盛況ミニオフ、千m峰2峰
         〜一山、阿舎利山(播磨)

                          平成12年10月15日(日)
                          天候:曇りのち晴れ
                          同行:別掲
 

 今日はミニオフの日、目的地は奥播磨の一山(ひとつやま)と阿舎利山。あまり知られて
いないが、兵庫県の背骨を形成する1000m峰である。

 ここのところ何となくテンションが低かったのだが、久しぶりに早起き?して午前7時
過ぎに家を出て、中国道を一路西へ。曇り空だが、雲は切れ切れで大きな崩れは無さそう。
途中、夢前では川霧が発生していて、遠くから見ると雲の海だ。安富PAで時間調整して
8時半頃、山崎ICに着く。

 R29を1km程北上し、集合場所の道の駅山崎に着いたのだが駐車場が少々手狭。と
思ったら、手を振る女性が居る。目を凝らすと母タヌキさんである。ついて行くと建物の
裏に大きな駐車場があるではないか。父タヌキさん、しまださんが先着している。

 「オーッ、ワッペン着けてるやないの」等と挨拶のあと、例によって駄洒落連発の四方
山話をしている内に、三々五々、参加者が集合して来られ、集合時刻の9時には総勢13
名+犬1匹の大所帯となった。

 更にR29を北上して安積橋の手前で県道を進み、次の中継地の三方町のサンパティオ
へ向かう。この後、登山口までにダートの林道区間があるというので、ここでオフロード
車で来られている方の車に乗り換えることになった。小生はdameさんのRAV4の新車に
乗せて頂く。dameさん、久々に新車の匂いを嗅がせて頂きました。有り難うございました。

 R429へ左折してすぐに右折、阿舎利川の渓流沿いに一路、阿舎利集落への道を行く。
一車線の狭い舗装道の両側から、やがて山肌が迫ってくる。こんな山深い所に人の生活が
あるのかと訝しい位だが、電柱があることでかろうじてその匂いが感じられる。

 先行車が停車。しまださんのメールにあった水場である。竹筒で導かれた清水が流れ落
ちている。「小原段名水」。一口含むと、癖のないやや甘みのある冷水であった。

 ひんやりした空気の中、色づき始めた雑木の間を進むと右手に廃屋が現れ、阿舎利の集
落に入った事を示す。やや広闊な土地に数軒の民家が散在している。案外立派な古い神社
が右手に見えてきて、鳥居の前にはイチイか何かの古木が眺められる。左には苔むした墓
石の並ぶ墓地。かなり古い集落のようで、木地師とたたら製鉄を生業としたのではとの、
しまださんの名解説が無線で飛び込む。さしずめ先程の神社(確か山神社と札が懸かって
いました)もそれらの繁栄と安全を祈るものなのであろう。

 阿舎利を過ぎるともう民家はない。植林の中の道は舗装が途切れて、小さな落石も転が
る荒れた林道に変わる。だが流石はオフロード車、ススキの茂るつづら折れを苦もなく登
っていく。

 かなり高度を稼いだ頃、林道分岐に着く。左手に10台位は駐められそうなかなり大き
な駐車スペースがあり、ここに車を駐めて登り出すこととなった。

 左手にこれから登る一山が綺麗な形で聳えている。しかし山肌は左側が植林で、右側が
伐採地の虎刈りである。
駐車地点付近から一山。右半分が伐採されています

 空模様は一面の雲だがあまり心配なさそう。各自用意を調えて、総勢13名+犬1頭の
大部隊が出発。一山方面へ通ずる林道を進む。

 思い思いに話の花を咲かせながらの林道歩きも楽しいものだ。相変わらずの駄洒落連発
のしまださん、それに合いの手を入れるタヌキさんと賑やか。それに引き替え大加茂さん
や佐竹さんは物静か、うしろで八木さんの知り合いの女性の方々の笑い声も聞こえてくる。

 所々に鹿と思しき足跡や糞を認めながら小一時間で林道終点の広場。ここにも数台の車
が駐車出来そう。その右手の台地に朽ちかけた梯子が立てかけてある。ここが登山口だそ
うだがそれを示すテープはない。が、台上になった部分に登ってみると案外しっかりした
道が小さな尾根上に現れ、左に鹿よけネットが続く。雑木に掴まりながら進んでいけば、
やがて杉の植林の中となる。下草がないので何処でも歩ける為か、明瞭な道がない。山腹
をトラバース気味に左斜めに上がっていく。所々の朽ちた切り株には白いキノコ。八木さ
んによればスギヒラタケといい食べられるのだという。触ってみたら、これが意外にしっ
かりした感触なのであった。

 上方に植林と雑木の境界が近づいてきたので一気に直登する事にする。するとテープの
あるやや明快な踏み跡が現れ、間もなく杉林から抜け出て伐採地に到達した。振り向くと
北から東方向が展望される。皆さんが揃うまで広がる視界を愉しみながらしばし休憩。

 ここからはもう頂上が見えている。足場の良いところを探して急登する。息を切らせて
は後ろを振り返り、徐々に広がりを増す眺望に慰められつつ一歩一歩踏みしめる。10分
程のアルバイトで頂上に到達。まずは三等三角点にタッチする。

一山の三等三角点。この横で鹿の糞に包まれて食事

 それにしても聞きしにまさるいい眺めだ。南側の一部、東山方面は立木に遮られて見難
いが、それ以外はパノラマ大展望が眼前に広がり、播磨・但馬・丹波・美作に広がる主だ
った山々が一望。しかし、如何せん勝手が分からず、皆さんに教えてもらう。まず北側、
眼下に小さく駐車地の車。目の前は次に登る阿舎利山。奥に広がる氷ノ山。そして去年の
秋オフの主役の藤無山が秀麗。その右手の尖峰は須留ヶ峰。東には讃岐の屋島によく似た
台形の段ヶ峰に千町ヶ峰。南にはアンテナの立つ暁晴山。その肩に、今秋オフの舞台の笠
形山がひょっこり顔を出している。西には岡山県の最高峰の後山と三室山。眼下にはR2
9沿いの野尻と思しき集落と水田が箱庭の様。
一山山頂から見る藤無山

 みんなでひとしきり眺めを満喫した後はランチタイム。思い思いに場所をとり、食料を
広げる。小生は三角点横に陣取り、切り株をお膳にして、ストーブで温めた生麺のきつね
うどんをすする。ふと横を見ると鹿の糞が散乱しているのに気づくが、野趣があってこれ
もまた良し。

 昼食中も無線班の皆さんは忙しい。あちこちと声を掛け合っているようだ。そのうちに
タヌキさんの知り合いの方がひょっこり登ってこられ、また賑やかに。だが、そんな賑や
かな時間もあっという間、次の目的地の阿舎利山に向かって下山開始の時刻が迫る。

一山から次の目的地の阿舎利山を望む

 下山というものはいつでも名残惜しいものである。今日も何か後ろ髪を引かれる如く、
山頂を振り返りながら下っていく。

 浮き石に乗ってずっこけながら、立木に掴まりつつ約30分で登山口に帰着。林道を駐
車地に戻ると、登山口の斜面で同行を諦めた犬がみんなに挨拶してくれた。

 小休止後、しまださんの先導で今度は犬も一緒に通行禁止のロープが張られたもう一方
の林道を暫く歩く。すると小さな峠の右手の茂みに人が入れるだけの空間がある。そこが
登山口なのだそうだ。テープも何もなく、こりゃ、しまださんがいないと分からんなぁ。
この登山口に限らず、今度の阿舎利山は、全般的にしまださんの先導無くしては登りにく
い山であった。

 しばらく山腹を絡んで小さな尾根に乗る。先程の一山とはうって変わって、植林の中に
ブナ等が点在する中の歩きで展望は皆無。始めは傾斜も大したこと無さそうだとたかをく
くっていたが、突然、一気の急斜面に突入。
 
 立木に掴まらないと登れない胸突き八丁で、なまった体にはつらい。しかもその立木に枯
れている奴があるから始末が悪い。ほうほうの体で何とか傾斜が緩んだ地点へ。下を見る
と足を滑らすと大変じゃ〜と冷や汗である。

 いくつかのアップダウンを繰り返して、地形図の1004m地点を過ぎた次のピークの
立木に木札がかかっている。「当山」と書いてあるが、ただの尾根上のコブである。

 次々とあちらこちらから支尾根が合流してくる。要所にテープがあるが、幅広の町界尾
根は下る時にはルートを間違えそうだ。(実際間違えました)

 小さな鞍部に着く。そこは50m巾程のササのブッシュ。茂っていると歩き難そうだが、
幸い枯れている。しかし踏んだ後の跳ね返りと、ササの先端を目に入れないように注意が
必要である。
テープ頼りに枯れたササのブッシュを往く一行

 やがて阿舎利への踏み跡分岐に出、左に折れると植林が途切れ出す。カエデやナラの木
が多くなり、ナナカマドの赤い実が散乱している。そんな中に大きなブナの木が聳えてい
て、幹にシイタケ風の茶色い美味そうなキノコを発見。でも残念ながら届かない。

 広いのっぺりとした斜面を更に登り詰めるとそこが山頂であった。三角点の横に花の終
わったヤマジノホトトギスが1本。ところがこんな展望もなく、地味な山なのに結構、プ
レートが懸かっている。稲村が岳で見た「山想遊行」の木製プレートもあり驚く。

 苔むした町界標を見つけたりしながら山頂をうろついている内に、皆さんが揃う。タヌ
キさんに入れて頂いたコーヒーでブレーク。心地よく疲れた身体にはことのほか美味かっ
た。
阿舎利山山頂にて。メモを採るのは佐竹さん、
左は無線機操作に忙しい父たぬきさん

 30分程も山頂にいたろうか?帰りは、dameさん、大加茂さん、小生で先頭を行く。が、
コースを踏み外すこと数回。後から、しまださんの「どっちへ行くの?」の声。我々はま
るで鵜匠しまだの鵜の様でありました。(^^ゝ

 降りはさぞ大変だろうと想像していた急斜面も、比較的緩い斜面を選ぶことで無事下降、
往きには見なかったブナの木に会ったりして、全員無事登山口に戻る。

 何時の間にか青空が広がり、西日を受けた一山が目立つ。誰ともなく「今、登れば景色
良いだろうなァ」の呟きが洩れる。

 一路林道を下り、サンパティオで解散後、しまださん、佐竹さんとで汗を流しに揖保川
沿いの「よい温泉」へ向かう。事の他、大きな露天風呂が有り、サッパリ汗を流してして
デッキでビールを飲み干す。

 すっかり日暮れた秋の一日、余韻に耽りながらR176のバイパスを走っていると、十
六夜の月がぽっかりとフロントガラスの向こうに広がる東の空に浮かんでいた。最後に、
楽しい一日を送らせて頂いた皆さんに感謝です。
 それにしても、ダニの多い山ではありました。(^^);

【同行】★低徘仲間:大加茂さん、しまださん、佐竹さん、タヌキさん夫妻、dameさん
    ★タヌキさんの無線仲間:八木さん夫妻、八木さんの御仲間、笹倉さん
     計14名+犬1頭

   【タイムチャート】
    7:10自宅発
   8:40〜9:00集合地(道の駅山崎)
   9:40三方町サンパティオ
   10:00小原段名水
   10:20〜10:30林道分岐横の駐車地
   10:48林道終点(一山登山口 約845m)
   11:10頂上直下展望地
   11:24〜12:30一山山頂(1064.4m 三等三角点)
   12:55林道終点登山口
   13:10〜13:15林道分岐横の駐車地
   13:20阿舎利山登山口
   13:451004mピーク
   13:48当山
   14:05阿舎利集落コース分岐
   14:12〜14:40阿舎利山山頂(1087.2m 三等三角点)
   15:25阿舎利山登山口
   15:40林道分岐横の駐車地

    
  一山のデータ
 【所在地】 兵庫県宍粟郡一宮町・波賀町
 【標高】  1064.4m (三等三角点)
 【備考】  氷ノ山から七種山へと続く兵庫県の背骨をなす山々の一
       峰です。秀麗な山容で、頂上付近は伐採され、兵庫の主
       要な山々が360度のパノラマ展望で広がります。登山
       口手前、阿舎利川に寄り添って数軒の民家が立つ小集落
       阿舎利は、もとは木地師の里という事です。
  阿舎利山のデータ
 【所在地】 兵庫県宍粟郡一宮町・波賀町
 【標高】  1087.2m (三等三角点)
 【備考】  一山の北に座す1000m峰です。一山とは対照的に展
       望はありませんが、頂上付近にはブナ林が残り、しっと
       りとした山歩きが愉しめます。但し、基本的にはヤブ山
       で尾根も広く、支尾根も所々伸びており、テープを拾っ
       て歩かねばならない為、下りは要注意です。
  【参考】 2.5万図『音水湖』



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