往く秋惜しんで秋季定例オフ〜高坂峠から笠形山

千が峰をバックに笠形山山頂で秋の定例オフに
参加の面々。小生は右から4人目です。
(写真提供:山本さん(前列左))
日時:平成12年11月12日(土)
天候:曇り一時晴れ
同行:別掲
 

 久しぶりに朝6時前に起床。日本海の低気圧の影響で降水確率50%との前日の予報が
良い方に外れたようで、東の空が明るくなるに従って、青空が広がる絶好の日和である。
今日は秋の定例オフの日、このまま好天であれかしと7時前に自宅を出、一路中国道を西
進、福崎ICから播但道を北上する。西に聳える鋭峰は七種の山らしい。薄く色づいた山
腹が綺麗だ。

 神崎南ICで降りる。集合地はグリーンエコー笠形(以下GE笠形)。案内が至る所に
あって迷うことはない。R312から加美町への県道に入り、案内に従って越智川を渡る
とすぐにGE笠形のゲート。案外広い。野球場、プール、コテージ等が揃い、子供連れで
遊びに来ても楽しめそうだ。それらを縫って一番奥のキャンプ場の駐車場を目指して急傾
斜の舗装路を進むと、集合時間の9時には25分もあるというのに、駐車場には早くも皆
さんが勢揃いしておられる。今日は長丁場。闘志満々の9名の皆さんに、この鈍った身体
でついていけるかなぁと一寸心配。(^^)ゝ

 日頃のご無沙汰と初対面の挨拶の後、たぬきさんとしまださんの車で、出発地の高坂峠
へ向かう。大阪は快晴だったのに、俄に空は一面の灰色。雨粒がフロントガラスを何時濡
らしてもおかしくない雲行きだ。雨具は用意したものの、昼食までは保ってもらいたいと
念ずる。

 名産の柚子が黄色く色づく越智谷を遡り、『松が井の水』の案内標識が立つ旧道に入る。
両側は鬱蒼とした植林、両脇からススキの穂がおいでおいでをする林道然とした道をクネ
クネと登っていく。峠の手前に数台の車が置ける場所があり、ここで全員準備を整える。

 ひんやりとした清冽な空気が実に気持ちいい。ここは丁度加美町と神崎町の町界で、千
が峰と笠形山の縦走路の中間地点に当たり、縦走地図も設置してある。今日はここを起点
として、入相山を経由して笠形山へ縦走し、GE笠形に降りるという算段だ。

 出発する前にしまださんから耳寄り情報。100m程先に石仏があるというので早速案
内して頂く。

 後背ががやや欠けた柔和な表情の子安地蔵が路傍に佇んでいる。天保5年の建立と云う
から、ざっと150年前のもの。施主は峠を加美町方面に下った的場村(現加美町的場)
のカナら4名とある。あきゆきさん、もぐもぐさんらも来られて何やらにわか撮影会の雰
囲気だ。

 縦走路入口へ戻っていよいよ出発。鎖の車止めを越えて小さな沢沿いに杉桧林の中へ入
る。その沢もすぐに消えて、道は徐々に傾斜を増していく。しかもこの縦走路、葛籠折れ
という道のつき方をしていない。ほとんどが直登。しかも傾斜が急ときているから、運動
不足の身体にはきつい。一つ目のピークは未だ良かったのだが、二つ目になると顎が出る。
始めは駄洒落をきいていた口も徐々に重くなって、周囲を観察する余裕もなくなり、唯、
足元と上を見上げてはまだかいなとため息をつくばかり。それでも時折、ミヤマシキミ
ろうか赤い実や、コナラの黄葉、ウリカエデの紅葉などが慰めてくれる。

入相山に向かう低徘の面々


 峠から二つ目のピークが入相山。狭い山頂には綺麗な三等三角点と、京都山旅人なる人
の手になる山名板一つの静かな場所であるが、木に遮られて展望はない。小休止して次を
目指す。ここからは今まで稼いだ「高度」の貯金を一気に吐き出し、再び急登である。三
つ目のピークを過ぎる頃、北に越智谷、千が峰が見渡せる気分の良い所へ出る。一抱えも
あるモミの木があり、アセビには来春の蕾がついている。正面の山名をしまださんに教え
てもらうが、残念ながら失念した。

 人面木に歓声を上げたり、時折続く平坦な尾根に一息つくと、再び急降下が始まる。期
せずして「もったいないなぁ!」の言葉が口をついて出る。

 降った所は地形図の655m峠。東西からの踏み跡が交差しているはずだが、その峠越
えの踏み跡は薄い。最早、廃道なのかも知れない。

 さて、ここからは今までにも増しての急登が待っていた。入相山から峠へは125mも
降下しており、今度はそれより高いピークに登るのだから当然といえば当然だが..。

 一気に高度を稼いでCa835mピークの手前、Ca800mの小ピークにでる。この辺り
から左手に、この先暫く続く鹿除けネットが現れる。そして東南方向が開けて、ゴルフ場
や笠形林道が眼下に、また妙見山が優美。遠くにはもっこりと多紀アルプスの三岳が悠然。
先週登った西光寺山も優美な山容を見せる。

 と、左手に異様な物体を発見。何とシカの首から上のミイラがネットに絡まっている。
しかも、骨が無く皮だけ残されている。胴体は何処へいってしまったのだろう。喰われて
しまったのだろうか。何とも不思議なものを見たものである。

 更に町界尾根を忠実に辿る。雑木に包まれた痩せ尾根から鞍部、そして登りを繰り返し、
左に広がる展望や、足元のリンドウの花に目を奪われている間に、ようやく目指す笠形山
が視界に入ってきた。その中でも864m標高点ピークの手前、登山道から少し逸れた岩
から谷を隔てて眺める笠形山は、播磨富士の名に恥じない。山頂のあずまやでは、微かに
人の動く気配も感ぜられる。
縦走路からそれた露岩から見た笠形山の姿

 目的地が視認出来たことでにわかに元気が回復。今までは864mピークは未だかいな?
等と口走っていたのだから我ながら現金なものだ。次いで頂上まで20分の標識が現れた。
もう少しだぁ。(^_^)/

864mピークで憩う低徘オフ参加の皆さん

 加美町大屋へのコース分岐から先は登山者も増える。笠形林道からショートカットする
人が多いようだ。今から千が峰へ行くというお爺さんも現れた。

 『龍の背』。なるほどステゴザウルスの背の突起の様に岩が突き出ている。それを越え
ると『天の邪鬼の挽岩』の標識。先程の大きな石柱様の岩がそうなのかなぁ。(実は立岩
と云うそうです)この辺りは北から東の眺め良し。今し方歩いてきた縦走路が手に取るよ
う。しげしげと眺むるに、かなりのアップダウンで良くぞこなしてきたものだと我ながら
感心。(笑)
痩せ尾根「龍の背」を行く
立岩と縦走路してきた尾根。手前は864mピーク

 最後の急登、息を切らして笹原の中の道を登る。ああ苦しい。バテバテの体で頂上。暫
く息が整わない。お茶を飲んでやっと人心地がついたら驚いた。想像はしていたが、狭い
頂上は鈴なりの人。しかも次々に登ってくる。北東斜面に僅かに空いた枯れササの斜面に
に陣取り、ようやく皆さん一息入れることが出来た。

 360度の眺望を肴に昼食。ここで遠来の山本さんから、ガマズミ酒などの手製の酒や
紅葉饅頭などを頂く。重いのに大変だったに違いない。たぬきさんからは地酒小鼓。時な
らぬ宴会状態にdameちゃんなどは飲み過ぎて、下山中は足元が雲の上状態だったそうであ
る。(笑)

 流石に山頂は風が強い。気温11度。しかし、火照った身体にはそれほど寒くない。酒
のせいだけではなく、皆さんとの暖かい談笑のおかげであろう。これもグループ登山のメ
リットの一つである。しまださんのTeihaiワッペンTシャツのお披露目等に興じな
がら、最後に山本さんのデジカメで集合写真を撮って下山にかかることとなった。残念な
がら期待していた「笠形太郎」に会えなかったのが心残りといえば心残り。(笑)

 ドウダンツツジの紅葉を愛でながら鞍部へ向かって急降下する。縦走路では一人の登山
者にも会わなかったのに、このメインコースの笠の丸方面からは次から次へと人が上がっ
てくる。流石人気の山ではある。

 笠の丸との鞍部から神崎町コースへと西へ折れる。こちらは杉木立の中の平坦路、とた
んに人が減る。

 20分程歩いたろうか。だが手元の高度計では未だ800mの高度を保っている。地形
図を確かめると等高線はまばらで高原状。しかし、前途に急降下が待っているのが分かる。
6合目の標識のある植林帯がそれであった。木に掴まりながら一気に降れば、「アセビの
杜」を通り、やがて大きな沢に降り立つことが出来る。沢は底が岩盤で到る所でナメ滝を
作っている。あずまやが建つ『水辺広場』が5合目。道は沢から離れて所々に現れる岩を
巻きながら降っていく。

 3合目で小休止。ここも展望良く、眼下にGE笠形の運動場が認められるようになる。
遠くには暁晴山に連なる山並みが眺められた。

 更に10分程降ったろうか。『滝見台』の案内に従って道を逸れると、前方にあずまや。
水音が響いてくると思ったら、左の谷に水量は少ないものの雄大な滝が望める。扁妙の滝
と呼ばれ落差が65mもあるそうだ。下山道の横を流れていた越智川の支流が流れ落ちて
いるのであろう。暫し憩いながら飽かずに眺める。
落差65mを誇る扁妙の滝

 山本さんに教えて頂いたガマズミの実を試食したりして、再び石が転がる葛籠折れの下
山道。子供の歓声が下から湧いてくると、あっという間に登山口である。そして駐車場は
すぐそこであった。

 恒例、たぬきさんのコーヒータイム。佐竹さんが路上に広げた錦秋の白山の拡大写真に
熱いコーヒーのコップを持つ人の輪が出来る。まるで梅田の道端でよく出くわすアクセサ
リーを売っている露天商状態である。

 ひとしきり賑やかに話に花が咲いた後、又の再会を約し散会する。春のオフ、いやその
前に北摂ミニオフだよ?との声も聞かれる秋の恒例オフであった。

 この後は些かの疲れを癒そうと恒例の風呂。今回はGE笠形の杉の湯で、佐竹さんと共
に一風呂浴びて帰ることにした。

 錦秋というにはやや早い時期ではあったが、往く秋を惜しむ定例オフ、天気もまずまず、
皆無事に下山でき、これに過ぎたるは無し。余韻に浸りつつ名残惜しい播州路をあとに。
途中、無人スタンドで名物のユズを100円で購入して土産とする。この柚子、夕食の鍋
で早速活躍してくれたのは云わずもがなのことでありました。


同行: あきゆきさん夫妻、佐竹さん、しまださん、丹波のたぬきさん夫妻、dameさん、
    もぐもぐさん、山本さん、小生(五十音順)


■追伸
 さて今日も、皆さんのおかげで楽しい一日を過ごすことが出来ました。この場を借りて御
 礼申し上げます。あきゆきさん、たぬきさん、山本さん差し入れ有り難うございました。
 しまださん、コース設定と先導、感謝です。dameさん、佐竹さん、もぐもぐさん、再
 会を楽しみにしています。
 でも、皆さんの体力には脱帽でした。

   【タイムチャート】
    6:55自宅発
    8:35〜8:45グリーンエコー笠形駐車場(約380m)
    8:55高坂峠(約500m)
    9:05子安地蔵
    9:20〜9:22高坂峠の笠形山・千が峰縦走路出合(出発点)
    9:44〜9:50入相山(780.2m 三等三角点)
   10:10655m峠
   10:25〜10:30834mピーク手前の小ピーク(Ca800m)
   11:10865mピーク
   11:30大屋コース出合
   11:40〜11:45龍の背
   11:55〜12:55笠形山(939.4m 一等三角点)
   13:03グリーンエコー笠形コース分岐
   13:30〜13:35越智川支流の沢(小休止)
   13:40水辺広場
   13:55〜14:00三合目(小休止)
   14:10〜14:20滝見台(扁妙の滝)
   14:34登山口
   14:35グリーンエコー笠形駐車場

    
 笠形山のデータ
          『残雪の笠形山で「笠形太郎」に会う』を参照して下さい。
 入相山のデータ
 【所在地】 兵庫県多可郡加美町
 【標高】  780.2m(三等三角点)
 【備考】  千が峰から笠形山へ延びる主脈の内の一峰です。笠形山
       から見ると三角形の整った山容をしていますが、あまり
       目立ちません。狭い山頂には綺麗な三角点と私製の山名
       プレートが一枚懸かるだけの静けさですが、残念ながら
       展望はありません。
       尚、高坂峠から笠形山或いは千が峰への縦走コースは利
       用者も少なく静かな山歩きが楽しめます。       
 【参考】  2.5万図『谷川』、『生野』



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