北摂ミニオフ〜初冬の深山北西尾根を往く

平成12年12月16日(土)
天候:晴れたり曇ったり
同行:別掲
深山山頂にて低徘のメンバの集合写真。左端が筆者
【画像提供】dameちゃん
 

 先週の堂床山オフは雨で中止。それがあってかなくてか、兼武さんの音頭とりで、能勢
の深山でミニオフが開催されるというので、御邪魔することにした。

 今回は皆さんとの親睦もあるが、もう一つ目的がある。先頃入手したポケナビの能力を
試すいい機会でもあるのだ。前日の夜、早速、国土地理院の三角点閲覧サービスで深山の
緯度経度を登録する。最後の目的地683mピークもセットするが、こちらは地形図から
の目分量なので、やや正確を欠くがやむを得ない。

 当日は少し雲が多いもののまずまずの好天。8時過ぎ自宅を出、途中で給油後、9時過
ぎには集合地の山辺口のローソン前に着いた。兼武さんやdameちゃん、Weekendmasterさ
ん、水谷さんが既に先着されている。今日のルート等を話すうちに佐竹さんも到着。定刻
少し前だったが、出発点の能勢町天王に向かう。

 天王は大阪府の最北端にあって、標高500mの高原にある集落。記憶が曖昧だが、新
聞で中学校が廃校になったとかいう記事を目にしたことがある。ごたぶんに漏れずここも
高齢化が進んでいるのだろう。古い農家は以前は藁葺きだったのだろうが、今は手間と人
手が無い為かトタン葺きになっている。

 深山山頂のレーダー雨量観測所の白亜のドームを遠望しながら、天王小学校の横の舗装
された林道を進む。高皇産霊神社の鳥居が左に。大きな杉に囲まれたなかなか立派な社殿
が高台の奥に見える。確か深山山頂の神社が同じ名前だったが、この神社の御霊を分祠し
たものなのだろう。

 右に小さな流れ(滝ガ谷)を見ながら緩やかな勾配を登っていく。購入したGPSを今
日試すつもりなどと皆さんと話していると、WMさんが更に高機能のGPSを持参されて
いる。地形図がDLされていて現在地点が一目瞭然。バッテリの上がりや故障がなければ
迷いようがない優れ物だ。うーん。欲しくなるが、先立つものが...。(^^;

 いつの間にか右側の沢もなくなり、クマザサが繁る舗装の途切れた荒れた林道をくねく
ねと登っていくと牧場跡地。霜柱の溶けた跡を踏み、ヒマラヤ杉の立つ横から一間幅の道
を行けば、レーダー雨量観測所への車道出合い。一応、南の笹原ピークにも挨拶に寄って
いくことにした。
南の笹原ピーク(Ca770m)に向かう面々

 我々一行以外誰もいない。眺望を独占出来るが存外視界は効かず。いつもははっきり見
える愛宕山や三岳が霞んでいる。それでも兼武さんがdameさん等に山座同定してくれ
る。

 遮るもののない頂は風も出て流石に寒いので、車道出会いへ戻り深山三角点へ。が、こ
こも誰もいない(昼食中に小父さんが日章旗を掲揚しに上がってこられたのみ)。ここで
も兼武さんの案内で深山宮の周囲を回り、山座同定の一時を愉しむ。この時、私たちはま
さに人力の十国展望台と化していたようだ。

 これから先は展望の良い場所はないとのことなので、一寸早いが昼食タイム。その間に
無線班は早速交信を始める。隠れ里さん、島田さんと交信成功。たぬきさんとは受信のみ
であったそうな。

 思い思いの昼食を済ませて記念撮影の後は、今日のハイライト、深山北西尾根からの未
踏のルート。深山宮の裏手の笹藪が新たに切り開かれている。ここを降って下に見えるな
かなか優美な683m峰に向かうのだという。GPSでは目標まで直線距離1.29km。
これはなかなか楽しめそうだ。
深山山頂北から、いざ683mピークへ向かう

 切り開きはクマザサの切り株に靴底を跳ね返されてバランスが取りづらい。ひっくり返
るとその切り株で手や背中に傷を負いかねない。軍手をはめて慎重に進む。

 やがてクマザサ原は尽きて、周囲はコナラやクヌギ等の落葉樹とアセビ、ソヨゴ等の常
緑樹の混交林となり、モミ、ヤマザクラ、アカマツがそれらに混じって梢を伸ばしている。
広葉樹の葉の落ちた枝には主のいない野鳥の巣。起伏が少ないのっぺりとした尾根。切り
開きのそばの立木に、所々青いポリテープが結んであるのでこれを目当てに進む。もう少
しヤブを期待していた兼武さん、やや落胆の声を上げる。

 分岐が現れた。右を選択し暫く進むがどうも意図とは違う方向へ降りていくようだ。兼
武さん、地形図を確認し方向転換。確かにGPSでも、目標迄の距離が次第に遠のき、方
向も違うと出ている。先程の分岐を左へ行くのが正解のようである。こののっぺりとした
尾根は分かりづらい。でもヤブ歩きはこれが面白いのだそうだ。([註]この辺りは三府県
の境界に当り、それぞれの境界に沿って赤プラ杭が埋設されている)

 やや西方向へ戻って暫く彷徨する内に、無事左コースに合流した。あちこちに新しいシ
カの糞が散見される。と、円く落ち葉が払われて地面が露出している部分がある。どうも
シカの寝床らしい。皆さんの話し声とクマ除けの鐘の音で、シカもさぞかし吃驚している
ことだろう。

 道が消えたり現れたり。急斜面に出る。目指す683m峰が前方に眺められる。その急
斜面を降って行くと山腹を捲く踏み跡が現れた。イノシシが地面を盛大に引っかいた跡も
ある。道なりにそのまま辿っていくと峠。十字路になっていて、兼武さんによると昔は地
元の人が使っていたそうだ(大正古道)。南へ行けば往路の林道、西へ行けば目指す68
3m峰である。丈の低い笹原の中に、南方向にのみ枝を出した大きなモミの木がある。こ
こで小休止。

 一旦見なくなった青いポリテープが再び現れる。緩い上がり勾配の道を進むと、徐々に
尾根が狭まって来る。

 やがて小ピークに出た。小さく切り開かれていて、赤白の旗と目新しい三級基準点が埋
設されている。青いポリテープはこの工事用の目印だったらしい。683m峰と間違えや
すいが、GPSの高度はやや低い。そこで更に前進すると、ようやく辺りで最高と思われ
る地点に出た。今度こそ683m峰らしい。但し雑木林で展望無し。以前訪れた阿舎利山
の頂に似ているがここにはブナがない。ミヤマシキミの赤い実以外の彩りはないものの、
下草も少なく清々しい感じの場所である。皆さんザックを下ろし小休止とする。

到着した683mピークで談笑

 さて、降りはどちらにしようかと地形図を睨み、暫しの鳩首会談だが、結局、南の尾根
伝いに降って、神社の方へ向かう事に決める。

 下草の全くない植林帯を降って、沢の源頭部分を巻いて小さな尾根伝いに行く。途中左
手に深山山頂のドームが垣間見える所もあるが展望はその程度。但し今日は元々展望が目
的ではない。

 やがてアカマツ林となる。マツタケ山のようでシーズン中は歩けないなあと期せずして
皆で言い交わす。雨の際は小さな川になりそうなえぐれた踏み跡を辿ると、古い木札が懸
かっていて「コシアブラ 天王中アウトドアクラブ 88年」のかすれた文字。これ一枚
だけが残っているのも少し不思議であった。

 前方が明るくなって飛び出したところは畑。鹿除けの柵を避けて林道へ飛び出す。
右が沢になっていて、新道は橋を渡って護岸沿いに行くようだが、面白味がないと旧道を
歩くことに衆議一決である。

 水源井戸を過ぎておよそ50m進むと前方に砂防堰堤が現れる。佐竹さんが先行するが、
イバラが繁茂して歩き難く、道も途切れているとのことなので引き返す事にした。

 先程の護岸の道。あちこちに大きなタラノキが目立つ。春はさぞかし。

 堰堤を越えると左の川(イヤガ谷)はコンクリートで河床から堤防から完全に固められ
ている。「ここ迄せんでもねぇ。」とここでも皆さん口々に声を揃える。

 まもなく小学校の体育館が見えてきて往路の林道に合流する。庭仕事の最中の地元のお
ばあさんに挨拶したりして歩けば、駐車地まではあっと言う間であった。
 オフ解散後、るり渓近くのこぶしの里で一風呂浴して帰宅する。

 今回も単独行では味わえない楽しさを堪能させて頂いた。コーディネイトして下さった
兼武さん他、参加された皆さんに感謝。又来年もどこかでご一緒できればと思う、名残尽
きない初冬の、落ち葉一杯の北摂ミニオフであった。

GPSを使用した感想】 深山は位置を正確に入力したこともあって、誤差は8m。
最後に20m、10m、5mと計数が減っていくのは圧巻。次いで683m峰では約15
0m程の誤差。地形図で目分量で入力したからこの程度の誤差は仕様がないか?しかし、
単独行や標高点ピークが目的の時は問題。もう少し精度を増す必要があるとは私の反省の
弁である。しかしながら、目的ポイントの位置と方向、及び現在位置が一目瞭然なので、
迷う心配がかなり減りそうだ。しかし、電池の減り具合には閉口。また、衛星信号捕捉に
は受信部を空に向けていなければならない。WMさんのように、ホルダーを肩に取り付け
るなどの工夫がいりそうである。 

【同行】WeekendMastarさん、かねちゃん、佐竹さん、dameちゃん、水谷さん(五十音順)

   【タイムチャート】
    8:10自宅発
    9:10〜 9:25山辺口(ローソン横)
    9:40〜 9:50天王(駐車地 約510m)
   10:20〜10:25浅井牧場跡地
   10:35車道出合
   10:40〜10:45本峰南のピーク(Ca770m)
   10:58〜11:50深山山頂(790.5m 三等三角点)
   12:35〜12:40鞍部(約630m)
   12:55Ca660mピーク(三級基準点)
   13:05〜13:15683mピーク
   13:40イヤガ谷奥の畑
   14:00深山への林道出合
   14:05天王(駐車地)



   山のデータ
    「深山」、「春未だ浅き深山点描」等の山行記を参照下さい

  【参考】 2.5万図『埴生』、『福住』



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