暑さにめげず有馬富士

志手原から見る有馬富士 古代の神南備山でしょうか

                          平成11年 7月26日(月)                           天候:うす曇り                                  同行:単独         
 専ら低山をうろついている者にとってはつらい季節がやってきた。今の季節は、最も手 強い敵、猛暑と闘わねばならないのだ。雨もいやだが、当節のカンカン照りも尚いやだ。 でもしばらく山から離れると、やっぱり緑が恋しくなるしなぁ。              そこで今回のターゲットは、体力の消耗も少なそうなアプローチの短い有馬富士の徘徊。 でも意外に体力は消耗していたのでした。                         今日は台風の影響か雲が多い。それも南から北に結構速い動きだ。日照りは避けられる が逆に雨の心配がいりそうだ。                                            県道37号線、三田市の志手原交差点を花山院方面に曲がれば、その左手間近に有馬富士 が現れる。その整った姿は大和三山にも似た感じで、古代はきっと神南備山だったに違い ない。                                       右手の清水山の側に三仏寺という大きな看板が出ていて、建物の前が空き地になってい るので駐車させてもらうことにする。                         準備を整えて県道を戻る。すぐに三仏寺のバス停があって、有馬富士住宅への道が西へ 延びている。ガイドブックでは成谷口のバス停から入るとあったが、大分戻ることになる し、山へ近づきゃ何とかなるわいとそのまま住宅地を縦断する。             すぐに住宅は途切れ、山懐に出た。道は麓沿いに巻くように付いている。成谷口はここ からは南方向だから左手(南)に進めば登山道があるだろうと当て推量。道は幅一間ほど で杉木立の中、左に小さなため池を見る。余り風情があるとは言い難いが、散歩に好さそ うだ。                                                  一寸驚いたのはアブラゼミやニイニイゼミではなくてヒグラシが鳴いていること。ウグ イスも近くで鳴きかわすし、人口増加率日本一の三田市も、自然度は大阪近郊に較べれば まだまだ格段の差がある。                              薄暗い道はまもなく舗装された車道に飛び出した。花山院へ2.5Km、公園へ300 mの道標がある。正面には富士の姿。それを目標に歩を進めると、車道が左へカーブする 先に有馬富士登山道の文字が目に入った。そこへ入り込むとようやく山道らしくなってき た。                                        細い杉木立の間を直登する道は良く整備されている。蝉時雨の中、時折蜘蛛の巣が顔に かかる。ということは今日ここを通るのは小生が初めてなんかいなぁ?そうかも知れんわ なぁ、この暑いのにうろうろする物好きも少ないわねぇ。                大きな石が積み重ねてあると思ったら9号古墳の横穴式石室の標識。古墳時代後期のも のとのことだ。やはり昔の人は神の拠りしろ、神南備山に葬ってもらいたく思ったのであ ろうか。                                      そうこうするうちにベンチの置かれた広場が現れた。山頂広場とある。「えっ?もう山 頂?」いやいや、右手はまだ高い。そちらへ向かう。                  「小鳥の囀る小道」を見過ごすと、やがて今回の一番の難所?「わんぱく砦」。30m  程、急な岩場が続く。と言っても適当に段差があり、雨でも降らぬ限り大した危険は無い。  雑木に掴まり一気に高度を上げると、南側が開け六甲から丹生山系が広がる。手前には 三田市街。直下に福島大池が光っている。暫し立ち止まり涼をとる。           岩場が終わると傾斜も緩み、雑木の中の踏み跡に導かれて行けばまもなく有馬富士の山 頂である。                                     狭い山頂の真ん中に有馬富士と大書した標識が置かれてある。その裏はと見ると四等三 角点の石柱があった。軽くタッチして、近くの岩に坐り汗を拭く。          

狭い有馬富士の山頂 標識の裏に三角点

  SOKKで買った350ccの缶が6本入るという小型のクーラーバックの中から缶ビ ールを取り出す。が、あっという間に空。途端に又汗が噴き出してきた。         木々の茂りで眺望は今一。空模様も良くないので、汗が引いた頃を見計らって腰を上げ る。蝶道になっているのかカラスアゲハが舞う中を、北西方面の踏み跡を下るが、これが なかなかの急坂である。スリップに注意が必要だ。                   いくつかの分かれ道を見過ごしてひたすら下って行くと狭い林道に飛び出した。左右ど っちに行こうか迷ったが、池に近そうな左へ向かうことにする。             ほぼ水平の砂利道に「かえでの小道」、「つばきの小道」等の脇道が分岐している。正 面に城ヶ岡だろうか有馬富士に似た姿の山。                       ぐるーっと有馬富士を巻く感じでついた林道を進むうちに下に駐車場が見えてくる。と、  前方に軽四輪がとまっている。下草刈りの人達がいる。丁度その頃、雨がぱらつきだした。 杉の木の下に入って雨宿りしている間、しばし作業の方と雑談。             今年、完成した高平の方へは行ったか?と聞くので「春に行きましたよ。つくしの里の  つくし定食が旨かった」と答えると、「あれもわし等が整備したんじゃ」とのことでした。  さて、別れの挨拶を交わし林道を進んでいけば、行きに出会ったと同じ車道と思しき道 に出、降っていくと駐車場と芝生広場。                        地図があるので確認する。それによれば有馬富士を半周したようで、先程の車道を反対 側に行くと往路の登山口へ出ることになるそうだ。                   トイレの横から延びた車道を降っていくと、右に「夕日の小道」。そして左手に廃業し た温室の残骸を見てまもなく、福島大池が眼前に広がった。結構大きなため池だ。翼長1 mはあろうか、大きなサギらしき鳥が驚いて飛び立っていった。              道標があって、志手原2.0Km、新三田駅2.5Km。池の畔沿いに志手原へ向かう。    ショウブ園から集落の中、右手に墓地を過ごして成谷口のバス停は10分程の行程。途 中、ガイドにあった有馬富士公園への道標を見つけた。                 そこから駐車地までは20分の県道歩き。当初は花山法皇の終焉の地、花山院まで足を 延ばそうと思っていたのだが、雲が切れて陽が照りだしたのと蒸し暑さでもうバテバテ。 結局、駐車地へ戻ってお開きとしたのでした。                     蒸し風呂の中の低山徘徊。減量にはもってこいだけれど、帰ればすぐにビール飲むんだ から逆効果ですねぇ?かみさんに「この暑いのによく行くわねえ」と呆れられながら出て きたが、冷えたビールをまた楽しみに家路を急ぐのでありました。          
    【タイムチャート】      12:00     自宅発      13:15〜13:20  三仏寺前(駐車地)(約195m)      13:35     車道出合      13:37     登山道入口      13:45     頂上広場      13:49     わんぱく砦      13:54〜14:08  有馬富士山頂(374m 四等三角点)      14:15     林道出合      14:35  車道出合      14:37     芝生広場      14:55     福島大池      15:04     しょうぶ園      15:15      成谷口バス停      15:32     三仏寺前(駐車地)



   有馬富士(角山)のデータ

   【所在地】 兵庫県三田市
   【標高】  374m(四等三角点)
   【備考】  三田市の北部に聳える低山ですが、円錐形の秀麗な山容
         の為、良く目立つ山です。
         南麓は三田市が有馬富士公園として整備しており、道標
         も完備されていますが、道が幾つも輻輳し、目的地へ行
         こうとする場合にやや分かりづらい面があります。
         近辺には西国札所の播州清水寺、番外花山院があり、そ
         の花山院の御詠歌に
         「有馬富士 麓の霧を海とみて波かと聞けば小野の松風」
         と詠われています。
   【参考】  アルペンガイド『京阪神ワンデイ・ハイク』


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