早春たおやか深山高原

平成12年 3月 5日(日)
天候: 薄曇のち晴れ
同行: 単独
Ca750mピークから本峰南の
Ca770mピークを眺める


 先週とはうってかわって暖かい日曜日。深山へフキノトウでも探しに行こうか。

 今日もまた12時前の遅い出発である。途中のコンビニでハムサンドを仕入れて、R1
73を北上する。はらがたわトンネルを越えると北斜面には未だ雪が残っている。下界よ
りかなり気温が低いようだ。

 トンネルを抜けて右折、突き当たりを左に、るり渓ファミリー牧場の駐車場をお借りす
る。駐車した車は私の車の他に1台のみ。それもそのはずファミリー牧場は3/20迄、
冬季休業中。檻の中のウサギやポニーも手持ち無沙汰であります。

 支度をして、少々車道を戻ると、深山ハイキングコースの案内板が立つるり渓登山口で
ある。山頂までの距離は3kmだという。昨日の雨でややぬかるみ加減のクマザサと痩せた
アカマツに囲まれた登山道に入る。右のるり渓カントリーのグリーンから声が聞こえてく
ると思ったら、キャディーさんがパーティに指示を出す声だった。

 やや急登になる。昨夜来の雨と所々に残る雪で、登山道はややぬかるみ状態。滑ったら
大変。立ち木に捕まりながら足元を選ぶ。

 道は一旦675mピークに登ってから下り勾配となり、西から北に直角に折れる。等間
隔に埋まっている能勢電と書かれた石標が道案内のようだ。

 アカマツや雑木が疎らに生えた鞍部らしき所に出る。「チ、チ、チ」と鳴き声が聞こえ
てくる。8cm程の小鳥が数羽の群れをなして、梢を渡っている。後頭部の模様などから
ヒガラのようだ。あまり人を恐れぬようで、しばらく近くを飛び渡っていた。

 再び、傾斜が強まった時、上からバイクの音が聞こえてきて、まもなく、フルフェース
の単独兄さんがバイクでそろそろと降りてきた。バイク野郎には失礼だが、あまり道を壊
さないで欲しいものだ。

 ほんのしばらく急登を我慢すると疎林が途切れて、深山名物クマザサの原が現れてきた。
小さな尾根に出たようで、東側の足下には芝枯れのゴルフ場とるり渓。遠く半国山が姿を
現わしてくる。西側は何と言っても高岳と大野山、弥十郎岳が大きい。でも今日は黄砂の
影響か霞んでいて、視界はあまり広くなさそうだ。
 
 ササが刈り取られた快適な道にも徐々に残雪が増え、日の当らぬ北斜面にはまだまだ多
くの雪が残る。でも頭上のアセビは沢山の蕾をつけ、春の到来を待ちかねている。

 再び現れた疎林を抜けるとCa750mピークで一気に前方の視界が広がった。一面の
クマザサ原の中、深山本峰手前のCa770mピークのクマザサの稜線が柔らかいスロー
プを引いている。その頂上の見覚えあるイヌツゲの横から一人の男性が景色を楽しんでい
る。振り返ると何時の間にか、剣尾山の形良い姿と横尾山がドッカリ。ひととき素晴らし
い景観にうっとり。

 再び歩き出して10分足らずで、見覚えある南のピークの、更に南にあるCa770m
ピーク。一旦下ってすぐに南のピークに到着。イヌツゲの横で小休止である。歩いて来た
所を目で追う。遠くにゴルフ場の緑のネットフェンスが見える。そこから弓なりにゴルフ
場を巻いて、アップダウンを繰り返してここまで来たのが良く分かる。
「あそこから来たんかぁ。」
 
 ペットボトルの茶を飲んでいると、建設省の管理道からの地道を泥だらけの3台のバイ
クが上がってきた。お蔭で地道はぬかるんで歩くのに難渋しそうだ。

 土石流の監視装置なぞを見学しながら管理道に出て、向かいに見える深山本峰を目指す。
この管理道の路肩は季節にはスミレが群れ咲き、フキノトウも顔を出すのだが、イヌノフ
グリの青い花のみで、今回は見つからない。そうこうする内に、深山のシンボル?青いレ
ーダー雨量観測所の建物の横から深山宮の鳥居をくぐる。流石に風は強いものの、以前の
ような刺すような感じではない。気が付けばもう弥生。3週間もすれば桜の便りを聞く季
節なのだ。その風に翩翻と日の丸が翻る中、やはり今日もラジコン機が宙を舞っていた。

 深山宮は天王の方が在所の神社を頂上に分祠したものらしく、正式名称を高皇産霊神社
と呼ぶそうだ。大きな石の廻りを囲って神域とし、三角点もその中。正面には前には気づ
かなかった大きな石が二組据えられてあった。

 その深山宮の周囲を一巡する。いつも鳥になった気分にさせてくれる場所なのだが、や
っぱり今日は視界が良くない。多紀アルプスもベールの向こう。弥十郎岳の手前の丈山や、
胎金寺山のとんがり帽子など近くの山が見通せるのみであった。

 さてと、コーヒーブレークとするか。というわけで、雨量観測所の風下に避難して湯を
沸かす事にした。

 コーヒーとサンドイッチでゆっくり一息ついた後は、管理道から林道経由で下ることに
する。管理道には所々に雪が残り、北向きで日が射さない所では15cm程はある。汚れ
た靴底をその雪で洗いながらゆるゆる下る。道沿いにある水場では水が勢い良く流れてい
る。1台のビッグホーンが停まっていて、水汲みの最中であった。

 牛の匂いがしてくると府道との出合いは近い。変則T字路を東に折れてブラブラとファ
ミリー牧場方面へ向かう。右に「土が畑(どんがはた)」の谷を隔てて見える横尾山が大
きい。気づかぬ内に雲が切れて青空が広がってきた。傾いた陽の光が柔らかい。

 戻ってきた駐車場。私の車以外に駐車している車も無く、向かいのゴルフ場にも今は人
影無し。カラスが一声鳴いて東へ消えた。たおやかな深山高原の半日、お目当てのフキノ
トウは、時期が遅すぎたのか早すぎたのか、ついに見つかりませんでした。

   【タイムチャート】
   11:55自宅発
   13:10〜13:15ファミリー牧場駐車場(約560m)
   13:18るり渓登山口
   13:47Ca750mピーク
   13:55〜14:00本峰南のCa770mピーク
   14:05建設省管理道出合
   14:12〜14:52深山山頂(790.5m 三等三角点)
   15:10建設省管理道ゲート前広場
   15:26府道出合
   15:40るり渓登山口
   15:45ファミリー牧場駐車場

  深山のデータ
「深山」、「春未だ浅き深山点描」等の山行記を参照下さい



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