春未だ遠き交野山

                           平成12年 2月27日(日)
                           天候: 曇り時々雪
                           同行: 単独

 ここのところ、訪れるは超低山ばかり。今日も生駒の北の超低山、交野山。実は、何処 か出掛けようとの意識だけはあるのだが、前日に準備もせず、行先も決めていない報いで ぐずぐずするうちに気が付けばもう11時。交野山も本来は私市から『くろんど園地』経 由で歩くのがポピュラーなのだが、間に合わない。とりあえず、戸外で食事だけはと食料 を仕入れて車を走らせる。  R1を天の川の交差点でR168へ。次の信号で左折し橋を渡って直進する。この道は カミさんの実家へ行く時に使う道でもある。実家への曲がり角を過ぎた出鼻橋の交差点に、 いきものふれあいセンターの標識があるのを知っていたからだ。  出鼻橋を直進し、次の府道を左折してすぐに右折すると生活道路のような道になり、右 手に機物(はたもの)神社の境内。小生の家の近くの服部や池田市の呉服と同じように、 この近辺も機織りを生業とする古代の帰化人の居住地であり、彼らの崇拝した氏神なのだ ろう。  突き当たり迄来ると、いきものふれあいセンターの案内図があり、駐車場へはここを折 れて山際を南に向かうようだ。  案内図に従って倉治の集落を抜けるとブドウ畑が広がる。前方に創価学園の校舎が見え てくると、変則十字路があって、左の山側へ車道は入っていく。「カーブ狭し、大型車通 行不能」の標識。道路地図にもそう書いてあったっけ。  暫く登っていくと路肩に残雪が現れた。急傾斜でしかも1車線の狭い道はまさか凍結は していまいとは思うのだが少々不安よぎる。路肩の広い所で停車して様子を窺っている と、ハリアーが1台同じように登ってきて、小生の車を追い越した所で一旦停まったが、 意を決した様に進み出したから小生もついて行く事にする。(^^);  つづら折れを登りきって右に折れると駐車場。ハイカーがたむろしている。一番奥に車 を置いて準備を整える。  低山にも係らず、雑木の間にクマザサが茂りなかなか良い雰囲気。あちこちに踏み跡が あるが、とりあえず北へ向かう。  丸木で階段状に整備された道を登っていく。小さな尾根に上がるとほぼ平坦となり、前 方には交野山と思しきピラミッド状の高みが現れる。横のベンチでは女性2人組が食事中 であった。  まもなく分岐が現れ、下るのがいやなので右の尾根道を選択すると、すぐに車道に出て しまった。交野ゴルフ場の管理道らしい。慌てて取って返し、左の下りの道を採る。(山 行記を看ると、あきゆきさんも一度同じ事をされたようです (^_-) )  2・30m下ると雪の残るちょっとした沢の源頭部分に出て、「こげらの小路」と「せ みしぐれの小路」が分岐する。「こげらの小路」を進むと、左にちょろちょろ水の音。杉 かヒノキの植林を抜け、登りにかかると今度は「やまかぜの小路」との分岐。更に進むと、 右に東屋、左に何やら石標。「岩倉開元寺の跡」とある。そこからも尾根伝いに小道が分 岐している。ここにはふれあいの里の案内板があって、木の間越しに河内平野が望めた。  前方に赤い鳥居が見える。それをくぐると岩が現れて、道はその岩を巻いて木梯子を登 るようになっている。岩上に登ると、更にその上にも岩があり、梵字が彫られていて三宝 荒神の祠があった。  三宝荒神の前を失礼すると、山頂の巨岩が姿を現わす。その前に「古代磐座の跡」とい う石標が立っており、岩は「観音岩」というそうだ。落書き禁止の注意書きもあるが、そ れもものかわ、そこいら中に落書きがある。困ったものだ。
日陰に雪が残る交野山山頂の観音岩
 とりあえず観音岩に登ってみる。と、眼前に現れたのは河内平野を中心に絶景という他 無い光景であった。OBPや梅田のビル街。片町線の電車が玩具の様だ。大蛇のようにく ねるのは淀川。そして枚方大橋。その向こうには能勢からポンポン山と続く山塊だ。男山、 天王山、京都競馬場。今まで見えていた愛宕山は雲の中に消えかけている。鷲峰山も今は 灰色のベールの向こうだ。しかし風が強い。押さえていないと帽子が飛ばされかける。  俄かに、辺りが暗くなったと思ったら飛雪が舞い出し、見る間に吹雪のようになった。 ここは一旦避難して、先程の東屋で食事を摂る事にした。  今日はおにぎりと鍋焼きうどん。だが、ストーブの火力が弱い。ボンベにはまだガスが あるのだが...。それでも何とか煮立てる事が出来て一安心。フハフハさせつつ、湯気 の立つ熱々を口に運ぶはまた格別の旨さであるわい。(^_^)/    いつの間にか青空が戻り、太陽が顔を出している。再び、山頂へ戻り景色を楽しむ。 それにしてもこの山には三角点は無いのかな?辺りを捜すが見つからず。見つかったのは ゴミのみだった。  岩の先端へ出てみる。恐怖感が支配する。おまけにこの風、油断すると吹き飛ばされそ うだから尚のこと。早々に引き下がった。  風上に当る北西の方角に大きな灰色雲が広がってきた。その下は雨か雪が降っているよ うだ。それがマントを広げるように大きくなり、どんどん近づいてくるのが分かる。しよ うがない、戻るベえか。  小さなピークに戻った頃、再び雪が舞い出した。駐車場に着く頃には空一面が暗い。一 寸長引きそうに思えたので今日はこれで引き上げにした。(下界では本降りの雨が20分 程続いてこの選択は賢明のようでした。半分負け惜しみ?)  公共の土地の為か、あまり荒れた感じがなく気持ちの良い「いきものふれあいの里」。 縦横に小道がついていて、多くのバリエーションが組めそうだ。定番は前述の如く、私市 からくろんど園地を経て、源氏の滝へ抜けるのコースのようだが、いつかその道も歩いて みたいと思わせる飛雪舞い散る春まだ遠き交野山でした。

   【タイムチャート】
   11:40自宅発
   12:20ふれあいの里駐車場(約295m)
   12:30こげらの小路・せみしぐれの小路分岐
   12:34 やまかぜの小路分岐
   12:45〜13:20交野山山頂(341m)
   13:45ふれあいの里駐車場

  交野山のデータ

   【所在地】大阪府枚方市
   【標高】341m
   【備考】 生駒山脈の北端に位置し、交野市の「いきものふれあい
センターの区域内にあります。生駒山を亀の甲羅に見た
てた際に、亀の尻尾に当るので甲尾(こうのお)と呼ばれ、
転じて交野山(こうのさん)となったとのいわれを持ち、
継体天皇の宮、王仁博士の墓、禁野古墳などが点在する
古くから開けた所で、交野山の山頂にも、古代の祭祀跡
である磐座と思しき巨岩があります。最寄は京阪交野線
私市駅またはJR片町線河内磐船駅です。
   【参考】関西ハイキング '97秋冬号



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