意外に涼やかお盆の金剛山

                          平成12年 8月15日(火)
                          天候:晴れ
                          同行:単独
 

 この時季、低山徘徊にはつらいコンディションが続く。去年の8/9の愛宕山。風が無
く、おまけに湿度が高くまるで蒸し風呂、尾根に登るまでのつらかったこと。しかし、そ
れにも懲りず、今年はお盆に金剛山。

 ところが意外や、檜に覆われた沢沿いの道は太陽の直射もなく、快いせせらぎの音をB
GMに思いの外、快適に登ることが出来、尾根に出れば涼風が顔を撫でるといった案配。
耐暑登山のはずが嬉しい方に期待が外れました。

 今日も快晴。去年のことがあるので、水はたっぷり用意する。1.5Lのミネラルウォ
ーターと500MLのお茶。まあ頂上に行けば茶店もあるし...。ビールもなぁ (^_-)

 R371を南下するに従って、南東に葛城山と並んで金剛山が大きな姿を見せる。信号
待ちでふと眺めると、山頂付近に雲が懸かっているではないか。こりゃひょっとしたら涼
しいかもと淡い期待。

 R370に入って観心寺の門前を抜けると山が迫ってくる。関屋からの府道と合流すれ
ば千早赤阪村である。千早本道の登山口付近の駐車場には早や沢山の車。人気の高さが分
かる。マス釣り場も大入りである。その奥の伏見峠の登山口にも三々五々人がたむろして
いたので、ロープウェイ下の駐車場は大丈夫かなと思ったが、これは杞憂で四分程度の入
りであった。

 クーラーの効いた車から外へ出る。が、時折、雲が日差しを遮り意外に暑くない。そり
ゃそうだろう。標高はここでも凡そ600mはある。生駒山とほぼ同等だものなぁと一人
合点である。

 支度を整えて歩き出す。ロープウェイ千早駅へ曲がらずに直進すると久留野林道。前を
歩く大峰の金剛杖を持った小父さんも行くのかなぁと思ったが、ロープウェイへ曲がって
いった。林道入口に立入禁止のロープが張ってあるが、失礼してすり抜ける。すぐに橋が
あって、千早川の源流である沢は右手に移り、鬱蒼と茂る檜の植林の中へコンクリ舗装の
道は延びていく。やはり驟雨があったのだろう道が濡れている。沢の水音も心地よく暑く
はない。気温も24℃。しかしかなりの急勾配、車上がるんかいなぁと少々心配なくらい。
暫くすると汗が噴き出した。ここんところの安穏な山歩きのツケか足も重い。一寸開けた
所があったので早々と小休止とする。

 汗を拭っていると、ふと黄色い物があるのに気づく。キツリフネである。私にとっては
初見参。早速撮影モードに切り替える。

 ようやく沢が細くなって来る頃、林道は左に大きくカーブする。そしてその先に立入禁
止のロープ。しかしこの林道、去年降った時はここまで延びていたかなぁ。

 林道の曲がり際の丸太に「久留野峠→」とあり、上前方に空が見えてきたので稜線が近
い事が分かる。良く踏まれた急登を一登りすると久留野峠であった。

 ここで道はダイトレと合流する。ベンチにザックを下ろしていると、伏見峠方向から単
独小父さんが降りてきた。山慣れた人とお見受けしたが、果たせるかな、昨日は富士山に
いたとおっしゃる。普段は南葛城山や岩湧山辺りがテリトリーだそうで、こっちは静かだ
けど、金剛山頂は人が多いよとのことだった。

 ひとしきり話に花が咲いた後、神福山方面に行くという小父さんと別れ、植林帯の間を
登り出す。登った高みが通称石田山。が、展望はない。小さなアップダウンを繰り返すと、
やがて、奈良方面と大阪方面が植林越しに見下ろせる稜線に出る。雑木の林も現れて蝉の
声や虫の音も賑やかになってきた。オカトラノオがあちこちに目立つ。

 快適な稜線道、道中安全地蔵の前を過ぎ、右下に綺麗な踏み跡が現れたと思ったら、御
所の北宇智からの道。これと合流して下り基調の道を下りきった所が伏見峠であった。

 念仏坂の道との合流点で車道ほどもある太い道となる。キャンプ場があって、二年前に
はなかったログハウス風の綺麗なトイレがある。徐々に行き交う人も増えてきた。昆虫採
集の親子連れも多い。

 香楠荘で首尾良く冷えた缶ビールを入手し、昼食の場所を捜す。やっぱり展望台下の広
場かなぁと遊歩道を登っていく。山百合が咲いていて強い百合の香りが漂う。

 Tシャツを脱いでベンチに干し、上半身裸になって、展望台の影の下で食料を広げる。
まずはビール!「ゴクッゴクッ、プファーッ」これが最高の醍醐味。わたしゃこの為に登
っているようなものである。
 
 食後、展望台に登ってみる。カシミールに似た展望図が柵につけてある。だが、ややも
やっていて見通しは今いち。それでもうっすらと大峰の峰々の稜線。近くには古墳のよう
な大和三山。南には奥高野の護摩壇山や伯母子岳。九度山の町の向こうに竜門山、飯盛山。
西に岩湧山、南葛城山やパラボラドームのある三国山が視認できたが、大阪湾が見えなか
ったのは残念だった。

 ここまで来たら一等三角点のある湧出岳へ挨拶せずばなるまい。ダイトレ道から5分ほ
ど寄り道すればよい。しかしビールのアルコールが回ってほろ酔い加減で歩みは遅い。や
っとこさで葛城二十八宿の内の第二十一経塚が置かれた山頂にたどり着いた。葛城二十八
宿は役の行者が西は友が島から東は二上山まで、法華経二十八品を埋めたと言い伝えられ
るもので、湧出岳の経塚は西から21番目にあたる。山頂にはこの他に無線通信所のパラ
ボラアンテナがあり、よく目立つが展望は無し。

湧出岳山頂にある葛城二十八宿第二十一経塚

 分岐に戻り、葛城山に向かうダイトレと分かれて葛木神社へ向かう。樹齢500年の仁
王杉や夫婦杉を見物し、裏参道のブナ林を透かして葛城山を眺めつつ葛木神社に到着。

金剛山頂の葛木神社手前から望む葛城山

 神社奥の葛木岳は金剛山の最高峰(1125m)だが、残念ながら神域の為その頂上は踏め
ない。拝殿横にウバユリがにょっきり。いつ見ても少々気持ち悪い感じの植物だ。

 神社を後に隣接する転法輪寺へ入って驚いた。すごい人出だ。そして国見岳の広場も大
勢が昼食の真っ最中である。長居は無用、千早本道で早々に下ることにした。ところがこ
れがいつの間にやら徹頭徹尾の階段道になっている。展望も無いしこの登りはしんどそう。
「ここまでせんでも...。」と思うが、あれだけの人数が上下する道。道の崩壊を救い、
山に負担をかけない為にはしようがないのかも知れない。が、あまりの階段の連続で膝も
笑いだし、左足のアキレス腱の上が痛くなる。

 一本木茶屋のベンチで小休止する。下から涼しい風が吹き上げてくる。

 再び階段道。楠正儀の首塚をみて、千早城跡への道を分けると、つづら折れの急坂。こ
れを下ると舗装されただらだら坂の一本道となる。やがて人家が見えてきて「しいたけセ
ンター」前へ。

 黒栂谷の流れを見て坂を下ると金剛登山口のバス停。炎天下、ここから駐車場まで3q
の車道歩きはつらい。時刻表を見るとあな嬉しや、5分後にバスがある。バス待ちの間に、
バス停の前の茶店でアイスを買い頬張ることにする。これが又最高。「ヒヤーッ」

 結局、バスは10分程遅れてやってきた。150円也を支払ってらくちんでした。

 耐暑登山の覚悟をしていたのだが意外にすゞやかであった金剛山。消費した水分は、ビ
ール含めて1.3L。久方ぶりに少々歩いたかなと思わせるお盆の山行きでした。

   【タイムチャート】
    8:40自宅発
   10:05〜10:10府営駐車場(約660m)
   10:35〜10:40小休止(約800m)
   10:45〜10:55久留野峠(889m)
   11:00通称石田山
   11:10道中安全地蔵
   11:20伏見峠
   11:40〜12:20展望台
   12:36〜12:43湧出岳(1112.2m 一等三角点)
   13:00葛木神社(葛木岳 1125m)
   13:05〜13:15転法輪寺
   13:42〜13:47一本木茶屋
   14:15府道出合(金剛登山口バス停)
   14:40府営駐車場
  
    
  金剛山のデータ
     青葉輝く金剛山をご覧下さい。
 【参考】金剛葛城自然歩道ダイヤモンドトレール地図



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