舩谷山〜深山北面の踏跡薄き尾根で遊ぶ

天引林道の駐車地点にて
向かい側の林道支線に誰が設置したか案内板が
平成27年 2月21日(土)
【天候】晴れ時々曇り
【同行】別掲


 深山は標高791m、北摂の最高峰である。熊笹に覆われたなだらかな高原状を呈して
顕著な峰こそ持たないけれども、頂上に特徴ある球形の白いドーム型のレーダー雨量観測
所があることからどこからでも同定することができる。いわば摂丹付近のランドマークで
ある。その北面を愛犬と共につぶさに探索したのが妻恋地蔵さん、ことH氏。私も三回ば
かりオフにご一緒したことがあるが、その踏破した詳細は著書『低山趣味』にまとめられ
ている。その『低山趣味』に近頃はまっているというM氏が深山北面に行くという。私の
苦手な雪ももうないとのことなので同行させてもらうことにした。近年出来た「ささやま
の森公園」の敷地以外はハイカーも稀な山域、はてさてその顛末は?

 9時にJR川西池田駅の北ロータリーに集合。R173、R372の旧道を経由して天
引トンネルを抜けたところで天引林道に折れる。小気味良い音を立てる奥山川沿いの、狭
いが舗装された林道の状態は悪くない。2kmほど入った所で右に林道が分岐しており、路
肩が広くなった場所がある。昔、興山から天狗岩に登った折に取り付いた336m標高点
付近から約1km北側の地点になる。

 周囲は植林だが、分岐する林道に何やら標識板がある。曰く『ガヨの谷』。この辺りを
歩くハイカーなぞめったにいないだろうし、一体全体、誰を対象に書かれたのだろうか。
考えられるのは山主が自分の所有地を他と区別する為につけた名前や目印なのではないだ
ろうか。そんな詮索はともあれ、駐車位置から奥へと天引林道を少し歩くと、右手から合
流してくる谷筋に作業道風の小道がある。今日の行程はここを遡って、最後は前方に見え
ている植林の斜面(妻恋さんが云う通称「七番尾根」)を降りてくる予定という。

取付き地点。下山点でもあり、左の植林の斜面を下ってくる予定
 ガヨの谷は植林された左側の山肌の傾斜がきついが、谷筋自体はゆるゆるとしてあまり 荒々しさが無い。水量もそこそこある。まもなく5mばかりの小滝が現れる。次いでナメ を持つニノ滝、更に最も落差のある三ノ滝と続く。しかし、この三ノ滝は土砂崩れがあっ たのか右岸から巻くのが危なっかしく、谷の左岸に現れた林道(車を停めた場所から分岐 していた林道)に退避して再び谷に戻ることにした。
『ガヨの谷』本流。幾つかの滝を懸ける
 再び谷を詰めていく。前方の高みに大きな岩が見えてきた。『ガンド岩』と呼ばれる岩 らしい。幅10m高さ5mくらいだろうか。オーバーハングして数人ならその岩陰でビバ ークできそうで、焚火の跡のような黒い灰も残る。岩を巻いて上がっていくと、そこは小 さな尾根で、50mばかり桧林の向こうに白々とした林道の路面が見えた。
『ガンド岩』。右に見える人影と比べてください
 下りよい場所を選んで林道に立つ。すぐに林道終点となって二つに作業道が分岐してい る。右側を採って進む。植林下のゼニゴケが生えるようなジメジメした道だが、終端から 右手の急斜面を伝うと、今までとは違うはっきりとした尾根に出た。北に聳える満燈山と 南のP526標高点をつなぐ尾根だ。「ささやまの森公園』の敷地境界らしくはっきりと した踏み跡が出て、「雑木の散策路・満燈山」の標識も現れた。雪が所々まだらに残り、 木陰に30cmくらいのツララもぶら下がっている。  踏み跡辿ってほんのすぐでP526。今まで気が付かなかったがもう蛇岩の上にいる。 いい頃合なので風を避けつつここで食事とすることにした。  ここから先は京都府と兵庫県の県境尾根。「ささやまの森公園」の深山登山コースの内 の東尾根コースのルートである。といっても整備は最小限に抑えられ、要所に道標が置か れているのみ。尾根が広がった部分は落ち葉でやや踏み跡が分かりにくい箇所もある。  通称『柳がたわ』。東へ明快な尾根が続く。帰路はこれを東へ天引林道に戻る予定であ る。バリエーションルートなのだが、踏み跡らしきものもあるので一寸安心。しかしこれ は甘かった。(笑)  標高が上がると流石に徐々に残雪が増えてきて、Ca700mピークの北側斜面はほぼ一 面に白い。深い所で10cmはあるだろうか。滑らないように注意しながらCa700mピー クを過ぎれば、よほど傾斜も緩んでくる。一旦下って50mばかり登り返すと舩谷山で、 庫阪峠からのコースと合流する。
まだ残雪が豊富な舩谷山。地形図的には無名峰だが府県境
にある為か、オフィシャル以外に数枚のプレートが架かる
 舩谷山は大阪、京都、兵庫の三府県の境目。三つの境目ばかり巡っているフェチっぽい 人がいるらしく、地面に私製の杭が埋設されている。ところが、旧国名でいえば、ここは 三国山ではない。この付近の京都府も兵庫県も同じ丹波に属するのだ。(笑) まあ、そん な屁理屈はさておいて、舩谷山、周囲と比して高くはなく、あんまり山頂という気がしな い。(^^; 幾度かやって来たことがあるが、大きなアセビやイヌツゲに囲まれたいつも静 かな場所である。深山を見に行ったMさんやTちゃんをGさんと待つ。15分ほどして戻 ってきたご両人、深山が真っ白だったという。  全員集まったところで東尾根コースを戻る。ほんの小一時間なのに少し雪も解けたよう だ。胎内こぐり、流れ尾の分岐を経て、再び通称七番尾根の分岐(柳がたわ)に戻ってく る。小さいが割に分りやすいタワで、公園の活動拠点施設・深山の標識があるのが目印で ある。ここから東へ七番尾根を下ることになる。
柳のタワから七番尾根を下る
「ささやまの森公園 活動拠点施設」の道標が目印
 最初は踏み跡らしきものがあったが次第に薄れて、尾根途中の、地形図でいう北東から 南東へ振るCa480m屈曲点付近まで来ると、完全になくなった。周囲は松、リョウブ、 イヌツゲ、ヤブツバキ、コナラなどの混交林だが、最近、ほとんどハンターも入っていな いような雰囲気がある。もちろんテープの類は一切なく、時々、鹿の糞が転がっていたり、 鹿の寝床があるので、獣だけは縦横無尽らしい。(笑) とはいえ、分かりやすい尾根で、 ここまで傾斜も緩く、濃いヤブもなく、倒木や枯れ枝が転がっているのが邪魔といえば邪 魔なくらいで、雑木には古い鉈目も残る。尾根の分岐で進行方向さえ間違わなければ大丈 夫だろう。万一ロストしても、北側の谷はは往路の谷だし、東へ真っ直ぐ進めば林道に出 るので安心感がある。途中、中間地点辺りでは、左(北)に往路で見たガンド岩らしき岩も 谷向かいに認められる。
七番尾根途中より南方向。深山北面から頂上に建つ
深山神社の石碑の周囲だけが覗く
深山と谷を隔てて左に端正な峰。掃雲峰北尾根の興山だろうか
 小さなアップダウンを繰り返しながらかなり進んだように思うのだが、北側に見える満 燈山がいつも同じ大きさに見える。「??」だが、それもそのはず満燈山を中心に円弧を 描いているように歩いているからだ。そうして徐々に北に振り始めた頃だったか。風雨で 枯れ木が倒壊して尾根上が小さな裸地になった部分に出る。やっと南側が見渡せる。(笑) 稜線の間から深山が雪で白い山頂のみをちょこんと出しているのが面白い。ここからみる 深山山塊は流石北摂の盟主の名に恥じないくらいに大きく、更に深山から谷を隔てて左に 三角形の端正な山が見える。エアリアから類推するに、掃雲峰北尾根の興山だろうか。
七番尾根から常に北に見えていた満燈山
 今まで割りに歩きやすかったが、高度を下げるに従って、常緑樹の密度が濃くなってき て、歩く隙間が狭まってくる。ヨドの谷方面へ北に一気に方向を変える付近が一番歩きに くかったのではないか。ヒサカキやアセビの間をすり抜けて傾斜はぐんと増してくる。と 同時に、谷音がかすかに耳に響き始める。奥山川だ。枯れた立ち木を掴まないように注意 しながら急坂を下りる。植林が現れた。桧の根元に足を置くようにすれば滑ることもない。 もうヨドの谷はすぐそこ。奥山川の水音がはっきり聞こえてきて、枯れ枝の積もった斜面 をずり落ちるように下ると、そこは往路のヨドの谷の入口にドンピシャリであった。  朝に比べて気温は上がって暖かい。水音だけが響く天引林道を100mほど戻れば駐車 地点である。時間は午後3時前。少し日のある内から千里中央で反省会と称する飲み会。 程よい疲れはアルコールの彼方に溶けていきました。
【タイムチャート】
08:52〜09:50JR川西池田駅北ロータリー(集合地)
10:10〜10:15ヨドの谷林道分岐(駐車地)
10:18ヨドの谷取付
10:30一ノ滝
10:33ニノ滝
10:35三ノ滝
10:55〜10:56ガンド岩
11:08〜11:13林道終点
11:30〜11:31満燈山南のピーク
11:36雑木林の散策路・満燈山分岐
11:41〜12:10蛇岩(506m)(昼食)
12:50胎内こくり分岐
13:00〜13:22舩谷山(Ca730m)
13:30胎内こくり分岐
13:40流れ尾分岐
13:50〜13:51柳がたわ(通称七番尾根分岐)
14:50〜14:54ヨドの谷取付
14:56ヨドの谷林道分岐(駐車地)


■同行
 (五十音順)
呉春さん、たらちゃん、水谷さん

■今回のコースはこちら


舩谷山のデータ
【所在地】兵庫県篠山市、大阪府豊能郡能勢町、京都府南丹市園部町
【標高】Ca730m
【備考】 深山の北にあり兵庫、大阪、京都の三府県境をなします。
アセビやイヌツゲに囲まれ展望はありません。北側の『さ
さやまの森公園』から登路が整備されています。
【参考】
国土地理院電子地図



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