長老ヶ岳逍遙


    久しぶりの晴れの休日、奥丹波の名山長老ヶ岳に向かうことにした。頂上で、熱いカッ    プヌードル、コーヒーを楽しむのがかねての念願?だったが、やっと実現しそうだ。       8:37豊中の自宅を出発する。R173から篠山町福井で地方道に入りR27へ抜け    る。R27を北上、和知町の升谷大橋で府道12号線、更に標識に従って仏主への府道に    入る。途中、大きな採石工場、山肌がボロボロだ。いくら私有地だとはいえ、ここまでし    ていいものか?憤りを感じるのは小生だけではないだろう。       上和知川を遡り、狭い路を抜けると仏主(ほとす)の集落。珍しい地名だが昔、長老ヶ    岳は修験道が盛んで堂宇も多かったらしいのだが、次第に衰え、ついに仏像を下山させた    所がその地名の由来だと云う。       さて、案内板の所を右折して山中へ向かう。300m程で権現谷出合だ。4〜5台程駐    車出来るスペースがある。先着の車が1台駐車している。一緒になったカリーナもここで    駐車する。女性2名のパーティである。       靴を履き替え準備を終えて、早速山肌を削った林道から山にとりつく。轍の間に杉の実    生が生えている。道端にはスミレ、ふきのとう。ウグイスが直ぐ側で笹啼き。単調なだら    だら坂の登りを慰めてくれる。       パッと視界が開けた。北西の山並みが春霞にけぶっている。仏主の集落がいつの間にや    ら遙か下に。     しかしDDIの電波中継塔ははるか上。あそこまで行かねばならないとは...。       ジグザグ路の木の階段を歩く事約30分。ベンチとこげ茶の建物が見えてきた。和知町    が整備した林間広場だ。西側の眺望が絶佳。暫し見とれる。でも同定ができない。残念。     管理棟横に頂上迄3.5Kmの標識。やっと山道らしくなってきた。赤松の林の下にユ    キノシタ風の葉を持つ植物が多くなる。これがイワカガミか?。花がないのでイワウチワ    と区別つかず。       地形がコブ状になった所で一服、一息入れる。あと3Kmの標識、さすが「長老」、懐    が深い。でも感心なんぞしていられない。まだ3Kmもあるのぉ...。       しばらくして、やっと尾根路に出た様だ。左右に山並み。野生のコブシの白い花が満開    だ。太いホンシャクナゲの群落もある。5月にはピンクの花がさぞ美しいに違いない。路    にはふかふかの落ち葉、灌木の間を行くがほぼ水平となり、やっと一気にDDIの塔に近    づけるようだ。そういえば、だいぶ塔の姿が大きくなってきた。       前をひらひら飛ぶ物がある。黄色と黒の斑模様。ひょっとしてギフチョウ?いや、きっ    とギフチョウだ。違いない。何故か無性にうれしくなる。       まもなく前方にネットが見えてきた。鹿の害よけとのこと、潜ったら閉めて下さいと注    意書き、丸太をどけて潜る。潜った後にびっくり。杉の植林斜面に視界が大きく広がる。    中継塔もすぐそこだ。乙見からのパーティとすれ違う。久しぶりの人の姿にほっとする。    もう一つのネットを潜り、中継塔をパスして管理道路を頂上へ向かう。その後、標識に従    って再び山道へ。       この最後の胸突き八丁は堪えた。十歩行ってはゼイゼイ、又五歩行ってはハアハア。や    っとのことで、山頂、文字通りたどり着いたとはこの事である。思わず「ついたぁ。」と    どなっていた。そして、素晴らしい眺望に息を飲む。     
長老ヶ岳山頂
    頂上は360度の大展望。流石一等三角点の山。しかし、如何せん、同定が出来ない。    10万分の1の道路地図帳とにらめっこ。北東の高い山は頭巾山らしい。北西に尖った山、    弥仙山かなぁ。遠くに霞む大きな山塊はどうも大江山の様だ。若狭富士と呼ばれる青葉山    は見えず。南の一際高いのは愛宕山らしいが愛宕を北からあまり見たことがないのではっ    きりせぬ。       さて、展望はこの位にして食事にする。早速バーナーをセットして湯を沸かす。カップ    麺とおにぎり、食後に熱いコーヒー。最高ですね。       食後、再び眺望を楽しんで、今度は山頂東の尾根伝いの径を仏主峠方向へ向かう。しば    らくして左に折れ、急斜面を文字通り滑り降りる感じで下る。雨でも降った後は大変だろ    うなぁ。       管理道路に出た。休憩所がある。下山後、途中に仏舎利塔があるとガイドにあるのに気    づいたが、ここにあったのだろうか?                 
管理道路から長老ヶ岳山頂を望む
   単調な砂利道をひたすら下る。しかしキャンプ場を過ぎると、沢の音が大きくなってく    る。どこかで蛙の鳴き声。良く聴くと、道路際の崖の水が滲み出した所から聞こえる。ど    うもガマガエルのようだ。蛙も恋の季節ですね。       この路自体は前述のように面白くないのだが、渓流沿いの為、いろんな物に出会えるの    が楽しい。途中には大きな桂の木も生えている。更に渓流の岩を噛む水音、苔の緑、今の    季節には最高でしょう。下山開始から丁度1時間の行程である。   (註)この上和知川源流の谷は、あるガイドでは「オマツ谷」、もう一つのガイドでは      「マツオ谷」となっているがどっちが正しいのでしょう?     久しぶりに疲れたが、天気にも恵まれ、奥深い「長老」の懐を逍遙出来た一日であった。    権現谷の七色の木を見物して、今日の山行を終える。途中、能勢の歌垣で地酒「秋鹿」の    にごり酒を買って、帰宅は丁度18時。    【タイムチャート】   08:37 自宅発   10:45 オマツ谷出合着(約340m)   10:55 出発   11:21 林間広場(約555m)   11:34 展望台(約635m)   11:45 尾根(約710m)   12:02 東屋(約690m)   12:20 鹿避けネット   12:35 山頂(一等三角点 917m)   13:50 下山   14:15 林間キャンプ場   14:46 ゲート   14:50 オマツ谷出合   15:05 帰路出発   18:00 帰宅                 平成9年4月13日(日)   
   長老ヶ岳のデータ     【所在地】京都府船井郡和知町     【標高】 917m     【備考】 京都府和知町と美山町の境にあり、奥丹波の最高峰で、「丹波の          長老」とハイカーに親しまれています。車でのアプローチはR2          7の和知町升谷で由良川を渡り、右折し府道で美山町に向かい、          標識に従って、仏主(ほとす)へ左折します。仏主付近はやや道が          狭いので注意。   
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