冴え返りつつ多紀アルプス〜三岳、小金が岳

平成12年 3月20日(日)
天候: 曇り一時小雪
同行: 丹波のたぬきさんと
    その無線仲間の方々
北面が残雪に彩られる三岳の重厚な姿


 丹波のたぬきさんの御誘いで、たぬきさんの無線仲間の方々と多紀アルプスへミニオフ。
一昨日の笠形山とは一転、強風の上、小雪までちらつく肌寒い天気でしたが、楽しい一日
を過ごせたのみならず、3年前のリベンジも果たすことが出来ました。以下はその顛末。

 集合時間の9時前には火打岩(ひうちわん)に着かねばならないこととて、今日も小生
としては早い出立。R173の多田付近で若干混んだものの順調に北上、篠山の福住でR
372に入り、日置で右折し道を急ぐ。

 瀬利付近の四つ角、丁度、三岳会館の前で、行き過ぎた事に気づいてUターンした時、
窓の外に見覚えのある顔。父たぬきさん。無線仲間の方々を無線で誘導しているのだとい
う。

 暫くしてお仲間は無事通過。火打岩でおちあった後、大タワに集合し、三岳、小金ヶ岳
をピストンすることとなる。

 9時前、流石に駐車場には1台の車も無い。車を降りると予想をはるかに上回る強い北
西風。木々が轟々とざわつくほどである。風に乗って北から次々に灰色の雲。そしてとう
とう白いものが落ちてきた。が、予報に依れば回復基調だし、これ以上悪くはなるまいと、
まず三岳へ。

 相変らずどこから眺めても重厚な三岳を見上げると、北面には残雪が残り、3年前と同
じシチュエーション。一つ大きく違うのは、自然林の中の道が昨日の雨でぬかるみ、非常
に悪い事。滑らぬようにズボンの裾にも注意しながら進む。やがてクマザサに囲まれた急
登の階段が現れる。一気に高度を稼げるがこれがきつい。しかも歩幅に合わぬから尚のこ
と。所々にあるトラロープや木々の幹に捕まりながら体を持ち上げる。

 その道も30分足らずのアルバイトの後はなだらかとなり、あれだけの強風も木々に遮
られて嘘のようだ。所々に残る雪、昨日は霰が降ったようだ。Ca710mほどの、やや
小広くなった場所で小休止、後続を待つ。その間、谷川岳で亡くなった山岳ガイドの方の
話や、中八人山での遭難の話など、余り縁起の良い話ではないが四方山話に花が咲く。

 みんなが揃った所で再び歩き始める。ここからは大した勾配も無く、すぐに役の行者を
祭る石室が見えてきて、火打岩からの御嶽道もここに合流してくる。
 
 高い所があれば登りたくなるのは山屋の習性。石室の横の岩に登り、みんなでがやがや
と山座同定。そしてこれは場所を移して山頂でも続くのであった。

 山頂は南側が伐採されていて、以前より眺めが良い。篠山市街を挟んで弥十郎ヶ岳、深
山など馴染みの山々が居並び、六甲から丹生山系の西の隙間に見えるのは雄岡山だろうか。
西側では白髪岳の奥の西光寺山が目立つ。

 気温は1℃。止まると寒い。たぬきさんのカメラで記念写真を撮った後、大タワへ戻る。
 
 全員が戻った後、ここで昼食という案も出たが、時間的に少々早いし風が強いこともあ
り、小金ヶ岳の懐で食べるのも一興というわけで、次の目標、小金ヶ岳へ。

 石の祠の前から、良く手入れされているせいで意外と明るい杉檜の植林の中を進む。右
に小さな沢。ちょろちょろと水音。やがて、小金ヶ岳まで750mとの道標で南に折れる。
まもなく道は植林帯を抜け、雑木林に出て再び東に曲がる。ここで小休止、またまた昼食
の相談だが、あまり適当でないとの声で、もう少し進んでみることに衆議一決。

 階段が現れた。でも今度は三岳と較べて短い。これを過ごすと尾根に出て、いよいよ今
回のハイライトの「蟻の戸渡り」だ。まず大岩。これは左に巻き道がある。次々現れる岩
を時には両手を使い、時には木の幹に捕まったりしながら越えていく。

 前方の高い岩峰(北壁)に取り付いている親子連れが居る。丁度3年前、雨が降り出し
てきてこの辺で引き返したんだっけ。確か傘をなくしたなぁ。 (^_^;  横で「え〜〜。
あんなとこ行くのぉ〜?」と母たぬきさん。でも口とは裏腹に顔は楽しそうでした。

 登山道から外れた場所に、丁度手頃な岩のテラスがあったので、ここで昼食とする。
 
 ツツジや松が岩の間に点在する石庭のような良い雰囲気。岩のお蔭で風も遮られてやや
暖かい。しかもたぬきさんから丹波の銘酒「小鼓」を頂き、余計に暖かくなる。千丈寺山
でも頂きましたが、重ね重ね有難うございました。

 銘酒のアペチットを飲み干した後は、貴公子定番メニューの助六とカップヌードル。な
んとも変わり映えしないが、これがまた良し。子供時代の遠足の名残かこれが飽きないの
だ。
 
 空腹も満たした事だし、間近に見える頂上に向かって前進再開。岩が半円筒状にえぐれ
た部分は鎖を使って攀じ登る。登りきった先が「北壁」。文字通り北側はスパッと切れ落
ち冷たい風が吹き上げてくる。眼下に西紀町へ抜ける道が一筋。赤いトタン屋根の農家が
一軒、まるでミニチュアの様だ。目を上げれば丹波の山また山の波、良い眺めだ。

 痩せ尾根の小刻みなアップダウンを繰り返し、最後の一気の登りに耐えると、そこはほ
ぼ円形の小金ヶ岳山頂であった。山頂にはコンクリート製の方位盤と私製の三角点に似せ
た石標があり、筱見四十八滝へ下る縦走コースの踏み跡が東へ、小金口へ下る踏み跡が南
へ下っている。そして大きな木も無く眺望は抜群。一昨日の笠形山にも勝るとも劣らない。
東は一直線に居並ぶ多紀アルプスの八が尾山、峠山。遠くは愛宕山から雪の比良山脈。南
は深山をはじめとする北摂山塊に六甲山。西は西光寺山、白髪岳。奥の一際大きいのは笠
形山らしい。ほんにこちらから見ると昔の女人が被る市女笠に似ている。北方向には粟賀
山と床尾山、三岳山に大江山。長老ヶ岳まで。全て雪化粧を施され綺麗である。

ササと潅木の小金ヶ岳山頂

 何時まで見ていても飽きない景色に、あっという間に小一時間が経つ。母たぬきさんは、
南に下って県道途中に出てみると云って降りていった。父たぬきさんはしょうがないなぁ
という顔。残った我々は後ろ髪を引かれつつ、大タワへ戻ることにする。

 途中、無線で母たぬきさんと交信しつつ、戻るのは早い。全員の無事を確認した所で冷
酒やコーヒー、たぬきさんお手製の苺大福などで小宴会。またまた四方山話に花を咲かせ
て3時過ぎ、機会があればと再会を約してお開きとなった。

 今日は西高東低の気圧配置で寒の戻り。これを俳句などでは「冴えかえる」というそう
だ。だが木々の枝先は微妙に淡く紅くけぶり、春の到来が遠からん事を囁いている。早春
の多紀アルプスミニオフの一幕でした。

   【タイムチャート】
   7:10 自宅発
   8:30〜8:35 三岳会館前
   8:50〜9:15 大タワ(駐車地)(512m)
   9:40〜9:50 小鞍部     (Ca710m)
   10:00〜10:15 石室
   10:20〜10:50 三岳山頂(939.4m 一等三角点)
   11:20〜11:30 大タワ
   11:45〜11:55 丸木階段手の前地点(小休止)
   12:10〜12:55 北壁手前のCa650mの岩のテラス(昼食)
   13:15〜13:55 小金ヶ岳山頂(725m)
   14:27 大タワ

  三嶽のデータ

   【所在地】兵庫県篠山市
   【標高】793.4m(一等三角点)
   【備考】 ドーム型をした多紀アルプスの主峰で、往古は中腹に大
嶽寺が建立され、修験の山として栄えましたが、大峰と
の争いに敗れ衰退しました。
北の栗柄、南の火打岩、東の大タワから等のルートが有
ります。

■関西百名山 ■近畿百名山
  小金ヶ岳のデータ

   【所在地】兵庫県篠山市
   【標高】725m
   【備考】 多紀アルプス三山の一つで、三岳の東に位置します。北
側が切れ落ちた荒荒しい岩峰ですが、頂上は360度の
景観が楽しめます。火打岩、大タワからの登山道がポピ
ュラーですが、筱見四十八滝方面からの縦走は、昔の修
験の道です。尚、ルート上、岩を伝う所がありますので
雨などで濡れている場合は注意が必要です。
   【参考】2万5千図 『宮田』、『村雲』



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