籠坊温泉〜ヒグラシ鳴く山峡の湯

                           平成10年7月20日(月)                            曇り時々にわか雨のち晴れ                             同行:カミさん、下のチビ 
 今年は早々と梅雨が空けると思いきや戻り梅雨。鬱陶しい空模様ですが、気温が低い分 過ごしやすいですね。                                今日は、丹波篠山の奥座敷、籠坊温泉。数年前に一度浸かりに訪れたことがあり、弥十  郎ケ嶽に登った時にも来たことがあります。山の中の旅館数軒のこじんまりした温泉です。  風呂を解放しているのはその内の1軒、渓山荘のみですが、そこに露天風呂が出来てい ると聞き、今回の訪問となったわけであります。                    12時半に家を出て、川西市多田から県道を北上、ポツリポツリときていた雨が、猪名  川町役場付近から本降りになってきましたが、猪村から峠の分水嶺を越え後川(しつかわ) に入ると幸い止んでくれました。日頃の行いの良さでしょうか? (^_-)         後川のドライブインで右折、山峡へ入ります。川沿いにくねくね車を走らせると、神姫 バスの出合橋バス停の川向かいが、目的の渓山荘。原の集落に向かう道端に多くの車が止 まっています。みんな風呂目当てかな?                        その横が水車公園。しばしその公園で休憩です。トイレもあり、ゴミもないきれいな公 園です。                                      草むらに座っていると、目の前をシオカラトンボがゆったりと飛び交います。魚が釣れ たと子供の喚声。それ以外は蝉の声と水車の水音だけが周囲を包み、ゆったりと時間が流 れていきます。                                   先客が何人か出てこられました。こちらも一風呂浴びるとしましょう。         玄関に犬が1匹寝そべっています。横を過ぎると薄目を開けましたが、すぐに目を閉じ ました。                                      フロントで金800円也を払って、貴重品を預けます。案内によると、今日は男は2階 の杉の湯、女は1階のひょうたんの湯と名付けられた浴場だそうです。後で白いあご髭の ご主人に伺うと、日毎に交替しているのだそうです。                  2階へ上がり、脱衣場から浴場へ。山の斜面の杉木立の下に作られた浴場の定員5人程 の広さの内風呂の底には、以前訪うた時と変わらず那智黒石が敷き詰めてあります。その 横のガラス戸を開けるとお目当ての露天風呂でした。塀に「湯探歩会」三社札。温泉趣味 の会らしいですが、色んな会があるものですね。                    御影石をくり抜いて作った浴槽は定員4名位でしょうか。蓮の葉っぱを頭に載せた蛙が 抱える壺から心地よい温度の透明なお湯が出ています。(ひょうたんの湯はこれがひょう たんに変わるようです。〜カミさん談〜)                        雲の切れ間から覗く青空と日差しのもと、ヒグラシの涼しげな鳴き声を聞きながら、温 泉に浸かる。前にも申したような気がしますが、これ以上の贅沢はないのではないでしょ うか。                                        火照った体に一陣の心地よい風、フーッと見上げると空高くオニヤンマが横切りました。  風呂上がり。フロント前の椅子に腰掛け、セルフサービスの地元の湧水を飲みながらご 主人とのよもやま話に花が咲きました。今日の夜は涼しいというより寒いだろうとか、篠 山町が近隣の4町と合併するのだとか、1階の露天風呂は去年出来たのだとか、それが出 来たお蔭げで客が増えたとか云々...。                       その後で旅館の広間を覗いてみました。床の間に「夜半の鐘声客船に到る。」張継の楓 橋夜泊の軸が懸かっていましたっけ。                         旅館をお暇した後は、川沿いにぶらついてみました。                 過疎化の波か、以前には店先にヤマノイモが置かれていた籠坊唯一の店も雨戸が閉めら れており無人のようで、旅館羽束の湯も休業のでしょうか人影がありません。主のないナ デシコが淋しげに咲いています。向かいの斜面には苔むした薬師堂のような辻堂。なんだ か少し寂寥感漂う風景です。                             昔旅館だったらしい建物の下から自然水が出ている所があります。前に来た時にはタン クに汲む人が並んでいたのですが、今日は見かけませんでした。                三ツ矢サイダーの最初の汲水地はここであったとの説明板を読んだり、川面を覗いたり、 赤いオニユリ、深い緑の杉木立を眺めながら歩いていると、いつの間にか陽は西に傾き、 山峡には早くも夕刻が迫ってきました。又来ようの思いを秘めつつ、能勢の天王方面へ向 け籠坊を後にしたのでした。                            ※筆者註:渓山荘にはシャンプー、リンス、ドライヤーが用意されています。タオルは持      参が無難です。(^^)/                         
                                                         
 籠坊温泉のデータ  【所在地】 兵庫県篠山市  【泉質】  単純泉と思います  【温度】  9℃  【備考】  武庫川の上流、羽束川沿い、丹波北摂の名山弥十郎ケ嶽の南麓に        湧くひなびた温泉です。一ノ谷の合戦に敗れた平家の落人が見つ        けたとの伝説があります。側を流れる羽束川にはゲンジボタル、        オオサンショウウオが棲息しており、夏は川遊び、冬はボタン鍋、        山好きなら、弥十郎ケ嶽登山と組み合わせれば充実したプランが        組めると思います。        交通アクセスですが、三田市から神姫バスが日に4便出ています        が、日祝日は運休となる為、車が便利でしょう。川西からR17        3若しくは県道川西篠山線で約1時間です。  
  トップページに戻る
inserted by FC2 system