三嶽〜運動不足を山に笑われる

大タワから見上げる三嶽北面
平成26年 4月27日(日)
【天候】晴れ
【同行】単独


 一度、ある山域に出かけると何度か連続してその山域に出かけるようなことがあるもの
だ。過日、西多紀アルプスの鋸山から見た三嶽が大きく見えたので、久しぶりに出かけて
みたくなった。山を始めた頃、深山から大きく上下する多紀アルプスを見、一際立派なの
が三嶽だと知ってから幾度か歩いたが、最後に歩いてからは何年ぶりになるだろう。

 単独の場合、出発はいつも遅くなる。(^^; 今日も8時過ぎ。県道川西篠山線からR1
73に出て北上。福住でR372に移って城東支所交差点で多紀アルプス南麓最奥の集落
火打岩を目指す。近年、三嶽の南斜面でクリンソウの群生地が発見された為であろう、民
家が尽きた山際に20台程度車が置ける駐車場が出来ていて、大タワへと更に県道を上が
っていくと、クリンソウ登山口と書かれた新しい案内板が立っていた。

 自衛隊が造ったというこの県道は大タワを越えると本郷へと下っていく。大タワの駐車
場には5台ばかりの先着車がある。三嶽ではほとんど人に遭わなかったから、大半は小金
ヶ嶽へ向かったらしい。

 準備して駐車場の南側から取り付く。三嶽まで1.3km。ちょっとした岩場を抜ける
と平坦な林で、シジュウカラやウグイスが鳴き交わす。そこここに咲くミツバツツジも花
の色に薄い藤色から濃い赤紫まで個体差は大きい。

 急坂から再び平坦になった後、恐怖の階段道が現れる。半端のない急斜面につけられた
擬木階段は恐ろしく歩き難く、しかもこれでもかと延々と続く。ザレ場はよく滑り、設置
されたロープのお世話になる。切れた息をなだめるべく立ち止まって振り向くと、早や小
金ヶ嶽とほぼ同じ高さ。きつい直登のおかげで、一気に高度を稼ぐことが出来る。

 再び傾斜が緩むと、芽出しを始めたばかりの木々の間から、ようやく三嶽の山頂部が前
方に顔を出す。ムシカリも純白の花盛りである。

 最後の一登りで小さな岩の鼻に出る。東の展望がよく、小金ヶ嶽に峠山、八ヶ尾山とい
った東多紀アルプスの山々がほぼ一直線で延びていく。吹き上げてくる風で一汗拭きなが
ら一息入れる。
三嶽山頂東側の岩から小金ヶ嶽と東多紀アルプス
 やがて現れたヒノキの人工林の下に東屋の屋根が見え、岩場に役行者を祀る岩室が目の 前にある。像前に碑伝が一枚。今でも修行する人がいるのか知らん。行者さんをカメラに 収めて、少したわんだ箇所を越えると、篠山市に合併する前に西紀町が設置した白いアン テナ施設とともに方向案内板の横に立派な一等三角点が傷もつけられないで健在である。 ここからは南北方向が眺められる。火打岩の集落の向こうに東西に長い篠山市街。その向 こうは摂丹山地で弥十郎ヶ岳、ドームを頂いた深山などが眺められる。北は草山のゴルフ 場に鹿倉山がよく目立つ。遠く地平に目立つのは長老ヶ岳だろうか。  腕時計を見るとまだ11時。腹は減り加減だが、食事にするにはまだ早い。ぶらりと西 ヶ嶽辺りまで尾根歩きを楽しもう。とはいってもアルプスというだけあって結構なアップ ダウンがある。山頂西の展望地から西ヶ嶽が眺められるが、途中五つ六つピークを越さね ばならない。運動不足の身で大丈夫かいな?(^^;  急な上にザレているのでズルッと行きそうで気を使う。思いのほか深い鞍部からCa70 0mピークへ。時折聞こえてくるバイクの音は直下の鏡峠のヘアピンカーブをサーキット と勘違いしている輩らしい。木立の隙間から折りたたんだテープのような車道が見える。  短い岩尾根を登り下りしていると単独兄さんが西からやってくる。西ヶ嶽かららしいが、 アップダウンに骨が折れますと歯を見せる。そこからまもなく栗柄(西の覗)分岐。以前、 ここから栗柄へ降りたことがあるが今は近畿自然歩道に指定されている。10年ばかり前 はこの辺りはクマザサに覆われて、西紀町の古いブリキの看板も笹の中で、歩くには鬱陶 しい場所だったけれど、今は全く枯れ果てて茎軸の残骸が残っているに過ぎず、随分、歩 きよくなった。  再び平坦になった尾根は鞍部に落ち込んで、ついで西ヶ岳の手前のピークの岩がちの急 斜面にさしかかる。でも何だか足元がへろへろだ。もう少しもう少しと進もうとしたけれ ど、気力減退甚し。ペンキでbR6と書かれた岩の横でついに断念とあいなった。(西ヶ 岳、未踏じゃないし....。)(シャリバテやし....。)(今日はブラブラ稜線歩きが目的 やし....。)なんて色々言い訳探しているけれど、要するに何をやってるんだか。10年 くらい前にはなるが、麓の火打岩から御嶽道で三嶽に登って西ヶ岳を往復したことに比べ れば、大タワからだから大分楽チンのはずなのである。何を言おうと体力の衰え歴然?覆 うべくもなし、うーん。ショック!(^^;;
栗柄分岐近くから西多紀アルプス
 まあ、それはさておいて、食事の適地を物色しつつブラブラと引き返す。下界ではもう とっくに散ったミツバツツジもここではまだ開花半分、満開になれば花のトンネルだろう にまだ蕾が多い。でもムシカリは満開。所々にある展望岩に登っては正に山笑う時期を迎 えた丹波の山並みの風景を楽しみながら、三嶽の西のCa700m峰まで戻ってきてしまい、 そこで腰掛けるに丁度よい石が埋まっていたのを椅子代わりにどっこいしょ。どっかと鎮 座する三嶽を前に久しぶりに助六寿司とカップ麺。湯が沸騰するまでボーっとしている時 間がほんと至福の時間であるなあ。  今まで気づかなかったが、三嶽北面にはヒカゲツツジが結構あるものだ。それもかなり の大木が。大して栄養もない岩がちの斜面に育ち、これだけの花を咲かせる力はどこから 湧いてくるのだろうか。不思議である。あやかりたい。うん、うん。  再び登った三嶽山頂。わいわい聞こえていた声の主は学生っぽい若い男女のグループ。 山頂から岩室前に移動して弁当タイムのようだ。再び一人になって北を眺める。あれ?三 嶽の北斜面のくぼみに白いものがへばりついている。はじめはシートか何かだろうと思っ ていたけれど、どうも残雪らしいのに驚いた。この時季、北部の山ならいざ知らず、こん な中部の山にも雪が残っているなんて。そういえば今年は寒の戻りで季節外れの雪が降っ たっけ。春霞にツバメが2羽3羽、翼を翻す。  小金ヶ嶽の山容を眺めながらの下り。ここもザレた足元に注意しながら急斜面を下る。 ヤブツバキのぽつぽつ落ちた花の紅、ヤマモミジの初々しい若葉の黄緑色が美しかった。
ヤマモミジの新緑が陽光に映え美しい。まさに山笑う
 駐車場には小金ヶ岳から降りてきた団体さん。お先に荷物を片付けて山を下る。運動不 足を山に笑われてしまいましたが、この時季の多紀アルプス、なかなか良い山です。
【タイムチャート】
08:15自宅発
09:55〜10:02大タワ(駐車地)
10:55〜10:57三嶽(793.4m 一等三角点『三岳山』)
11:16Ca700mピーク
11:29栗柄分岐
11:35Ca690mピーク東(bR6岩付近)
11:44栗柄分岐
12:00〜12:35Ca700mピーク(昼食)
13:00〜13:10三嶽(793.4m 一等三角点『三岳山』)
13:44大タワ(駐車地)



三嶽のデータ
【所在地】兵庫県篠山市
【標高】793.4m(一等三角点『三岳山』)
【備考】 篠山盆地の北の壁ともいうべき多紀アルプスのドーム型
をした主峰で、往古は中腹に大嶽寺が建立され、修験の
山として栄えましたが、大峰との争いに敗れ衰退しまし
た。北の栗柄、南の瀬利、丸山、火打岩、東の大タワ等
のルートが有ります。近年、南麓にクリンソウの群生地
が発見されました。

■関西百名山 ■近畿百名山
【参考】国土地理院電子地図



栗柄分岐付近のヒカゲツツジに囲まれた展望岩から北方。中央は650mピーク

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