低山なれど骨ありの播州三草山

第4ピークより見た三草山の姿
                            平成10年 4月30日(木)                             天候: 晴れ                                     同行: 単独

   三草山といえば小生などは能勢の三草山を思い浮かべるのだが、一般的には播州の三草   山の方が有名でしょう。                                     源平合戦の三草合戦の舞台であり、ここで義経は平資盛らの軍勢を蹴散らして鵯越へ怒   濤の進撃を開始するのである。又、南北朝で活躍する赤松氏の領国がここ播磨の国。      R372が東経135度を横切る近辺が社町山口の集落。登山口の標識板がある。それ   に従い、小川沿いに東に向かう。タニウツギのピンクの花が満開である。           古い墓場を右に見過ごしてすぐに広場。案内板が立つ。今歩いているコースは三草コー   ス。その他に畑コース、鹿野コースがあるらしい。                     さて、山頂という標識に従い進む。道が二つに分かれており、左は幅広の道だが作業場   らしき建物へ行く道だろう。右のガレ場へ向かう山道へ入る。                  いきなりガレ場の中、道は不明瞭。ハテ?と思いきや細いアカマツに赤テープ。ヤレヤ   レとその方向に進むが不得要領。その上、ここがまた一枚岩のような岩場で良く滑る。     うろうろする内にようやく踏み跡を見つける。何のことはない、赤テープに惑わされず   にそのまま直登すれば良かったのである。                         岩間に生える灌木帯の中のえぐれた溝状の踏み跡をジグザグに登ればすぐにピーク。眼   下に昭和池の青い水面が拡がる。まさかこれが目指す三草山ではあるまい。と、コルを隔   てた前方の山に山道が続いており、人の姿が垣間見える。                 「えっ?下って又登るんかいな」                            しかもコルへ降りる道がまたまた不明瞭。救われるのは高い木がないこと。せいぜい2m   程度のアカマツである。あっちこっちルートファインディング?する内にビニールのテー   プを捜しだした。「ほっ。」                               コルは十字路になっている。左は広い山道。これが本来の道かも?。丁度降りてこられ   た人に尋ねるとやはりそうらしい。帰りはこれを採ろう。                  さて、次のピークへ山腹を直登する。尾根に出て登り切るとベンチが三つ程置かれてあ   る。しかしここも三草山ではない。前方には次のピークが。なにかうんざり。暑い。昼飯   を兼ねて小休止とする。ほんまに義経、この山、馬で越えたんかいな?            尾根には出たようだが三草山は一体何処だろう?またまた降りてこられた人に訊く。    「まだまだピークを三つ四つ越さないと行けないですよ。」                またまたうんざり。何か今日は今一元気が出ない。                     ふと足下に四合目と書いた白い杭。更にげっそり。                    岩場に出る。鎖がかけてある。岩は一枚岩。ちょっとしたアルペンムードを醸し出す。   こんな岩場が都合3カ所位、越えたピークは5つを数えて、三草山頂上と思しき所が見え   た時にはいつになく思わず喚声が出てしまった。                      頂上には二等三角点と三草山神社の祠にベンチ、さらに三草山城の石柱。そして一組の   先客。                                     
陽光注ぐ山頂の三草山神社、この左奥に二等三角点
   肝腎の眺望であるが、三角点の横に三草山から見ることが出来る山々の同定盤がある位   で、意外と素晴らしいものがある。やや木々が育って見にくくなっているものの、東に東   条湖ランドが意外に近い。朝光寺の甍も見える。遠くには六甲、丹生山系がかすみ、北東   の山の上には西国札所の清水寺。南には雄岡、雌岡、その間に明石海峡大橋の鉄塔も見え   ている。西は千が峰の山並が霞む。                         汗に濡れたシャツを木の枝で乾かす。その間にお茶で一息入れ、山頂を一回り。三草コ   ースは約2.5kmとある。案外短いが、アップダウンを登り下りしたせいで長く感じた   のだろう。体調も今一..。                               日が傾いてきた。下山にかかるが車の都合上、往路を戻る。登ってくる人はいない。小   生が今日最後の登頂者?である。                             今気づいたのだが、この山は植林帯がない。道理で明るいはずだ。高い木もない。周囲   は盛り上がった緑と草いきれ。ウグイスがあちこちで啼き交わす。ミツバツツジは盛りを   過ぎ、代わってモチツツジのピンクの花が咲き誇っている。ヤマツツジの朱色がアクセン   ト。イワガサにはハナムグリが潜り込んでいた。やっぱり雑木の山は最高です。        そして登山道途中のピークはいずれもピラミダルで美しい。それを愛でつつ足下に注意   しての下山である。                               
第3ピークの岩場から第2ピークの秀麗な姿を見下ろす
   先程のベンチで景色を愛でつつ一休み。東は緑の谷、昭和池、西から南はもっこりした   山々と播州平野が拡がる。遠くの突骨とした山は七種山?                  コルの十字路で右へ。ここも道なりに真っ直ぐ進むといけません。ガレ場に出て行き止   まりである。左に折れて砂利採取場と思しき崖沿いに進むのが正解。しばらく行けば案内   板のある振り出しの登山口である。                            高々400mそこそこの山であるが、馬鹿にしたものではない。岩場もあり、意外に骨   のある期待以上の山歩きが楽しめる三草山であった。                
  【タイムテーブル】   11:55   神姫バス山口バス停(駐車地)(約130m)    12:00   三草コース登山口    12:20   第1ピーク (※註 私が命名した仮称です)    12:30   十字路コル    12:45〜55 第2ピーク(ベンチ)    12:58   第3ピーク    13:11   第4ピーク    13:19   第5ピーク    13:25   山頂(423.9m 二等三角点)    14:00   下山    14:40〜45 第2ピーク(ベンチ)    14:55   十字路コル    15:10   三草コース登山口
   三草山のデータ    【所在地】 兵庫県加東郡社町    【標高】  423.9m(二等三角点)    【備考】  東条湖ランドの西に位置し、白髪岳、西光寺山塊から西南          に派生する支脈に属します。源平合戦の三草の戦いの舞台          でもあり、南北朝時代は播磨の守護、赤松氏が山城を築い          ていました。          低山ですが尾根筋をアップダウンするコースで岩場も多く、          少々ですがアルペンムードも味わえ、ファミリー登山にも          向いています。しかし、日蔭が少ないので夏場は薦められ          ません。          社町が三草、畑、鹿野コースの三つの登山道を整備してい          ます。山麓の国宝、朝光寺とセットにすれば変化に富んだ          山行が組めるでしょう。     
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