雷鳴轟く初秋の剣尾山

                          平成12年 9月10日(日)
                          天候:晴れのち曇り一時雨
                          同行:単独
 

 台風接近で昼から天気は下り坂というのに、またまた出遅れ。青空のある内にと早い昼
食を済ませ、本を借りる為、最近近くに出来た図書館に寄り道しての出発である。

 玉泉寺ユースホステルの案内を目印に、R173を離れ、キャンプ場の西側の路肩に車
を駐める。やけに沢山の車が駐まっていると思ったら、西側のグラウンドではラグビーの
練習中であった。暑いのにご苦労様です。がこれは御互い様だ。(^^;

 空を見上げると、灰色の雲がそこここに見え隠れしている。少し急いで支度を整え、車
を離れたが、ドアをロックしたか否か気になって、一旦戻っての再出発。トホホ。

 登山口への林道を登る。鉄塔工事に注意の看板が目に付く。その横にツリガネニンジン
の紫の花。左に見える廃屋は来る度に自然に帰っていくようだ。間もなく右に現れる登山
口に入り、左にカーブすればすぐに丸太の階段の直登道になる。

 気温は25℃とそれほど暑くはない。しかし風がなく蒸し暑い。汗が蒸発しないから疲れ
が倍増する気がする。腕の汗が玉になっている。

 昔行場だったという岩が散在する所にさしかかる。大日如来の線刻がある大日岩から行
者堂を過ぎればすぐに行者山である。山頂といっても尾根上の小さなコブ。下山してきた
10名程の団体さんが休憩中である。そちらとやや離れてこちらも小休止。水分補給でや
や落ちついたところで、足下にママコナのピンクの花が咲いているのに気づいてシャッタ
ーを切る。と、ゴロゴロと遠雷。雲行きがさっきよりも怪しい。こりゃ急がねば...。

 ザックを背負い視線を上げると、前方のピークにはかねちゃんが云っていた無粋な高圧
鉄塔。摂津大峰も様変わりである。

 小さな鞍部を過ぎると鬱蒼と繁る雑木のトンネルとなる。ツクツクボウシが最後の夏を
見送るように鳴き交わしている。一方で、アマガエルが雨を呼ぶように鳴きだした。

 ジグザグの急登と山腹の平坦道を交互に繰り返すと、南側が開けた展望地。左に妙見山、
歌垣山。麓に倉垣、地黄の集落が眺められる。ここで何度目かの小休止。

 ニホンジカの説明板と炭焼き窯跡を後にして暫く進むと、下草にクマザサが増え、通称
『風の峠』と呼ばれる鞍部に出る。ここはいつもなら涼風が吹き抜けるのだが、今日に限
って風がない。赤松とクマザサのいい雰囲気の所だが、蒸し暑さで景色を愛でる余裕なし。

 ここから再び丸太の急登。汗が眼鏡を伝う。タオルも絞れるほどで、ここを過ぎれば六
地蔵だと我慢してあえぎながら登る。

 やっと到達した六地蔵。室町時代に遡るという仏様は、六人六様の澄ました顔で相変わ
らずハイカーを見守っている。ここで500tの水が空。地面に置いたザックの横からト
カゲが顔を出して、慌てて草叢へ身を隠す。

 月峯寺跡。以前より整備されて、下草や倒木、朽木が片づけられている。歩き易くなっ
てはいるのだが、余り手が入るのもねぇ。と独り言。

 水場跡を右に、最後の急登が待っている。それを乗り越えると待望の頂上に着く。ここ
も南側の下草が刈り取られていて展望が良くなった。振り返れば三草山や五月山。その向
こうに大阪市街。阪神高速の吊り橋や大阪空港から離陸する旅客機も眺められた。

 もう遅いし誰もいないのではないかと思っていたのだが、流石、人気の山、蛙岩には5
名程の男女グループとご夫婦ペアの2組がおられた。当方も岩に上がって大休止とする。

 暫くするとグループが下山し頂上は3人だけ。膨らんできた芝栗のイガを見ながら、伊
丹から来たというご夫婦と四方山話。深山へ行くつもりがこちらへ廻ってきたとかで、何
処か歩くに良いとこありませんかとのことだったので、向こうに見える高岳なぞ静かで良
いですよと答えておいた。

 前夜の雨でチリが落とされたのか、空気が澄んで視界は結構良い。東にポンポン山、愛
宕山から比叡山も拝める。南は、六甲山系の西に雄岡山、雌岡山まで。だが、丹波方面は
灰色に覆われていて、かなりの雨が降っているらしい。最初は遠くに認められた長老が岳
や大岩山の山並みも姿を消した。

 その雷雲が近づいているのか、ゴロゴロと地鳴りのような雷鳴が徐々に大きくなるよう
だ。深山方面の山々の山襞にはガスがかかり、あたかも高山の雰囲気、いつまでも見飽き
ない風景である。

 不意に日が陰り灰色の雲が頭上を覆う。頂上で雷は剣呑なので、先に下山されたご夫婦
を追いかけるようにこちらも下山をする事にし、木々の中に慌ててもぐる。

 少し風が出てきて涼しくなってきた。往路とは対蹠的に、ほとんど汗もかかない位。空
が厚い雲に覆われてきたのであろう、木々が覆い被さった道は夕方のように暗い。
 
 アマガエルの鳴き声がかしましくなってきたと思ったら、周囲からカサカサと音がする。
雨粒が葉っぱを打つ音である。とうとう降り出したようだ。今までは木々が茂って自然の
アーケードだったのが、行者山では雨粒が顔にかかる。能勢の郷のテニスコートが濡れて
光っているのが分かる。時折、遠くで雷鳴。でもここまで来れば持参の傘で大丈夫だ。

 行者堂で雨宿りを兼ねた小休止。巨大な岩が屋根になっている。その向こうにも高い岩。
あらためて見上げると結構圧倒されるものである。

 登山口へ戻った頃に雨は一旦あがった。なんとかもってくれた天気に感謝。

 ブラブラと林道を下っていくと一台の車が止まっていて、ウェアに身を包んだ男性が準
備に余念がない。カラビナとか、滑り止めの粉の入った袋を持っているところを見ると、
これから岩登りされるに違いない。岩が雨に濡れているので気をつけられんことを。

 車に戻って点けたカーラジオの相撲放送には頻繁にノイズがのる。北側の山を眺めると
ガスがかかりだして、晴れ間はすっかり影を潜め、いつ本降りになってもおかしくない雰
囲気である。野間の大ケヤキ付近まで走った頃、前方が真っ暗だなと思ったのもつかの間、
とうとう稲妻と大きな雷鳴とともに一気に土砂降りの雨になった。ワイパーが役立たない
程の雨の勢いで、久しぶりにフォグランプ点灯で徐行運転。野間峠越えの本瀧寺付近では
側溝を溢れた水が道路を川にしている。一寸怖いくらいの雨量だった。でも日頃洗わぬ車
のルーフが綺麗になったのではないかな? (^_-)

 豊中付近まで帰ってくると、こちらは青空が覗いており、雨が降った形跡はほとんどな
い。しかし能勢方面の空には巨大な入道雲が立ち上がり、白く輝いていた。

 ちなみに水分の消費量は計1.5L。雷鳴轟く恒例、剣尾山の初秋でした。 

   【タイムチャート】
   11:55自宅発
   13:05〜13:20キャンプ場西駐車地(約280m)
   13:25行者口登山口
   13:30行者堂
   13:35〜13:45行者山(469m)
   14:05〜14:08展望地
   14:18六地蔵
   14:25〜15:10剣尾山山頂(784m)
   15:50行者山
   15:55〜16:00行者口登山口
   16:10キャンプ場西の駐車地
  
    
  剣尾山のデータ
      快晴の剣尾山をご覧下さい。



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