陽気に誘われ心和む里山徘徊〜烏ヶ岳

やっと登り着いた行者山にある道標

                           平成11年 3月14日(日)                            天候:晴れのち曇り                                 同行:かみさん、一番下のチビ
  三田の市街から離れた鄙びた集落の裏山が市によって整備されたという。レストランも  あるとの情報を、囲炉裏村の山口助役さんや兼武さんにインターネットによって教えても  らっていたのだが、今日のポカポカ陽気に誘われて、一度出かけてみることにした。     久しぶりの家族連れ、昼飯をそこで食べることにして、ゆっくり11時過ぎの出発であ  る。                                         渋滞もなく一時間余りで目指す「つくしの里」に到着。店内は丁度昼時で混んでいたが  10分程待って着席。早速、兼武さんも賞味されたという「山菜おこわつくし定食」と缶  ビールを注文。成程これがなかなかの旨さ。おこわの中にはツクシも入っていて、その渋  い味わいが何とも云えない。                              かみさんが大福餅とキクナを買っている内に、こっちは店内をうろうろ。地図入りのカ  ラーパンフは品切れなのか、緑地に黒い活字の普通の印刷物になっていました。       表に出て標識に従い、お目当てのナナマツの森へ向かう。高平の集落、なかなか豪壮な  農家が多いなとの印象を受けつつ、福谷道との分岐を左へ向かうと薬師堂。つくしの里か  ら見えていた茅葺き屋根の正体はこれだったか。その前に暦応2年(1340)建立の二  尊種子板碑が立つ。                                  朽ちた祠の横を川沿いに登っていくとまもなく炭焼き窯、そして七松中池を右手に見る  と赤松林の中にあずまや。アンケートがあったのでかみさん協力。             徐々に山道らしくなってきた。ベビーカーにチビを乗せて進むが、階段も出てきて、岩   神の滝の上から木橋を渡った昭和池付近の水辺広場で、ついに子連れ狼状態にギブアップ。  このまま引き返そうとも思ったのだが、そうするのもなんだかもったいない。かみさんら  をここにデポして(実はほったらかして)ピストンする事にする。(^^;; すんません。   ここからは沢沿いの本格的な山道で、とてもベビーカーは無理。降り積もった広葉樹の   落ち葉に足元が滑る。里山だと見くびって、底のちびったスニーカーで来たのが大間違い、  後悔は先に立ちません。                                 沢の源頭に出ると道はジグザグを切り出す。丸い炭焼き窯跡を右に見つつ一登りすると、  北の510m峰との鞍部に到着。道標あり。この鞍部、小さいながらも典型的な峠の形状  を示しているから面白い。地形の勉強になります。  (^^ゝ                小休止の後、左へ折れて前進。ところがこれが想像以上の胸突き八丁、丸木の階段道で  ある。周囲の立ち木を掴みながら体を持ち上げるのだが、ここでも里山だと思って甘く見  たツケを痛感する。いわゆる心臓バクバク状態になり、何度か呼吸を整える為に立ち止ま  る。振り返ると何時の間にか高度を稼いでいるのが分かる。木々の間から高平の集落が盆  景の如く小さく見えている。しんどいはずだ。でも風が心地よい。             急登に喘ぐ内、漸く上方に道標が現れた。行者山に到着したようだ。           行者山の頂きは細長く、その真中辺りのさざれ岩の上に朽ちかけた祠がある。これが山   名の由来であろうか。でも、祠の中は何もない。祠のある岩を巻いて向こうへ出てみると、  見晴らしの道への下山道横に展望台。親切にも景観の説明板も有る。暫し佇む。       ここから見る羽束山も美しい。先だって訪れた千苅の大岩岳からは南から、今日は北か  ら見る姿である。そして、三田市街の向こうには六甲山塊が長々とうずくまる。    
行者山からミニ倶留尊山?のような烏ヶ岳。
  目を西に向けるとすぐ傍に尖った山がある。烏ヶ岳だ。二本ボソから見る倶留尊山を彷   彿とさせる山容といえば一寸大げさだが、つい足はそちらに向かう。尾根伝いに一旦降り、  明るい雑木の中を一気に登り返すと、潅木に囲まれた狭い山頂にベンチがぽつんと一つ。  更に、明昭山の会と書かれた山名板が一枚枝にぶら下がっている。その前に思いがけず三  等三角点の標石。三角点ハントは期待していなかったので、何か儲けた気分である。  
雑木に囲まれた静かな烏ヶ岳山頂。奥の山は行者山
  山頂からの景観は、葉が茂る頃は良くなさそうであるが、幸い今は初春、枝の隙間から   ほぼ全方位が見渡せる。大舟山が大きく迫るその肩に、深山の姿がチョコンと垣間見える。  その左は大野山。大きな鉄塔が目立つのが兼武さんが以前登られた峰が畑だろうか。      しかし、今日はあまり楽しんでもいられないのだ。下ではかみさんらが待っているのだ。  残念だがすぐさま下山にかかる。                            下りは登り以上に足元に気を使う。登り同様、リョウブやネジキ、コナラを掴みながら  の急降下である。                                   鞍部から右に折れて、右の沢が深くなったらやがて青い水面の昭和池。イモリなどもい  るようだが、未だ寒いのか、生き物はメダカが泳いでいたのみであった。          「私らの後はあれから誰も来なかった」と心細げなかみさんら(すんません m(_ _)m)  と合流して、再び高平の集落へ。来るときに気になっていた廃屋に寄ってみた。       二軒並んだ萱葺き農家だが、空家になって何年経つのだろうか?戸にはさまれた電気使  用料通知表は昭和63年のもの。ということは10年以上経過しているなぁ。主のいなく  なった家の側に今も柿の木のあるのが、すこし寂しさを感じさせる光景だった。     予報通り、何時の間にか陽は翳り、空には厚い雲。でも畦道にはフキノトウが顔を出し、  オオイヌノフグリも満開。高みからは懐かしい雲雀の声が降ってくる。のどかな初春の三  田の里の風景を楽しんで、四時前、心和む高平の集落を後にしたのである。      
    【タイムチャート】      11:10     自宅発      12:20〜13:10  つくしの里(約200m)      13:50頃    昭和池      14:20  行者山(約500m)      14:30〜14:35  烏ヶ岳(528.3m 三等三角点)      14:55      昭和池      15:45     つくしの里


   烏ヶ岳のデータ

   【所在地】 兵庫県三田市
   【標高】  528.3m(三等三角点)
   【備考】  羽束川が作った狭い野を挟んで、大舟山の西に相対する
         里山で、地形図上は無名峰です。
         三田市が整備した麓の「高平ナナマツの森」は、昔はど
         こでも見られた里山の風景が良く保存されています。四
         季を通じてファミリーハイクには最適でしょう。
         最寄はJR三田駅から籠坊行の神姫バスで上槻瀬公民館
         前です。
   【参考】  パンフ「さんだ 高平ナナマツの森散策マップ」
         二万五千図 『木津』


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