掃雲峰〜瑠璃渓北面で低山徘徊

天狗岩から南方向を見る。左奥は愛宕山、半国山、中央に金山、右手に剣尾山と横尾山が並ぶ

平成27年 2月28日(土)
【天候】曇りのち晴れ
【同行】たらちゃん、水谷さん


 摂丹国境にある深山高原は豊中から1時間程度で行ける近さにありながら、それほど開
発の手が入っていない。とりわけその北部や天引林道が走る東部は、近年、ささやまの森
公園が開園したものの、必要以上の手は入っておらず、静けさが維持されている。

 その深山についてはHさんが著書『低山趣味』で詳しく紹介されているが、山友のMさ
んが少々はまり気味。先週に引き続きまたまた深山近辺、今回は掃雲峰あたり近辺を徘徊
するというのでお付き合いすることにした。前回に引き続き、Tちゃんも奈良から長躯参
加だ。

 8時に千里中央を出て、JR川西池田駅でTちゃんと合流した後、前回同様、R173
を北上する。寒気の影響で能勢以北では降雪もあったようだ。はらがたわ近くの高架橋で
は路面凍結の為、大破して血痕もついた事故車が下り車線をふさぎ、警察の現場検証が行
われていた。

 天王を抜けて瑠璃渓方面に向かう府道へ右折する。天引林道に入り、るり渓ゴルフ場の
クラブハウスを左に過ごして、しばらく進んだ辺りがオグラタワである。流石に標高70
0m近く。明け方はかなり冷え込んだようだ。雪がうっすら残り、風が出て寒い。

雪の残るオグラタ
 さて、アプローチ。そのまま興山へ直接という簡便な手もあったが、先に掃雲峰へとい うことで通天湖側の取付から山に入ることに一決。しばらく車道をテクテクとウォーミン グアップだ。なんとゴルフ場のフェアウェイには大きなオスが率いる鹿の一家が4、5頭。 予期せぬ人声にこちらを伺っている。人間を見慣れているらしく逃げもしない。  るり渓温泉前を過ぎ、深山の登山口を見て30分ほどブラブラと歩くと、勝手知ったる 取付きである。何年ぶりだろう。あまり風景は変わっておらず安堵したが、この後、中に 入って少々びっくりすることになる。
府道沿いの掃雲峰取付き
 あまり人が入らないのかはっきりしていた道がやや消えている。植林下までまっすぐ進 んで沢沿いに右に折れると見慣れた踏み跡が現れる。しかしそれも100mほどで、大雨 の所為なのか枯れた木の枝やガレキが多く、土も流されて道も荒れ気味でいささか驚く。  右下深く流れていた沢が再び真横を流れ、更に枯れ気味の沢がアプローチとなる。平坦 な林となる辺りの沢脇に確か掃雲峰南尾根へのテープがあったはずだが見当たらない。小 沢から少し離れたことで小沢を右に渡るポイントを逸したらしく、踏み跡もはっきりしな くなる。まあ、真直ぐ北上すれば興山と掃雲峰をつなぐ尾根に出るので安心だが、疎林を 通して右手に掃雲峰につながる斜面が見えるので、適当に歩きやすそうな所を見つけてそ ちらへ折れる。冬枯れで比較的見通しが利き、下草もないのでどこでも歩けるのだ。  左から小さな尾根が近づいてくると思ったら能勢電の石柱が現れた。これを追っていく のが通常ルートだろうが、それと別れて進んでしまう。でもこんな所も歩く人がいるもの で、時折白いテープが現れる。大きな岩がゴロンと転がる左側を登る。茶褐色に分厚く積 もった落ち葉のじゅうたんはフカフカで膝には良いが、踏ん張らねばならないので案外体 力がいる。ヨイショと体を持ち上げて、掃雲峰の南ピークに上がる。上がった地点の10 m程度南側に能勢電の境界パイプがあった。存外、通常ルートとは着かず離れずだったみ たいである。  一息入れる。ここからは能勢電の切開きで極上ルート。落ち葉道を緩く登れば923m の掃雲峰である。今回でここを訪れたのは4度目のはず。木々に小さなプレートが幾つか。 舩谷山にあったのと同じプレートもあるが、ほとんど昔と変わっておらず安堵。赤松、ア セビ、リョウブの林の中に露岩が所々に埋まる気持ち良い尾根を東へ下って天狗岩へ行く。 岩についた雨や雫が流れ落ちる部分には4、50cmもあるツララが融けずにぶら下がる。 その下に水を受けるオイル缶が置かれているが何に使うのだろうか?
天狗岩にはツララが
 素朴な木梯子で登った岩の上は西側以外は相変わらずの展望で、何時まで見ていても飽 きない。金山の左手の半国山が一際大きく、その向こうは愛宕山塊。剣尾山もここから見 ると均整の取れた三角錐だ。眼下には天引方面へ下って行く府道が白くうねっている。  風を避けてここで食事。目の前のシキミは小さな蕾をつけている。食べ終わって一息つ いた後、再びザックを背負って岩から下り始めると、下界から正午を知らせるチャイムが 聞こえた。  掃雲峰へ戻って今度は北へ。この辺りの林はすばらしい。山笑う頃や新緑が滴る頃にま たやッて来たいと思わせるものがある。境界パイプで左に折れる。後はしばらく能勢電の 石柱を追うことになる。左は緩く湾曲した落ち葉のくぼ地。右は急斜面で、法京の集落が 覗く。幾つかの緩い鞍部を越えて、ほぼ真直ぐ西方向へ20分も歩くと、綺麗な峠。つづ ら折れにつけられた古道が現れる。以前、これを法京に下ったのを思い出す。あの時は途 中で道が消え、古い砂防堤を巻いて民家の庭先に下りてきたのだった。
法京への古道が通る峠付近は素晴らしい雑木林だ
 この辺りの林は一際見事である。それぞれ脈絡がないようでいて間隔、密度、樹高など の均斉がとれ、整然としているのだ。均等に陽光を受ける為だろうか。それは先に見える 興山の斜面へと続く。能勢電の石柱はまだ続き、ひとしきり登った辺りまで続く。やがて くだんのパイプ支柱があり、ほぼ直角の低い尾根状の地形に踏み跡がある。天引林道へと 続いて、オグラタワ辺りに出るのだろう。興山の頂上はすぐそこで、展望も利かない地味 な所為か『P706』と書かれた小さなプレートが一つのみ簡素なものである。
興山(706m標高点)見通しはない
 もう少し先に進んでみる。この先は桧の植林が増え、面白みが些か削がれるが相変わら ず下草は無くどこでも歩ける。大きな露岩を巻いてそんな急な斜面を下っている最中だっ た。左前方方向から犬の鳴き声が響いてくる。「えっ?狩猟?」犬の声は徐々に近づいて くるようだ。昔、高槻北部の山で猟に遭遇して危うくの目にあったことがあるので、巻き 込まれてはかなわじと、人間がいることを分からせるようと声を上げる。(^^;  相変わらず犬の声がする。しかし、不思議に人声が感じられない。ひょっとして猟では ないのでは?今の内だと少し下山のスピードを上げ、尾根から左の谷筋へと薄い踏み跡を 見つけて降りる。ゴロ石の積み重なる小さな沢を横切ると、林の中に広い作業道が現れた。 その向こうは奥山川で、向こう岸に天引林道が白々と路面を見せている。幸い奥山川は源 流域で水量は少なくどこでも渡れる。犬にも出遭うことなくうまく林道に降り立てた。フ ーッ。
植林下、奥山川支流の枯れた沢に降りてきた
 林道は等高線に沿ってくねっているのでショートカットするべく再び植林に入る。林道 直下の斜面には不法投棄の廃棄物が目立つ。車が入る林道によく見られる光景だ。それぞ れの市町村の廃棄物処理場に持ち込んでも大した費用はかかるまいに。嘆かわしい光景。 日本人の劣化を示す最たるものだ。  林道に復帰。5分ばかりでオグラタワ。振り返ると朝は靄で見えなかった多紀アルプス がその全貌を現している。雪はすっかり消え、誰もいなかったゴルフ場のフェアウェイに も人影が射す。通り過ぎた温泉施設の駐車場は満杯でした。
【タイムチャート】
08:00千里中央駅(集合地)
09:23〜09:30オグラタワ(駐車地)
10:06〜10:08掃雲峰通天湖側取付き
10:58〜11:02掃雲峰南ピーク
11:06〜11:09掃雲峰(天狗山)(723m)
11:19〜11:58天狗岩(昼食)
12:10〜12:12掃雲峰(天狗山)(723m)
12:52能勢電境界パイプ
12:53〜12:54興山(706m)
13:20天引林道
13:33オグラタワ(駐車地)

■今回のコースはこちら


掃雲峰のデータ
【所在地】京都府南丹市園部町
【標高】723m
【備考】 瑠璃渓の北に延びる山稜の主峰です。立木の為、山頂か
らの眺望はありませんが、東にある天狗岩からは360
度の大パノラマが得られます。瑠璃渓の北入口の大河内
に登山口のオフィシャル道標がありますが、今回のコー
スが簡便です。天狗山、天狗岩の稜線には切り開きと能
勢電車の石標、テープ、赤プラ杭があり目印になります。
【参考】
国土地理院電子地図



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