南側で工事が進む青貝山

                          平成11年12月19日(日)                           天候: 晴れたり曇ったり                             同行: 単独        



 以前から気になっていたことがある。箕面のEXPO記念の森から、ドライブウェイ沿 いに五月山方面へ少し歩くと、能勢方面が良く見渡せる場所に出るのだが、眼下の止々呂 美付近に、新しい自動車道ができるのだろうか、コンクリートの橋脚が建設されているの が見える。                                     また、新御堂筋を北上して箕面市白島の突き当たりまで行くと、工事が始まっていて、 箕面山岳トンネル建設工事の表示がある。                       どういう風になるんだろうと思っていたら、たまたま『みのお山自然の会』のHPで止 々呂美付近に第二名神のインターチェンジが出来る事を知った。そしてトンネルは新御堂 筋とインターチェンジを結ぶ道となる事も判明。更に、余野川にはダム建設も計画されて いるという。自然がどんどん遠くなる様な気がする。                  箕面市止々呂美といえば、寒天作りや栗で有名な鄙びた山里である。その止々呂美と豊 能町の境にある低山が青貝山。この付近がどのような変貌を遂げようとするのか、一寸大 袈裟だが青貝山から覗いてみた。                             この冬一番の寒さというが、風も弱くそれほどでもない。R477でときわ台の新興住 宅地に入り、関西セルラーの送信所横に車を止めて準備を整える。ここは以前、天台山か らの帰りに下ってきた所で、三叉路になっている。どちらに行こうかと思案したが、青貝 山の西側に取り付きがあるのではと、とりあえず南への道を採る。            小さな尾根の上に遊歩道風の道がついているが、しかしこの道、一向に山へ近づかない。 豊能町の貯水槽を過ぎると、子供の歓声が聞こえてきたと思ったら、往路に通った小学校 であった。エアリアマップに記載のルートでは無さそうだ。しようがないので振り出しへ 戻る。                                       今度は送信所横の林道を辿ってみることにする。これは杉の植林帯の中へ吸い込まれる 舗装道で、小さな谷沿いに次第に南へ向きを変えていく。                しばらく歩いて行くと左に登っていく雰囲気のいい道があって、『とんぼ池』という手 製のプレートがぶら下がっている。地図から見て、青貝山に近づくのはこの道だろうとそ ちらを選択する。                                  最初の杉檜の林から徐々に様相を変えて、所々に台場クヌギが混ざる雑木林を縫う幅一 間程の道は、分厚く落ち葉が積もり、冷えた空気と相まって快適な空間を作り出す。10 分程進むと右のやや深かった谷が浅くなってきて、水音も聞こえ出した。         また『とんぼ池』のプレート。だが未だ取り付きが見つからない。ここで現在位置を確 認する。                                     「はて、取り付きはと...」右前方にどうもそれらしき山が見えているのだが...。 もう少し進んでみる事にする。                            関電の赤い巡視路標識が現れた。前方に見えている鉄塔へ行くようだ。巡視路は林道と 併行していそうなので、もう少し進んだ所にも巡視路への案内標識があるだろうとそのま ま進んでいくと、思惑通り標識があった。巡視路は沢を渡って雑木林へと消えている。以 前、インターネットで、青貝山の取り付きは沢を渡るとあったのを思い出す。       金属製の小橋を渡ると踏み跡は明るい沢を遡って行く。まもなく左に杉が植林された小 さな支沢が現れ、踏み跡はそちらを指している。大阪府の『あなたのその火が山を焼く』 のプレートがある。足元には苔むした石標が埋まり、白いテープが痩せた木に巻きつけら れ、マジックで青貝山と書かれているのを発見。今日初めて見た青貝山の文字に意を強く する。                                       1mほどの岩がゴロゴロとある地点を過ぎると、巡視路は木の土止めがある階段となっ て左に折れ、登るとすぐに新生駒線bP45の高圧鉄塔に出くわした。          鉄塔は青貝山の北尾根の端にあるようで、尾根伝いに踏み跡が続いている。これがなか なかいい感じの道なのである。ツツジにアカマツ。リョウブ、クヌギ、コナラなどの落葉 広葉樹。北摂特有の明るい尾根道だ。所々倒木があり、やや踏み跡は薄くなるものの、要 所のテープが心強い。落ち葉に滑りながら高度を上げる。といってもそれほどきつい所は ない。やや沢山の倒木がある所(Ca380mピーク)が頂上かと思われたが、その南が まだ高いようだ。葉を落とした木々の枝をかいくぐって薄い踏み跡を辿ると、膝ほどの背 丈のササが現れたと思ったら、測量用の棒が針金で支えられてあり、その下に三等三角点 があった。                                   
雑木とササの青貝山山頂

 頂上は、なだらかな饅頭のようで、痩せた灌木の林の下は一面に小さなササが生えてい
る雰囲気のいい所だ。一息ついて持参のサンドイッチでコーヒーブレークとする。   

 湯が沸く間は恒例の周辺探索。無名だと思っていたのに、意外にも登頂記念のテープが
二、三、巻かれている。小生以外にも好き者はいると見える。            

 灌木が裸木になっているおかげで、余り期待していなかった眺めはまあまあ。北東に天
台山と光明山。妙見山は意外に近く、頂上の信徒会館が指呼の感。北西方向に高代寺山、
西には先程の小学校をはじめ、ときわ台の住宅地が木の間隠れ。           

 しかし驚いたのが南の眺め。鉢伏山をはじめとする奥箕面の山々は良いのだが、下に目
をやると、聞きしにまさる大工事が進んでいる。何層にも段がついた赤土むき出しの工事
現場。居並ぶダンプカー。日曜だというのに動き回るショベルカー。チェーンソーの木を
切る音が木の悲鳴のように周囲に木霊している。ここが第二名神のICになる場所なのだ
ろうか。                                    

開発が進む第二名神のインターチェンジ

 熱いコーヒーを飲み干して、後片付け。もと来た道を引き返す事にする。      

 途中、西の支尾根に誘いこまれかけて慌てたり、ザザ−ッと何かが草むらを分ける音に
驚いて、大声で歌なぞを唄いながら下っていく。                  

 間もなく現れた鉄塔で小休止。ここは北方向の眺め良し。妙見山は天台山や光明山に阻
まれて姿を消したが、西北の大船山や昼ヶ岳と思しき山、高代寺山などの青いシルエット
がきれいであった。                               

 ここから林道へはすぐ。すると先程の『とんぼ池』のプレートが再び目に着いた。『と
んぼ池』とはそも何者なのか、寄り道していくことにする。             

 林道は間もなく分岐し、とんぼ池へは左の道を行く。この分岐周辺はやや小広くなって
おり、近年まで水田があったようだ。畦に石垣が積まれていて、江戸時代に既に田があっ
たとするなら、隠し田だったのではなかろうか。そんな空想を逞しくしながら、杉木立の
手前にやってくると、右に長方形の苗代風の水溜まりが三つ程並んでおり、どうもこれが
例のとんぼ池であるらしかった。だが冬枯れで水はほとんどなかった。        

 冬の日は釣瓶落とし。4時前だというのに空気は早くもやや赤茶けてきた。陽の当たら
ぬ山裾は既に暗い。駐車地へ戻る道すがら、ますます開発の手が入る北摂、このままにし
ておいて欲しいなと願わざるを得ない感を強くした冬の午後でした。         


    【タイムチャート】
     12:20     自宅発
     13:40〜13:45  関西セルラーときわ台送信所(駐車地)(約295m)
     14:00     再び駐車地
     14:05     とんぼ池分岐
     14:16     関電巡視道
     14:22     高圧鉄塔145
     14:30〜14:50  青貝山山頂(391.4m 三等三角点)
     14:58〜15:05  高圧鉄塔145
     15:12     関電巡視道
             この後、とんぼ池付近ぶらぶら
     15:40     とんぼ池分岐
     15:43     駐車地


   青貝山のデータ

    【所在地】 大阪府豊能郡豊能町・大阪府箕面市
    【標高】  391.4m(三等三角点)
    【備考】  豊能町ときわ台住宅地の東にある低山です。マイナーな
          山でこれといった特徴はありませんが、その分静かな里
          山歩きが楽しめます。しかし、南方面では第二名神の大
          規模な工事が始まっています。
          尚、登山口などの案内は一切ありませんが、はじめトン
          ボ池の案内通り林道を進み、途中の関電新生駒線 145
          への巡視道が取り付きです。
    【参考】  エアリアマップ 山と高原地図『北摂の山々』


  トップページに戻る

inserted by FC2 system