剣尾山山頂の方向案内板、最奥の稜線は愛宕山 |
平成10年10月18日(日) 天候: 晴れたり曇ったり 同行: 単独
台風10号が駆け抜けた。深夜の予報では当初悪いと云われていた天候が回復傾向だと いう。久々の晴れ間、さぞかし視界良好だろうと期待して急遽決めたのは剣尾山。 昼からかみさんが用事との事で2時には子守の為戻らねばならぬ。いつもなら頂上での 昼食を見越して、9時半頃に出かければ良いのだが、異例の早朝?出発。そのお陰で渋滞 もなく1時間足らずでキャンプ場横へ到着。 こんな朝、しかも台風一過の直後と思いきや3台程の先着の車。変わり者は私だけやな さそうである。(^^)ゞ 林道には落ち葉、小枝が夥しく折り敷かれている。しかも行者口の石標付近は小川状態 である。風と共にかなりの雨量があったようだ。 右に折れていよいよ山道にかかる。最初の丸太の階段をみてびっくり。完全に小川。水 量はかなり引いた様だがそれでも音をたてて流れている。足元に注意しながらの登り。 大日岩の綺麗な線刻の大日如来に見つめられつつ、行場の岩の間を行者堂前の巨大岩へ。 相変わらずでかい岩である。今にも倒れてきそうな錯覚を覚える。 行者山で一服。水補給。ついでに手元の高度計を470mに修正しておく。 ここ行者山は尾根のコブに過ぎないが、なかなかの景観、岩の上に立てば、眼下に能勢 の山里が広がる。その山里を縫うR173を通る車も少ない。流石に能勢の郷のテニスコ ートまだ無人だ。 再び歩こうとザックに手をかけていると突然、切り裂くような声が響いた。すわっ物の 怪?と驚くと同時に、目の前を鳥が数羽、薮へ潜る寸前であった。びっくりさせるなよな。 一旦、小さな鞍部を下って再び木立の中である。枯れた松の倒木が道をふさぐ。結構、 登り基調は強いし、10月とは思えない蒸し暑さもあいまって早くも汗だくである。 切り通しに出る。植林が成長しだんだん眺望もままならぬようになってきたが、大阪市 街も見渡せる。久しぶりに明るい日差しを浴び、いつも何故かほっとする所だ。 クリ、牛と並ぶ能勢の三黒の一つの炭を焼く窯跡を過ぎると、前方に茶色い影が横切っ た。ふさふさとした尻尾、ニホンリスだ。野生を見たのはこれで3回目。コナラの実でも 拾いに来たのだろうか。カメラに納めようとしたが影も形もなくなっていた。 六地蔵の直下の赤松林に出る。何故か路肩がほじくり返されている。何かの足跡らしき ものも...。良く分からないが、どうも猪が牙でほじくった跡では...?鉢合わせし たらどうしよう?要らぬ心配をする。でも結局出会ったのは、さっきのリスとヘビくんが 2匹、ひなたぼっこのカナヘビなど人畜無害の動物ばかりでした。 運動不足の身にはつらい六地蔵までの登りを我慢して、六地蔵の前の岩影地蔵や、礎石 が現れたら月峯寺跡である。【タイムチャート】 7:35 自宅発 8:30 駐車地(キャンプ場横) 8:45 行者山登山口 8:55 大日岩 8:58 行者堂 9:02〜9:06 行者山(469m) 9:35 炭焼き窯跡 9:45 六地蔵 9:50 月峯寺跡 9:55〜10:45 剣尾山山頂(784m) 11:30〜11:33 行者山 11:50 行者山登山口 12:00 駐車地月峯寺跡は大きな倒木で迂回路が出来ており、誰が立てたのか手書きの新しい説明図の 木札もある。フムフム。あの石垣が本堂跡か、鐘楼、釈迦堂もあったのか等と一人納得。 泉跡の横の茂みの中には南無妙法蓮華経と書かれた石と壊れた五輪塔の様なものが。と言 うことは日蓮宗だったのかな?妙見宮が改宗したときに一緒に改宗したのかも、と勝手に 想像する。 ここまで来れば頂上は間近。ササと灌木の中を一登りで頂上に飛び出す。 先着の方が2名休憩中。当方も例の蛙石の上に上がり、水を補給。持参のおむすびを頬 張ることとする。ついでにシャツを木に引っかけ乾かす。 ここには中世に山城があったというが、そういえば岩に直線状に四角い穴を空けた跡が 残る。柱を立てた跡と思しき穴も。想像するだけでもロマンがあります。 さて、お目当ての眺望といえばまあまあ。天気は昼からの方が良いようで、北方にはま だ雲が多い。それでも、長老が岳らしい山影が見える。とするとこの前訪うた芦生はあの 辺だなあと懐かしみが湧く。そして半国山、深山、大野山、大船山、羽束山といつものメ ンバー。遠くには六甲、播州の山並も。眼下にはたたなづく山々に雲の影がまだら模様を 作り美しい。吹田から来られた方と暫し歓談しながらの一時であった。 ところで、前から気になっていたのであるが、長老が岳方向のやや右、方位で云えば北 東と北北東の間位に、ごつごつした山塊が望見される。未だに同定できず。誰かご存じの 方がおられればご教示を。 景観を愉しむ内にアッという間に時間が。もっと長居をしたい誘惑に駆られながらも、 帰りを考えるとそろそろ下山の時刻。先程の方に挨拶して下山にかかる。 道は丁度南方向。三草山の向こうに大阪湾が光る。丁度飛行機が離陸するところであっ た。 降る内にいつの間にか雲が増え、風が強くなってきた。木々が葉の裏を見せる。轟々と 木の擦れ合う音に驚く。オーストラリアなぞの乾燥地では、こうして木が擦れ合って山火 事が起こるそうな。日本で良かった。(^^; 何か変わったものでもないかいなと周囲を見渡しつつ歩いていると、大日岩付近でふと 小さな花が目に留まる。千回振り出しても苦いという漢方薬センブリ。1枚撮らせてもら う。芝栗のイガ、ドングリが転がる。おいしそうな卵色のキノコ。でもイッポンシメジか も。キノコ通ならさぞ旨いキノコを収穫できるのに...。 12時前、行者口へ戻る。あらためて説明板の摂津大峰の由来を眺める。平安時代から 栄えたこと。江戸時代、麓の玉泉寺の宝雲上人が行場を整備し賑わったこと。昭和10年、 月峯寺が南麓に移転したこと、今でも毎年4月に護摩供養が行われていること云々。 慌ただしいながらも台風一過、爽やかな剣尾山。13時半、帰宅。セーフ、間に合った。
月峯寺跡の忘れられたような石仏達