春まだ浅き深山点描

                            平成11年 2月 7日(日)                             天候:晴れ一時曇り                                  同行:単独         
   今までに登った山々を眺めたくなって、今日の行先は二年ぶりに北摂の最高峰深山。行   先が決まったのに、なんやかやとぐずぐずして、遅い朝食か早い昼食か分からぬ食事を摂   ってからの、近頃恒例となった遅い出発である。長女の高校入試の発表が明日だというの   にノー天気やねえ。でももう試験は終わったもんしゃーない。                今日は3月上旬から中旬の陽気とかで少し暖かい。ところが、R173のハラガタワの   トンネルを越えると一転の雪景色。そこは大阪の北海道といわれる天王、数日前の寒波に   よる残雪がまだそこここに残る。るり渓への道の凍結を心配したが、今日は小春日和。雪   はシャーベット状となっており、胸をなで下ろした次第。                  冬季休業のファミリー牧場の駐車場。誰もいない。ウサギ舎ではウサギが誰にも邪魔さ   れずに鬼ごっこに興じている。ゴルフ場も閑散。                       準備を整え、牧場横の登山道に入る。が、予想外に雪が多く、斜面は滑って登りにくい。   アイゼンか何か滑り止めが要りそうだ。遅い出発だし、3kmもあるしなあと生来の軟弱   さから、またもや例の如く、早々と林道コースに予定変更とあいなった。「またも負けた   か八連隊」古い戯れ言が口をつく。 (^^;;;                         車を廻し、あらためて府道の路肩の広まった部分に車を置いて、林道から深山へ向かう。    林道は岡牧場の上から北へ延び、天王小学校の児童が懸けたのか、前にはなかった深山   への案内板がぶら下がっている。                             豊中にも雪を降らせた節分寒波の名残は、陽の当たらぬ北側に融けきらずの雪となって    いるものの、道端にオオイヌノフグリが青い小花をちらほらと咲かせているのを見つける。   広葉樹の木々は裸のままだが、春が近づいているのを見るのは嬉しいものだ。         ゆるゆると登っていくと、水場付近にワゴンが2台。中年グループがバーベキューのテ   ーブルを囲んでいる。が、肝腎の水場はどうしたことか水がほとんど枯れていた。       建設省のレーダー雨量観測所への取り付け道のゲート前に着く。広場には3台ほどの車   がある。その内の1台は高いポールを上げて、無線交信の真っ最中のようであった。「山    であそぼっ」の島田さんが、今日はポンポン山でコンテストとメールで書いておられたが、   それと関係有るのだろうか?                               雨量観測所への右の取り付け路を進む。ここは深山宮の参道でもあるのだが、進む内に   雪が深くなってきた。道一面10cmはありそうで、側溝が見えないくらいだ。先程追い   抜いて行った車がチェーン装着中。車の中を見ると赤いラジコン機がありました。   
雪に覆われた取り付け道路、奥は笹原の770mピーク
   クマザサに覆われたたおやかな山姿が見えてくると、標高は700mを越え、まもなく   南の770mピークとの分岐点である。ピークへは融けた雪と泥で今日はとても歩けたも   のではなさそう。今回はパス、舗装路からその姿を見るだけに留める。            雨量観測所の水色と白のドームが見えてきた。このドームのおかげで、深山は何処から    見ても同定できる便利な山。つい先日は、胎金寺山、その前は金山からも遠望したものだ。    深山宮の立派な石の鳥居を潜り頂上広場にでる。例によって深山宮の周囲を巡り、深山   名物「100万弗の大展望」(←勝手に名付けました)を堪能する。             あいかわらず、自分が鳥になったような景観には素晴らしいものがある。10万分の1   の道路地図帳と双眼鏡片手にあらためて眺め入る。                     剣尾山、横尾山、ポンポン山、半国山、大野山、高岳。多紀アルプス三山。この前登っ   た胎金寺山は、こじんまりとしつつも鶏冠に似た頂を見せている。あの辺でうどん食べた   っけ。遠く若丹国境方面に雪を被るのは長老が岳。その右のギザギザとした、以前からそ   の名を知りたかった山は大岩山らしい。そして横から見る愛宕山塊は長大だ。         深山宮の境内正面の石灯籠の背後に三等三角点が埋まるのを確認した後、天王の集落を   見下ろしながら、湧かしたコーヒーを片手にサンドイッチを頬張る。こちらも傾きかけた   冬の陽に霞む里から、野焼きの煙が上がる風景が美しい。                  土手を見るとフキノトウがそこかしこにもう頭を出している。              「今晩は他人より先に春を食べられるな。さぞ酒が旨いやろなぁ」とポリ袋に採りつつラ   ジコン機のおじさん。ここにも着実に春の足音が...。                  風が出て冷たくなってきたようだ。軍手を装着。深山宮の鳥居を見上げながら、以前、   次女が上げた小石はまだ鳥居の上だろうかとの思いを胸に、そろそろ下山にかかる。      横尾山、高岳を眺めながら足元のバージンスノー部分に足形をつけたりなぞして、林道    入り口に戻ってくると、高い木の梢から野鳥の声。双眼鏡で覗くと胸に黒い筋。ツツピー、   ツツピーと良くとおる高い声だ。シジュウカラ。春を待つのだろうか、暫く美声を聞かせ   てくれた後、数日前のこの冬一番の寒波から一転したうららかな夕日を浴びて、谷の方へ   飛び立っていった。                                   春未だ浅き奥能勢、深山の風景点描でした。                   
    【タイムチャート】      11:45     自宅発      13:05     るり渓ファミリー牧場(駐車地)      13:10〜13:25  深山登山口周辺      13:32     林道入口(約600m)      13:48      レーダー雨量観測所付属道ゲート前      14:00     770mピーク分岐      14:10〜15:20  深山山頂(790.5m 三等三角点)      15:45     レーダー雨量観測所付属道ゲート前      16:01     林道入口
  深山のデータ     【所在地】 大阪府豊能郡能勢町・京都府船井郡園部町     【標高】  790.5m(三等三角点)     【備考】  摂丹山塊の最高峰です。頂上周辺は深山高原と呼ばれる           クマザサの原で高木がない為、摂丹の主だった山が一望           で、遠く播磨、若狭の峰々も望めます。春は笹の新芽、           アセビ、スミレ。秋は広葉樹の黄葉が美しく、また、ラ           ジコン機の操縦場所としてもマニアに人気があります。           尚、三角点は深山宮の正面の灯篭の後ろにあります。     【参考】  二万五千図 『埴生』
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