偽ピークに化けが石〜小和田山
倉垣付近から小和田山方面
山裾の建物は能勢の高灯籠

                           平成11年 3月28日(日)                            天候:曇り                                     同行:単独         
  いつものように早めの昼食を摂った後の遅い出発である。今日のターゲットは小和田雅   子さんが皇太子妃になられた際に注目を浴びたという、今まで取りこぼしていた小和田山。   R477沿いのJA歌垣支所の駐車スぺースを拝借する。ここは歌垣山の登山口でもあ  る。歌垣山に登っているのか先着の車が2台。                      準備を終え、国道と分かれて田畑の中の農道を行く。今日は冬に逆戻りの寒さだが、畔  にはツクシが顔を出している。桜もほころび、里はもうすぐ春爛漫を迎えます。       車道を横切り、南無妙法蓮華経と刻まれた江戸時代の道標を見て、舗装路を登っていく  と、昔は牛堂と呼ばれて賑わったという涌泉寺。その隣の歌垣神社横を七宝寺の参道がつ  ま先上がりに続く。                                  なるほど書いてある。「ハイキングの人は境内を通らないで下さい。」         それではと登山道を捜すが見つからぬ。とりあえず大きなお不動さんの石像を左に見て、  駐車場横から舗装路を摂津大仏へ向かうことにした。                   やがて竜神池、大仏、弁財天への道標があって、車道と分かれて山腹を登ると弁天池の  向こうに石造りの大仏の姿。その大きさは国道からもその姿が見えるほど。7,8mはあ  ろうか。振り返れば、能勢の山里が箱庭のよう。                     が、肝腎の登山道はどこに?再び車道と合流したが、その先はまだ工事中で下り勾配で  ある。と、車道が左にカーブする部分の右に北に向かう踏み跡があり、テープが巻かれて  ある。                                        ンッ?これかな?とその左の沢に沿う踏み跡を辿るうちに、テープが頻繁に出てき、中  にマジックで「小和田山→」と書かれたものがある。まずは一安心。            寺の管理地なのか余り手が入っていない雑木の中のトレールである。池に出る。緑の水  面が美しいが、水面に出来た波紋にも何かが現れそうな不気味さを感じて、土手を急いで  過ぎる。                                       前方に赤いプラ杭。左へうすい踏み跡。枝に赤テープ。一体、何処に導くのだろうか。   鞍部と思しき所へ出た。木に色とりどりのテープが巻かれてある。その一つに釈迦ヶ嶽  と書かれている。地形図では頂上はすぐそこ、行ってみることにする。           獣道の如きうすい踏み跡だが、要所にテープが巻かれてあって迷うことはない。しかし  茨や枯れ枝が邪魔だ。夏は往生するに違いない。                     傾斜が緩んだと思ったら、山ランと山歩会の山名板がぶら下がる釈迦ヶ嶽の山頂。が全  く視界はない。藪陰に古い木杭が立つのみ。長居は無用とすぐさま元へとって返す。     いつしか道は西へ傾いでいく。傾斜がほとんどない踏み跡を行くと、前方に黄色い重機  が現れた。小戸から上がってきているらしい林道の工事のようで、踏み跡が寸断されてし  まっている。やむなく無残に土の露出した林道を注意しながら進むこととなった。      凡そ50m位歩いたろうか。右にテープを再び発見。ホッと一息。それに従って、雑木  のトンネルに突入する。                                   気づかぬ内に尾根に出たようだ。再び傾斜となり、左に黒い防護ネットが現れた。あら  ?道が無くなった。いや外したようだ。だがネット沿いに行くとまた踏み跡が現れる。鹿  だろうか至る所に糞がある。ネットが破れたところの檜の幼木には喰われた跡も。      笹原をぬけると前方にピーク出現。あれかと思い、勇んでいくと又前方により高いピー  クがある。そしてそこへたどり着くとまた前方にピーク。この偽ピーク、まるで蜃気楼の  ようだとは一寸大袈裟でしょうか?おまけに一転かき曇った空からアラレも降ってきた。   手元の高度計ではまだ500m内外。防護ネットの支柱のワイヤに巻かれたテープには  後30分と書いてある。冷静に考えれば小和田山はまだまだ。地形図を確認すると、尾根  上に520mピーク、540mピークとアップダウンしている。これからまだ590mピ  ークも踏まねばならぬようだ。トホホ (T_T);                     茨や切り株、倒木で歩き難いヤブ道も、関電の巡視道となったところで良くなった。そ  して前方に松に囲まれたもっこりしたピーク。今度こそと思ったらようやくそれが本当の  小和田山であった。                               
小和田山山頂。展望は写真奥の切り通し以外ありません
    マイナーな山なのに意外と沢山の山名板がある。ガイドにある通り「ご成婚おめでとう  ございます」の文字もある。赤白ポールが東の一寸離れた位置に立っており、窓のように  そこだけ伐採されて、亀岡市の本梅の集落が良く見える。霞んでいる長大な山並みは愛宕  山らしい。しかしその他の視界はゼロ。でも釈迦ヶ嶽みたいに雑木の只中ではなく、三角  点の周囲の頭上は開けているので明るい。アセビの花がひっそり咲いている。        湧かしたコーヒーとサンドイッチで軽食を済ませた後、。はて、どっちに行こうか?と  思案。さっきの林道が何処に降りるか気になるものの、化ヶ石の見物もあるし...。暫  し思案の結果、亀岡側に決定。                             鹿避けネット沿いに西へ。国界の印なのか石標がある。こちらの方が道が良いなぁ。     のっぺりした590mピークを乗っ越して雑木の中の気持ち良い踏み跡を降りていくと、  高さ5m程の岩が出てきた。どういういわれがあるのか、その名を化ヶ石。      
雑木の中に立つ化ヶ石。全てはこの岩が元凶?
  その横を通って更に下っていくと、突然目の前が明るくなったと思ったら、雑木が伐採  された斜面に飛び出た。高圧鉄塔が立っている。                     ここからは今回の山行で一番の景観が広がる。下方のゴルフ場を隔てて、圧倒的な大き  さで迫るのは半国山。西に見える秀峰は金山だろうか。その奥に覗くのは深山。東には愛  宕山も姿を見せている。                                しばし休息して関電の巡視道を左へ。尾根を進み、荒れた小さな沢の源頭を巻いて、今  度は鬱蒼とした余り好きでない植林帯に突入する。しばらくは要所にテープが巻かれてい  たのだが、案の定、白いテープを最後に見当たらなくなってしまった。踏み跡も消えて、  いつの間にやら足元に水が流れている。どうも路を外したようだ。戻るのも業腹なので、  ここまで来たら沢に沿って下るしかないと、倒木につまずきながらも委細構わず前進。や  がて急斜面下にゴルフ場のフェンスと周回道が現れた。しかしこれが油断となった。     立ち木に掴まり斜面を下ろうとしたら、どうしたことか立ち木が根元からスッポリと抜  けてしまい、小生は虚空を蹴る羽目に。危うく泥まみれなるのを免れたけれど、最後まで  気を抜いてはいけません。  (^^);                           ゴルフ場を透かして舗装路が見えたので周回道を左へ採る。閉鎖されたゲートを避ける  と飛び出したのは府道731号。                            ここからは予想された単調な車道歩きだが、今越えてきた小和田山を見つつ下れる。3  0分程歩いたろうか、R477に出会ったところが加舎のバス停。次のバス迄はラッキー  なことに凡そ半時間だった。                              次のバス停「前ヶ芝」までぶらついて16:21発の吉川行きに乗車する。倉垣橋まで28  0円也の貸切バス状態でした。                             珍しく一人のハイカーにも会わなかった今回の山行。まだまだ春と冬が同居する山に、  偽ピークや道の喪失等と色々と化かされ?、手にはひっかき傷。でも楽しい半日を過ごさ  せてくれました。                                
    【タイムチャート】      11:30     自宅発      12:55     JA歌垣支所前(約235m)      13:02     七宝寺道標      13:06  涌泉寺(牛堂)      13:11     七宝寺      13:20     摂津大仏      13:30     池      13:42     釈迦ヶ嶽分岐      13:45     釈迦ヶ嶽(512m)      13:50     釈迦ヶ嶽分岐      13:55     工事中の林道      14:20〜14:50  小和田山(611.7m 三等三角点)      14:56      化が石      15:04     高圧鉄塔      15:15     ゴルフ場周回道      15:20     府道出合      15:54     加舎バス停      16:40     JA歌垣支所前


  小和田山のデータ

  【所在地】 大阪府豊能郡能勢町、京都府亀岡市
  【標高】  611.7m(三等三角点)
  【備考】  半国山の南、剣尾山の東の摂丹国境に位置するマイナー
        な里山です。南麓の小戸と和田の集落に因んで命名され
        たようですが、その名称から皇太子御成婚時に俄に脚光
        を浴び、知られるようになりました。
        夏は踏み跡がヤブになると思われる為、晩秋若しくは春
        が登山の適期ですが、猟期は危険で薦められません。
        最寄は能勢電妙見口駅から京都交通バスで七面口です。
  【参考】  二万五千図 『妙見山』、『埴生』


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