平成10年 5月 4日(月)
天候: 晴れ
同行: 単独
午前8時。道路情報によれば各地の高速道は早くも渋滞とか。これで高速道を使っての
遠出は無理。比較的近場でという事で、近畿百名山の一つでもある鷲峰山へ出かけてみる。
しかしこれも予想が甘かった。R307の枚方市津田付近からビタッと車は動かない。
これが木津川の山城大橋まで続いていたらしい。地図と首っ引きで裏道を走ったが、9時
に出発して着いたのが13時過ぎ。大きく出遅れてしまった。(-_-;
茶所宇治田原町の郷の口からの和束街道。壬申の乱、大海人皇子が大津から吉野に避難
する途中、住民から栗を貰ったといういわれのある御栗栖神社に車を止め、急いで支度を
済ませ出発。犬打川沿いに東海自然歩道に指定された車道を行く。両側の水田では田植え
の終わった早苗が風にそよいでいる。山には藤が真っ盛り。桐の木は既に落下盛ん。茶畑
は浅黄色。今が一番美しい季節である。
さて、周囲の景色を楽しんでいる内に、道は山に吸い込まれるように左にカーブし、間
もなくで地福谷林道分岐。
クロアゲハが数羽誘うように前を飛ぶ。林道が蝶の道になっているようだ。鬱蒼と繁る
杉、桧の植林の中、足下の黄色い花は
キンポウゲ。谷筋にはタニウツギが咲いている。
ふるさとの森への分岐を見過ごしてすぐに白谷林道の分岐。案内板あり。一寸した広場
になっており、バーベキューのパーティが一組盛り上がっていた。
3.5キロの道標を過ぎるとようやく傾斜が増してくる。そして2.2キロの道標のあ
るヘアピンを曲がると、道は谷底から山腹へ取りつく。初めて視界が開ける。緑深い植林
の山々の向こうは田辺の市街?、遠くには生駒山が霞んでいる。
虹色に輝くハンミョウに先導されながら、行き着いた大道寺からのコースとの合流地点
には、立派なログ風のトイレと休憩所が立つ。
道はここで右にカーブし、尾根筋道に変わるが生憎立ち木に阻まれ眺望は余り良くない。
高圧線をくぐって10分程も行けば、NTT無線中継所への分岐。直進すると左に金胎
寺の参道が延びている。西暦676年(白鳳4年)役小角の開基、あの白山信仰の祖、泰
澄の中興という古刹である。
山門をくぐると寺務所の横に茶店を兼ねた無料休憩所がある。先客が10人程。奥へ入
りテラス風の場所でやっと遅い昼食にありつく。(うどん定食、ビールも売ってます。)
鷲峰山は秩父古生層の山、奇岩も多い。金胎寺は北の大峰の別名があり、行場巡りで有
名なのだが、二時間必要とのこと。なんせ渋滞に巻き込まれ時間が無い。茶所だけに、カ
ワラケ投げのみで「お茶を濁す」。5枚200円でした。
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新緑の中の金胎寺多宝塔(重要文化財)
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さて、山門を出て右の坂道が本堂、多宝塔のある鷲峰山の最高峰らしい。すぐに建物の
並ぶ広場に出る。しかしここに三角点はないのである。坊さんにも確かめたのであるが、
三角点はNTTの塔の方だという。囲炉裏の山行報告でもそう書かれていたっけ。杉林の
間から谷を隔てた向かいの山々を覗いてみると、予想したよりえらい遠いではないか。直
線距離でも500m程はありそうだ。峰続きだと思っていたのに...。(T_T)
時間もない。早速中継塔の山へ向かい、一等三角点を捜すことにする。
一旦、NTT中継所分岐に戻って林道を進む。これがやっぱり遠い。(金胎寺の本堂裏
から湯屋谷への道を取ると、林道途中にショートカット出来るようです。)
やっと着いたNTT無線中継所。その階段の手前で偶々おられた山菜採りの夫婦の方に
三角点のありかを尋ねると、ここじゃない、もう一寸東だろうと云う。それを信じて林道
を1キロ程迄行くが、それらしき気配無し。高度もやや下がりぎみのようだ。引き返すこ
とにした。
約20分のロス。諦観が支配するが、でも滅多にない一等三角点だ。念の為にと再びN
TT無線中継所へととって返し確かめることにした。しかしその周囲にはない。その奥の
京都府の無線中継所、建設省の無線中継所の裏へ出てみる。
と、踏み跡があり2つに分岐している。まず明瞭な左の道を確かめるが、これまた下が
っていくようだ。またもやとって返し、今度は右の踏み跡へ。右前方の高みへ登って行く
ようだ。これが駄目なら諦めるしかない。
踏み跡は赤いプラスチック杭が埋めてあるものの、桧の若木が枝を伸ばして歩きづらい。
トレッキングポールで払いながら登っていく事しばし。前方に何かコンクリートの円柱
が見えた。
「ン?」、期待が膨らむ。
それを回り込むとありましたっ!やっと見つけた一等三角点。 681.17m。
(^0^)/ ヒャッホー!
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やっと探し当てた鷲峰山の一等三角点
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「あきゆきさん」の山行報告をもっと参考にすれば、こんなにうろうろする事なかったで
すが...。 (^^!!
でも見落としたわけでもなかろうが、同好会等の山名板は珍しく一枚も有りませんでし
た。
ところで、ガイドによればここは釈迦岳と呼ぶようである。実は先程の金胎寺境内の宝
篋印塔のある山頂の方が682mで、こちらより高いようなのだが、景色はこちらの方が
グッド。比叡山から愛宕山、西山連山が一望。秋なら琵琶湖も見えると思われる。そして
さっきのコンクリートの円柱は地理調査所の天測点。これは初めて拝見しました。
さて、陽もだいぶ西に傾いてきている。明るい内に下山と云う事で、名残を惜しみつつ
その場を後にする。車の関係上、ピストンして駐車地の御栗栖神社着は17時過ぎ。
「茶摘み中です徐行お願いします」の立て札を微笑ましく見ながら宇治、大久保経由でR
1に出、帰途につく。
今回は林道歩きが主で、そう言う意味での風情はなかったものの久々の一等三角点ハン
トとなった。林道の為、傾斜はそれ程ではないもののその分歩行距離は延び、往復約15
kmにはなったであろうか。良く歩いたを実感する快晴の一日でした。
【タイムテーブル】
13:10 御栗栖神社(駐車地)(約160m)
13:29 地福谷林道分岐(あと5km道標)
13:37 ふるさとの森分岐
13:42 白谷林道分岐
13:47 あと3.5km道標
14:10 あと2.2km道標
14:20 大道寺コース出合い
14:32 NTT中継所分岐
14:40〜15:10 金胎寺
15:15 NTT中継所分岐
15:57 釈迦岳(681.2m 一等三角点)
16:15 NTT中継所分岐
16:20 大道寺コース出合い
16:58 地福谷林道分岐
17:17 御栗栖神社(駐車地)
【標高】 681.2m(一等三角点)
【備考】 京都府南部で最高点を持つ山で、東海自然歩道のコースです。
山上に役の行者が開創した古刹金胎寺があり、北の大峰と呼ば
れ行場巡り(約2時間)が出来ます。
又、鎌倉時代末期、天皇親政を企図した後醍醐天皇が、当地に
拠って兵を募った後、笠置に遷座したと云われています。
宇治から京阪バスで田原小前、又は維中前、JR加茂駅から原
山が最寄りのバス停です。