棘に服をひっぱられるわの悪戦苦闘をする内、前方の雑木にテ  ープが巻かれてあるのを発見。それに導かれてヤブをかいくぐって行くと、足元にひょっ  こりと三等三角点があった。他には細い木の枝に、今年の2月4日付けの個人名入り山名  板がぶら下がるだけ。こら分からんわ。                      
ブッシュの中の三等三角点。ポールを立てておきました
  測量用の赤白ポールが倒れていたので、目印に立ててやる。なんでこんな見通しの悪い  所に三角点を設置したのだろうか。さっきのベンチの左前方のササに覆われた高みの方が  余程似つかわしいがなぁ...。                            雑誌には「無条件に感動物」とあったが、やはり三角点にタッチするとしないでは、感  覚的には雲泥の差があるものだ。万歳三唱。 (~o~)/                  一息入れて出発する。再び植林の中を急降下すると、すぐに典型的な尾根の鞍部の地形  を示す久留野峠。ここも昔は奈良へ抜ける重要な道だったのだろうが、五条側は廃道に近  くなっているようであった。                              さて、このまま進んで伏見峠から念仏坂を下るのもコンクリ道で面白くないので、ここ  で大阪側へ下ることにした。                              結構な急坂を降りると、何時の間にか水音が聞こえ出し、道も広く林道になって、あっ  という間にロープウェイ千早駅への舗装路に飛び出した。                 ぶらぶら下っていくと「くるの茶屋」という店、保冷庫に缶ビールが見えたので思わず  手が出てしまいました。プシュッ!ゴクゴク。プハーッ。美味い!             駐車場に着いたのが丁度二時。時間的にまだ余裕がある。で、千早赤阪村の郷土資料館  に立ち寄って帰ることにする。                             村の成り立ちがわかるこじんまりした資料館だが、建物の横が楠公の生誕地だそうで、  記念碑がある。その廻りには名前からしてやっぱり大きなクスノキでも生えているのかと  思ったのだが、ひょろっとした痩せたのが数本のみで、樹勢回復の真っ最中。それよりも  二上山から大和葛城山と居並ぶ姿が雄大でありました。                  寒いという予報に反して、無風の山道には陽炎さえ立つ山行日和の爽快な一日。そうい  えば今日は啓蟄でした。                             
    【タイムチャート】       8:50     自宅発      10:10〜10:15  ロープウェイ前府営駐車場(約670m)      10:23  五条林道入口(約580m)      10:55〜11:02  千早峠(784m)      11:32      高谷山(934.8m)      11:50〜13:07  中葛城山(965m、[三等三角点937.7m])      13:12  久留野峠(889m)      13:35     ロープウェイ千早駅前      14:00     ロープウェイ前府営駐車場


  中葛城山のデータ

   【所在地】 大阪府南河内郡千早赤阪村・奈良県五條市
   【標高】  965m(三等三角点 937.7m)
   【備考】  金剛山の南に位置する三等三角点の山で北山とも呼びま
         す。金剛山の影にかすんでマイナーな山ですが、頂上付
         近はクマササの原で南側の眺めが良く、植林帯の多い付
         近の山々の中で異彩を放っています。
         近鉄富田林駅から金剛バス、南海河内長野駅から南海バ
         スでロープウェイ前まで。
   【参考】  金剛葛城自然歩道ダイヤモンドトレール地図


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