残暑の中にも秋の香り倶留尊山

ススキがなびく曽爾高原から二本ボソ
                           平成10年 9月 5日(土)                            天候: 晴れのち曇り                                同行: 単独        

  久しぶりに高い空に恵まれたこの土曜日。ちょっと遠出は曽爾方面へ足を伸ばす。     いつものようにコンビニでおむすび、カップヌードル、お茶のペットボトル購入。念の  為、ペットボトルを点検。手を加えた跡はないかな。こんな事をせねばならんのも一寸淋  しい限り。                                      名阪針、榛原からR369と渋滞もなく、予定通り二時間で現地到着。駐車場には10  数台の先着車があるが、結構ガランとしてまだシーズン前の雰囲気、静かな山行が望めそ  う。                                         準備を整え、曽爾高原名物ススキの原へ足を踏み入れた途端、あっという間に虫の音に  包まれてしまった。驚いたのはキリギリスの声と共に聞こえてくるスズムシの音。野生の  音色は初体験なので妙に感動ものでした。遊歩道の石畳の両側は、穂が出たてで茜色のス  スキとともにツリガネニンジンの青紫、タムラソウのピンク、ノダケの紫、ヤマハギの赤  紫、その他の名も知らぬ野草が彩りを添えている。動植物はすっかり秋の装いだ。      お亀池横のベンチからようやく亀山峠への登りがはじまる。左右からススキ、ハギが覆  い被さり、すっかりヤブ状態。しかも陽の光は残暑そのもの。風も山壁に遮られるのか全  くの無風。タオルは早くもぐっしょり。                         亀山峠は二本ボソと亀山(849m)の間のコル。中太郎生からの東海自然歩道との合  流点。環境庁の景観図も設置されている。兜岳、鎧岳。その左の屏風岩は背後の住塚山と  重なって人の横顔の様だ。木陰で久方ぶりの涼風に吹かれ雄大な眺めを楽しむ。       動悸も納まった事とて、左に折れ二本ボソに向かう。しばらくは直射日光に曝されての  岩稜登り。急速に体力消耗(←一寸大袈裟? (^^;  )。Tシャツは肌に張り付き状態、  立ち止まる間隔がどんどん縮まる。頂上の管理事務所で確か飲み物売ってたっけ。それを  ニンジン?にして前へ進む感じ。だから雑木帯に入った時は地獄に仏とはよく言ったもの  と実感した次第。やれやれ。                              階段状の岩場を越えれば間もなく管理用の建物のある二本ボソの山頂。以前はもっと近  い様に思われたのだが今日は意外に時間がかかってしまった。 (^^;            管理事務所で入山料500円を払い、冷えたアクエリアスを一本購入。今日はおばさん  とその孫らしき女の子が管理人。お話を伺うと、麓の伊賀見からモノレール(ミカン山に  よくあるやつです)で登ってくるそうです。                       女の子にバイバイして名物「イワシの口」に立つ。疲れも吹っ飛ぶ相変わらずの眺望絶   佳、360度の大展望。大洞山、尼ヶ岳、三峰山、遠くには近畿の槍ヶ岳?局ヶ岳の姿も。  更に、目の前にはこれから向かう倶留尊山の尖峰。しかもそこへ行く前に折角稼いだ「高   度の貯金」をかなり吐き出さないと...。加えて山に張り付く豆粒のような登山者の姿。  病み上がりにはこりゃ辛そうだわい。                           足元に注意しながら、アセビの多い雑木の間を張られたロープに掴まりながらの急降下。  毎度ロープには助かります。                              ケヤキ谷と呼ばれる鞍部。暫く気持ちの良いプロムナードが続く。そこここにシャクナ  ゲが見られるが、どうも植栽されたようだ。そしてすぐに再び急登。こちらも道際の木に  ロープが巻き付けてある。所々お世話になりつつ身を持ち上げる。膝が笑い出してきた。   右側に危険と書かれた板とロープ。危険と言われれば覗きたくなるのが人情。で覗いて  みれば足がすくむ数百mの絶壁。下は池の平高原の緑。飛び込めば助からんでしょう。    木々があるものの所々左右が切り立ったヤセ尾根を進む。振り返ればいつの間にか二本  ボソが眼下に。急登だが木々の間からの景観が楽しめる明るい山道、気に入りました。    一段と傾斜を増したガレ道を克服すれば、狭い山頂に文字通りひょっこり飛び出す。 
倶留尊山山頂の三角点と山名板
  山頂は細長く、丸太の素朴なベンチの間に三等三角点とケルン。山名が墨書された板が  添えてある。その周囲に先着の方が三々五々昼食の真っ最中でした。            山頂の北東側に石垣を見つけ、その上で昼食とする。近くの枝に濡れたTシャツを引っ  かけ、湯が沸くまで例の如くの山頂徘徊。                        眺望は成長した木々に遮られ二本ボソ程ではないが、それでも香落渓の屏風状の岩壁、  三峰山などが目の前に。二本ボソは意外に鋭峰、その狭い頂に登山客が立っている。さっ  き迄、自分も居たんだなあと感慨。写真を1枚。                  
倶留尊山(右)、二本ボソ(中)、亀山と続く三重県
側の険しい稜線、奥は古光山
  食後の熱いコーヒーで疲れを癒し、一時間程頂上で過ごしたろうか。予報通り雲が出て  きて陽も翳り寒くなってきた。しかしTシャツはまだ乾きそうにもない。持参した着替え  に代えた後、キアゲハのつがいに見送られて下山に懸かる。数組いた登山客も二本ボソに  一緒に到着した一組のみになっていた。                         数回のスリップ、ケヤキ谷でとぐろを巻いていたジムグリにビックリしつつ再び二本ボ  ソ。                                         ベンチにあった登頂ノートに記名しようとページをめくると、             「ん?」。                                      8月の項に豊中の、町名が同じ人の(と言っても見知らぬ人ですが)記名があるのを発見。  こういう場合、妙に親近感を感じるから不思議であります。                ペットボトルの残ったお茶を一気飲みし、管理事務所のおばさんに挨拶して二本ボソを  後にする。                                      林を抜けると曽爾高原がバーッと目の前に広がる。近畿には珍しい雄大な眺め。亀山か  ら古光山への稜線が美しい。                           
眼下に広がる雄大な曽爾高原の眺め
  と、眼下の亀山峠から黄色い喚声があがってくる。ヤッホーの連発。幼稚園の遠足かし  ら、下山の真っ最中。しようがない。ガレ場で見つけた秋の七草カワラナデシコを撮した  りして下山の時間調整をする。                             ところが、その団体が降りたと思いきや、今度は下から60名程の団体が続々と登って  くる。亀山峠で再び時間調整のはめに。上がってきた人の胸のリボンには「山歩楽会」。  あちこちでその山名板にお目にかかるのはこの団体だったのですね。月例会なのか仲々盛  会と見受けられました。                                 峠を下った後はメインストリートをはずれ、お亀池を巡って茶店「お亀茶屋」へ向かう。  例によって谷水で冷やした缶ビールを一本。グビッ。甘露甘露。(^_^)/           いつ来ても愉しませてくれる曽爾高原。残暑は厳しかったけれど、初秋の香りを満喫さ  せてくれた快適な山行でした。                          
    【タイムチャート】     8:35     自宅発     10:35     曽爾高原駐車場     10:45     出発     10:53     お亀池横ベンチ     11:10     亀山峠     11:40〜11:45  二本ボソ山頂(996m)    12:00     ケヤキ谷分岐     12:20〜13:30  倶留尊山山頂(1037.6m 三等三角点)     13:50     ケヤキ谷分岐    13:57〜14:06  二本ボソ山頂    14:35〜14:45  亀山峠    14:55     お亀池    15:05      茶店「お亀茶屋」     
   倶留尊山のデータ     【所在地】 奈良県宇陀郡曽爾村     【標高】  1037.6m(三等三角点)     【備考】  室生火山群の最高峰で日本三百名山、近畿百名山、関西           百名山に選ばれている名峰です。           三重県側は断崖絶壁、奈良県側はなだらかでススキで有           名な曽爾高原が広がっており、頂上からは鎧岳、兜岳等           の室生火山群、奥香落渓の柱状節理、高見山、三峰山を           はじめとする台高、遠くは大峰の峰々が見渡せますが、           木々が茂りだして景観は西側の二本ボソに譲ります。           山名の由来は近辺の「くろその石仏」からといわれてい           ますが詳細は不明です。           交通は近鉄名張から三重交通、榛原から奈良交通バスの           便がありますが本数が少ないので注意。           尚、「曽爾高原」の項も御参照下さい。                                
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